第六斬【黒浪連合の最後】
第六斬【黒浪連合の最後】
「あんた…誰だ」
現れた白髪の男に大悟は容赦無く言った。
それも首の無い赤川の死体を踏みつけ、林檎を口にしながら。
「わしは黒浪連合の総隊長、黒浪鉄心だ」
「そうか…貴様が最後か」
大悟は林檎の最後の一口を食べ、倒れている幹部達全員を蹴り飛ばした。
「かかってくるがいい」
「ほぅ…いい度胸の小僧だな」
鉄心が刀を抜く。
布で拭いた刀を出す大悟。
表情は余裕だ。
「む…お主の刀…「鬼斬」ではないか!」
「む?これがどうかしたのか」
大悟は刀を見る。
「わしらはそれが欲しくての…」
鉄心が要求する。
「フン、拙者はこれを渡すためここに来たのではない。貴様を殺すために来たのだ」
随分と余裕のある表情を目にし、鉄心は顔つきを変える。
「貴様…図に乗るな」
鉄心の刀が光った。
大悟は構えてさえいない。
「フゥゥン!」
鉄心の刀が向かってきた。
大悟はそれを受ける。
「何…くっ…」
大悟の表情に始めて苦痛が見えた。
「ハハ、どうだ」
「なかなかやるではないか…」
大悟の額に汗が出た。
先程の戦いで疲労も激しい。
「だが…いつまでも好きにはさせない」
大悟は刀を弾き、下段蹴りを喰らわせた。
「がっ…」
鉄心に隙がある。
そう踏んだ大悟は鉄心の刀を奪った。
「二刀流。知ってるか?」
今の鉄心は無防備になった。
「貴様…」
大悟は片方の刀で鉄心に向かって切りかかる。
が、それはある人物の手で止められた。
「誰だ!」
大悟は咄嗟に叫ぶ。
「止めておけ…」
そこに現れたのは、ポニーテールの頭をした金髪の男だった。
「お主は…桜井幸弘ではないか」
大悟はそれを確認すると、刀を下ろした。
「久しぶりだな、大悟」
「ああ、でも何故止めた?こいつは、悪党なんだぞ」
大悟は鉄心を指差し、訴える。
「だが、そいつはもう戦意喪失している。部下を失ってな」
鉄心は顔をしかめた。
「そうなのか…」
「黒浪連合は仲間を見捨てないからな…」
鉄心が言った。
「ならば、どうだ。俺たちの仲間なんてのは…」
幸弘が提案を出した。
「なるほど…鉄心、お主にはその気は…」
しばらく考えた鉄心。
答えは出た。
「分かった。あんたらについて行こう」
こうして、黒浪連合は壊滅した。
幸弘と鉄心と大悟は白百合家に戻ることにした。