第二十九斬【死の恐怖】
第二十九斬【死の恐怖】
「止めろ!離せ!わぁぁ!せっちゃぁぁぁん!」
龍之介はもうパニック状態になっていた。
「りゅ…龍之介…」
関谷は足が震えすぎていた。
全く動かない。
「せっちゃああん!助けてくれぇぇ!」
大声が村中に響き渡った。
その声を聞き、重治と泰隆が駆けつけた。
勝也もいつの間にか智治を呼んできていた。
「な…龍二?」
重治は同様している。
「ナんだオマえらハ…」
そこにいたのは原型は人間だが、目と心は化け物だ。
「く…」
「せっちゃぁぁぁぁぁん!!!」
龍之介の悲鳴が聞こえた。
「殺しテ…ヤる」
龍之介の首は切られた。
「龍之介ぇぇ!」
関谷の目から涙が出てきた。
絶対出さなかったのに。
勝也も呆然とした。
そして関谷も、越美と同じく、恨みと怒りだけで立ち向かっていった。
「ウるさい!」
関谷は殴り飛ばされた。
「龍之介…龍之介!」
関谷は立ち上がり、大剣を構えた。
「…ウるさいッていッてるだロ!」
龍二は関谷の足をぶった切る。
「ああああ!」
関谷は倒れこむ。
膝から下が切れている…。
「さテ、つギはどいツだ」
龍二が振り向く。
何をしていたか、大悟は見た。
龍之介は無残に肉片と化していた。
もう龍二には殺戮しかないだろう。
その時だった。
部下が止めに入った。
「止めてください!龍二さん!」
「いくら総隊長とはいえ、許しませんよ!」
しかし、所詮は部下。
止められなかった。
龍二は振り払い、一人一人切り刻んでいく。
「ジャまだ!じャまダじゃマだ!」
龍二は闇刀を振っている。
大悟は覚悟を決めた。
そして横目で幸弘を見ると、幸弘は軽く頷いた。
龍二は相変わらず暴れている。
仲間を殺しながら。
「オれさカらいヤがってェ!」
龍二はまだ記憶が残っていた。
「…鉄心殿、伝助殿、重治殿。手を出さないでくれ」
大悟は突然そう言うと、幸弘と共に龍二に向かっていった。
「待て大悟!」
重治が止めるが、大悟は進んでいった。
「危なくなったら…」
大悟が眼で合図をする。
重治は仕方なく頷いた。
そして、大悟は龍二の目の前に立った。