第二十三斬【闇刀】
第二十三斬【闇刀】
八人の人影は合戦場を駆けた。
「あっ!見えてきたぞ!」
ふいに鉄心が叫ぶ。
「あれは…」
大悟の不安な声と共に、それは当たってしまった。
まさに黒狐と戦っているのはあの青龍牙隊の総隊長、瀬田川龍二だった。
「あ…あいつの持ってる刀…」
それに気づいたのは大助だ。
そう。
龍二の持っている刀。
それこそ、伝説に語り継がれる、【闇刀】だった。
「あれが…闇刀」
大悟が言う。
その顔は怒りに満ちていた。
「あれのせいで…拙者の父上はぁぁぁあ!」
狂ったように大悟が突っ込んでいく。
「な…大悟!?」
勝也が止めようとするが、遅かったようだ。
「なんだ貴様は!」
大悟に気づいた龍二は、闇刀で弾き返した。
尋常では無い威力。
とうてい勝てなかった。
「貴様…俺が誰だか分かってねぇんだな?」
「分かってるからやったんだろ…」
大悟が暗い顔で言った。
「お前の持ってる刀、渡せ」
「何バカ言ってやがる!」
龍二は完全に怒り、刀を振り下ろした。
地べたに体をひっつけている大悟にとってそれはかわせない物だった。
「くそっ…」
しかしその刀は止められた。
「大悟に手を出すな」
それは伝助と重治だった。
「!師匠…伝助殿」
「お前に死なれちゃぁ、困る」
と伝助。
「貴重な人材だ」
龍二は顔をしかめた。
「このヤロウ…てめぇら…上等じゃねぇか!?」
龍二の顔は引きつっている。
と、言っても恐怖ではなく、怒りでだった。
「その闇刀…渡せ」
大悟が言う。
「まだ言うか!」
龍二の攻撃をかわして、何とか刀を掴んだ大悟。
「拙者と…勝負しろ」