第二十五斬【噂】
第二十四斬【噂】
日本最大の組織隊・青龍牙隊を倒してから数日後…
「何!?土地争いが始まる!?」
白百合家の広間に伝助の声が響き渡る。
「そうだ。しかも、嵐山軍団まで参加するらしい」
報告しているのは重治だった。
「青龍牙隊は?」
大悟がいつの間にか来ていた。
「ああ、奴らはこの間潰した。だから、日本一を決める戦いだそうだ」
伝助が返答した。
そこに鉄心が来た。
「俺達は参加しようにも…人数が足りん。そこで黒狐に入れてもらおうと思う」
「ああ、それがいいだろう」
伝助も賛成した。
「皆さん、お茶です」
光子が出てきた。
「あ、ああ。ありがとう」
大悟がお茶を持つ。
「しかし、この辺一帯の組織全体を潰すと言うのは、なかなか難しいものだ」
伝助が言う。
暗い顔で。
「銀十字隊もなかなかやる。しかも、あの狂犬まで敵になってしまっては…」
「少々、拙者たちが不利だな…」
重治の言葉に大悟が納得する。
しばらく沈黙が流れる。
「…黒狐の人数を集めよう」
重治が言い出した。
「でも、一体何処に?」
大悟が聞く。
「ふむ、わしが居た所に行けば、多少の人数は集まるだろう」
「そうか!では、早速…」
重治の意見に大悟が賛成するが、重治は止めた。
「いや、わし一人で行こう」
「でも…」
「大丈夫だ。安心しろ」
そう言って重治は準備をした。
「では、行って来る」
「いってらっしゃい」
こうして重治は一人、中部地方を離れた。
「しかし、こうなってしまっては、これが最後になるかもな」
幸弘が言う。
「そうだな…しかし、その前に拙者は、父上の仇を…」
大悟がその言葉を言った時、光子が反応した。
「父上の仇って…?」
「あのいまいましい【闇刀】のせいで…」
大悟は話し始めた。
昔、まだ大悟が小さい頃…
父親と母親が居た。
しかし、母親はじきに病で倒れた。
父親は戦人で、毎日毎日家を出て行った。
大悟はいつも家に一人で居た。
そんなある日。
父親は言った。
「大悟、お前が大きくなったら必ず戦に出るだろう。その時のために、この刀を渡す」
それが今の【鬼斬】なのだ。
しかし、じきに嫌な報告が入った。
戦死したのだ。
大悟は泣いた。
そして、報告には蛇足がついていた。
「勇敢な五十嵐中佐の戦死については、あの有名な【闇刀】で殺されたとの事です。
その持ち主はまだ分かっていません…」
大悟は立ち上がった。
それから数日歩き回り、色々な小さい組織を潰していった。
しかし体力にも限界があった。
道中歩いているうちに、空腹で倒れてしまった。
そして助けたのが、光子だったのだ。
「そんな事が…」
光子が顔を暗くする。
「だから拙者は、仇をうたねば…」