25 僕の聖夜とサンタクロース
今回の話には、サンタクロースに関するある重大な秘密が含まれています。
クリスマスの朝にプレゼントのほしいよいこの皆様は、ブラウザバック推奨です。いや、マジでマジで!!m(。≧Д≦。)m
その夜、僕はサンタクロースを一目見ようと頑張っていた。
「翔太ー、早く寝なさい。もう夜遅いのよ」
キッチンから顔だけだして、ママが僕に注意する。ママはちっとも分かってない。はたして、こんな大事な日に眠れる子供がいるだろうか?
サンタクロース!
世界中の子供たちの憧れの的だ。
あの白い髭も、赤い三角の帽子も、太った体型も、どこまでも人の良さそうな笑みもーー。
あのイメージは、かつてサンタクロースが捕獲された際に撮った写真をもとに作成されているらしい。
サンタクロースは実在する。僕はそう確信していた。
ヒュォオオオオ
開け放した窓にかけられたカーテンが、翻る。ーー来る…ッ!?
僕は身構え、手に持ったスイッチのボタンを押し込んだ。
窓の外ーー庭でくぐもった悲鳴が上がった。まだだ! 僕は壁に取り付けたレバーを下ろす。
ガチャーン!!
庭の家庭菜園付近に設置した巨大なトラバサミが作動した。
ーー手応え、ナシ。
「ーーちっ、サンタめ…ッ」
僕は焦っていた。友達と約束してしまったのだ。サンタクロースを聖なる夜に捕獲すると。できなければ僕は、目でピーナッツを食べながらハダカで一輪車に乗りつつ町内を一周しなければならない。大好きなマリ子ちゃんに、そんな姿を見られるわけにはいかないーー
僕は必死だった。
とうとう、壁にかけてあったエア・ガンをむしるように取った。
「サンタクロース覚悟ォオオオ!!」
「ま、まてっ、翔太! 話せばわかるーー!!」
「ぱ、パパ…?」
そこで、泥まみれになって、白いつけ髭のとれかけた姿で、しりもちをついていたのは、まごうことなき僕のパパ、本田拓司だった。
「ど、どうして…パパが?」
狼狽する僕の肩に、パパの暖かい大きな手がぽんと乗る。
パパは僕に、大きな箱を差し出した。
「いいか、翔太。これは、パパが汗水垂らして働いて買ったプレゼントだ。二ヶ月前からおもちゃ屋に予約していた。」
パパは寒いのだろうか、鼻水をすすった。
「このプレゼントのためにパパは、部長につまらないおべっかを使い、課長と飲みたくもない酒を飲み、使えない部下たちを必死で動かしてきた。」
少し顔が赤いのは、お酒を飲んだせいだろうか。
「ーーこれはな、翔太。サンタクロースなんて架空の存在じゃない。現実社会で、パパが、苦労して手に入れたプレゼントなんだ。」
僕は、がくりと膝から崩れ落ちた。僕の手を離れたエア・ガンが、からりと切ない音をたてる。
「そ、そんな…パパが、サンタだったなんて…。そんなのって…、そんなのって…」
「ごめんな、翔太」
「うわぁああああ!!」
僕は泣いた。このままじゃマリ子ちゃんに嫌われてしまう。僕の将来設計は台無しだ。
◆
…あの日から、僕はサンタクロースを信じていない。
でも、クリスマスが来る度想うんだ。白髭の聖人セント・ニコラウスを造り出した人々の祈りを。
そして、それを子供たちに信じさせたいと願う大人たちの優しさを。
ーーメリー、クリスマス。
P.S.
目でピーナッツは食べれないから、そのことも忘れないで。
Thank you for Reading, and Merry X'mas☆ミ




