第二十八斬【殺戮】
第二十八斬【殺戮】
「う、うわぁぁぁ!」
その場に居た青龍牙隊はあとすざりをした。
「フ、ハハ…ハハハ!フハハ…!」
龍二はいきなり笑い始めた。
「りゅ、龍二さん!?」
部下が龍二の顔を覗き込む。
その目は人間の物ではなかった。
その部下はあっさり斬られた。
「ぎゃああ!…龍二…さん…?ぐっ…」
「次は…どいつだ」
龍二の目は青白く光っている。
大悟が言う。
「支配された」
龍二は伝説のとおり、闇刀に支配された。
「お前だ!殺して…ヤル」
龍二は黒い気体をまとった闇刀を振り下ろしてくる。
尋常じゃないスピードだった。
かわせなかった。
大助はその場にあっさり倒れてしまった。
「だ、大助!」
勝也が叫ぶが、全くと言っていいほど遅かった。
声をかけた時には既に大助は死んでいた。
「大助ぇぇ!」
越美が叫ぶ。
「お前かァァァァァ!」
龍二が越美に向かっていった。
越美はそれを何とか手裏剣で受け止めた。
「ナまいキな…」
龍二はそれを振り払い、刀を腹に刺した。
「いやぁぁ!」
越美は叫んだ。
まだ死んでいない。
「お前ヲ!コロす!」
龍二はその刺さった刀を上に上げた。
ブシュッ、と嫌な音がする。
みんなは唖然としていて動けなかった。
なんて残虐な…。
越美の死体と肉片は転がった。
「貴様ぁぁ!」
関谷と龍之介が突っ込んだ。
「ナンだオまえラは!」
龍二は関谷から狙った。
それは大剣で止められた。
「ナにっ…」
「なめるな」
関谷はそのまま龍二の胸を切る。
「グガァ!」
鮮血が吹き出るが、龍二は気に留めていない。
「何だこの化け物は…」
鉄心が絶望に溢れた声を出した。
「せっちゃん!危ない!」
龍之介が叫んだ。
「くっ…」
なんとか間に合い、また受け止めた。
「グがが…」
龍二は疲れも苦しみも痛みも表さなかった。
「龍之介!」
関谷が呼んだ。
「分かってる!」
龍之介が踏み込む。
次の瞬間、龍二は再び斬られた。
その隙を見つけ、
二人で同時に龍二を切った。
「グギャああ!」
龍二はさすがに耐えれず、その場に手をついた。
その時全員が見たものは…
斬られた傷口が再生している事だった。
「駄目だ、闇刀に支配された奴は…止められない」
伝助が説明を加える。
「コノやろウどもメが…」
龍二はまだ尚暴走している。
「このくそったれめ!倒れやがれ!」
龍之介がお得意の速さで回り込み、龍二の懐を斬った。
「…チびすケガ」
龍二は龍之介の攻撃をたじろいもせず、龍之介を掴んだ。
「なっ…離せ!」
「貴様…コろす」