第八斬【嵐山軍団】
第八斬【嵐山軍団】
「光子殿ー!伝助殿ー!」
鉄心は二人の名を口々に叫びながら走っていく。
「くそっ、何処だ?」
鉄心は鞘に手をつけた。
気配がしたのだ。
「誰だ!分かっているぞ!出て来い!」
鉄心が叫ぶと、一人の女が出てきた。
「貴方…私の気配が分かるなんて…できるようね」
その女はくノ一のようだった。
「貴様は…!嵐山軍団の一流くノ一、笹倉越美!?」
鉄心は彼女を知っているようだった。
「貴方は…鉄心のおじいさんね」
越美は苦笑いをした。
「もしかして、光子達を助けに来たの?」
「ああ、そうだ!」
「へぇ、以外ね。あんなにもここを狙っていた鉄心じいさんが、助けに来た、なんてね」
越美の苦笑いは笑みへと変わった。
「御託はもういい!通してもらうぞ!」
「いや、私は戦う気はないの、偵察に来ただけなのよ、無条件よ」
そう言い、越美は道を開けた。
「…後悔するぞ」
鉄心はそういい、走った。
「フフン、あのじいさんも、良くなってきたわね」
鉄心は走り続けていた。
すると、四人の影が見えた。
「あれは…伝助殿!」
伝助は刀を持って二人の男と戦っている。
光子は─で父親の勇士を見ている。
「それでもこの村の長?実力的に見当違いだね」
「…龍之介、あまり遊ぶなよ」
「分かってるって、関谷君」
龍之介と呼ばれた男は大柄の男に向かってそう言った。
「…貴様ら、一体…?」
「俺ら、嵐山軍団の幹部的存在!」
「…龍之介と関谷だ」
その時、鉄心が入り込んだ。
「お前は…鉄心!」
伝助が叫ぶ。
「今は気にするな、こいつらを倒す事だけ考えろ」
伝助は大分驚いている。
「鉄心さん…」
光子も父親と同じ顔をしていた。
そして、鉄心は刀を抜いた。
「何だ、貴様は…」
関谷と言われた男が質問した。
「黒浪連合の総隊長、黒浪鉄心だ」
「へぇ…あの下級下衆軍団の頭か」
龍之介が見下す。
「覚悟しろ…今のわしには怒りしかないんでな」
その時だった。
「鉄心…お前だけには見せ場を渡さないよ」
そこに居たのは幸弘だった。
「鉄心殿、拙者たちも一緒に戦うぞ」
大悟も居た。
「…助かるよ」
二人は刀を抜いた。