最終斬【最後、そして次へ…】
最終斬【最後、そして次へ…】
大悟は龍二の前に立った。
「ナんだキさま…」
龍二はそろそろ心を完全に支配されそうだった。
「お前を戻しに来た」
大悟は余裕を表した言い方で言いつけた。
「大悟、来るぞ…」
幸弘が声をかけるが、龍二の腕の角度を見れば分かるものだった。
大悟はそれをかわした。
二人はちらばった。
「こザかシイ!」
龍二は回りこんだ大悟に闇刀を振った。
しかし、それを余裕でかわした大悟は、龍二の懐に入った。
腰は切られた。
「グぎゃあああ!」
その間に忘れられていたような幸弘が突っ込んできて、龍二に追い討ちをかけた。
「忘れんなッ!」
しかし、龍二はその傷を再生させた。
「フはは。むテきダ」
しかし、予測していた大悟と幸弘は、再生途中の部分を切った。
「ギャわァァァァ!」
龍二の胸は大きな傷跡が残った。
鮮血が出ているにも関わらず、傷口を押さえる龍二。
「大悟」
幸弘が呼ぶと、幸弘は目で龍二の腕を見た。
「分かった」
瞬時に理解した後、固まっていた二人はまた分かれた。
「モうこざカシいコざいクはキカんぞ」
龍二はそう言い、闇刀を構えた。
しかし、事の動きは早すぎた。
大悟が龍二のひじから肩の間の部分を切ったのだ。
「グギゃアアアア!」
しかし、落ちた腕を広い、くっつけようとする龍二。
その裏をかき、突っ込んできた幸弘。
「ナにっ!」
龍二の腕は幸弘の早すぎた攻撃でバラバラになってしまった。
「…コのヤロう」
龍二は標的を変えた。
光子へと。
「!光子殿!」
気づいた大悟は非難を勧めた。
「え…」
事の動きは、今は早いようだ。
そして、神が決めた運命は変わらなかった…
光子は刺された。
「えっ…」
事が理解出来ていない光子。
しだいに痛みが伝わってきた。
「光子ぉぉぉぉぉ!!!」
伝助が叫ぶ。
「っ…」
「フはは、ドウだ、いたイだロう」
簡単に言う龍二の声が許せなかった。
「貴様ぁぁぁ!!」
大悟はまた切りかかった。
大悟と幸弘が戦っている間、引き離した光子の傷の手当てをしていた。
「これは…症状が分からない」
鉄心が言う。
光子の腹からは赤ではなく、青黒い血が流れていた。
どうやら、闇刀で殺されず、傷ついた者には呪いがかかるらしい。
この説明を勝也が行った。
「光子!死ぬな!」
必死に声をかける重治と伝助。
「お…父さん…重…治さん」
光子は非常に苦しそうだった。
いっそ死ねば楽だっただろうに…
こんな呪いにかけられた。
「龍二ぃぃ!」
大悟の斬りつけは効いている。
しだいに龍二の動きが鈍くなっているのだ。
幸弘は鈍くなった龍二を見て、刀に力と気を込めた。
「一刀両断」
幸弘の隠していた必殺技だった。
龍二の胸にもう一発入れた。
幸弘は強い踏み込みで、思い切り刀を振った。
それだけだ。
「ぐ…ガ…」
龍二はもう死ぬ寸前だった。
「とどめだ」
大悟と幸弘が言い、刀を重ねる。
「これで、終わりだな」
龍二の顔面にそれをぶち込んだ。
「ギャああああああああああああ!!!!!」
龍二はとてつもない悲鳴を上げて、倒れた。
闇刀は気力を失い、折れた。
「お…折れた」
大悟が一気に力を抜いた。
「父上の…仇をとった!」
大悟は嬉しそうだった。
光子も状態が良くなっていた。
闇刀が無くなった事で呪いも解けたらしい。
そして、この戦いで亡くなった人々の葬式が始まった。
それから、数日後。
「じゃあ、いきます」
大悟と幸弘が白百合家の玄関で言った。
「本当に行くのか、じゃあ、気をつけてな」
伝助と鉄心と光子と重治と泰隆が向かえに来ていた。
「はい、じゃあ…またいつの日か会いましょう」
大悟はそう言い残して、幸弘と一緒に歩いていった。
「いつか…あんな奴らが来ると信じていたよ」
伝助が言った。
「さぁ、家に入ろう」
鉄心の声で、みんなが戻って行った。
明治時代には、本当に侍が存在していました。
かき氷機も、他国の料理もありました。
そして…「五十嵐大悟」、「桜井幸弘」
この二人と同じ意思を持つ人間が、居たかも知れません…
それを信じて、今、自分たちの時代を良くして行く事が大切ですね…。
この二人と同じ意思を持つ現代の子供こそ、未来の英雄となるでしょうね。
これでこの物語は終わりです。
読んでくれた皆さん、ありがとうございます。
最後に登場人物紹介があります。
是非、読んでおいて下さい。
ありがとうございました。