第四斬【幹部隊長】
第四斬【幹部隊長】
「何の騒ぎだ!」
大悟の声が届き、四人の仲間がやってきた。
「あ…!大門さん、赤川さん、火口さん、宮元さん!」
「騒がしい…?お前、誰だ」
「拙者か、拙者は、貴様らを潰しに来た侍だ」
大悟は自信満々に言った。
「何だと…?」
火口と呼ばれた男が前に出てきた。
「あ…火口さんが出る…」
「何だ貴様は」
大悟が挑発を付けて声を出す。
「俺は黒浪連合幹部隊長、火口一浪だ」
「…知らんな」
大悟は挑発だろうか、それとも、本気なのだろうか。
青筋が出る。
「貴様…愚弄する気か」
「…さぁ、自分の胸に聞いてみたらどうだ」
火口はバカげた事だ、と言い、親指を横に突き出した。
「表へ出ろ」
これは黒浪連合の、「戦闘」の合図らしい。
「拙者とやるのか」
「感じで分かるだろ」
大悟に不安の表情は無い。
残った仲間たちは見学している。
「…いいのか?舎弟の前でブザマな姿を晒して」
「…殺す」
火口は刀を抜いた。
「せめてやすらかに逝け」
火口の刀がせまる。
大悟は刀さえ抜かず、拳だけで火口の顔に当てた。
「ごはっ…」
「核の違いが分かったか」
大悟は動じていない。
「なめるなぁ!」
と、火口の刀は素早く、正確に大悟の首筋を狙った。
が、それさえもかわされる。
「何でだ!何であたらない!」
火口は背後に恐怖を感じた。
大悟がいた。
大悟は刀を抜いた、火口の首元につきたてた。
「…!」
「終わりか?」
「ぐっ…」
火口は力任せに大悟を蹴り飛ばそうとした。
が、蹴りは鞘で叩かれた。
その足に大悟の刀が刺さる。
「ぐぁぁっ!」
足からは鮮血が大量に出ている。
「どうだ、これでこりただろう」
大悟の挑発に乗らず、火口は刀を向けようとする。
しかし、足の痛みが酷く、刺さった刀が痛みを増す。
「ぐっ…!」
「諦めろ…」
大悟は今度は火口の首を絞めた。
「がっ…」
火口の顔は赤くなっていく。
「どうだ…これが今まで庶民にしてきた痛みだ。自業自得だと思え」
火口の顔からは涙、よだれ、鼻水が出て、足からははかまの間から滲み出る尿。
「が…はっぁ!」
「分かったか…これが、俺の怒りだ!」
大悟は火口の足に刺さった刀を引き抜き、樋口の胸に刺す。
「ぐぁぁ!」
が、ギリギリ心臓の位置はつかめず、とどめは刺せなかった。
「ちっ…ありがたく思うがいい、死にはしなかったからな」
胸の刀を抜くと、火口は失神した。
「次は…誰だ?」
震え上がった仲間からは、出てくる者はいなかった。