第十六斬【日本最強】
第十六斬【日本最強】
白百合家。
鉄心が光子に料理を教わっている。
「え〜と?ここをこうして?」
「違う違う!ここをこうするんです!」
「あっはは!悪い悪い」
なにやら不審な会話が聞こえる…
いったい何を作っているのだろうか。
「何をしているのだ?」
扉を開けて伝助が入ってきた。
「あはは、いや何、光子殿から「くりーむしちゅー」と言うものを教わっているのだ」
「くりーむしちゅー…?」
「鉄心さん!早くしてください」
光子の声が響く。
「それにしても、大悟達が行ってもう二週間も経つな」
鉄心が言う。その目は期待に満ち溢れていた。
「そうだな…あいつら、強くなってるかな…?」
伝助が付け足した。
「そうですね。早く来ないかなぁ…」
光子が窓の外を見る。
すると、二つの人影が見えた。
「あ、あれお二人では?」
光子が反応する。
その声で鉄心と伝助も窓を見る。
「ふむ…行って見るか」
三人が外に出ると、その人影はこっちに近づいてくる。
「…何かおかしいな」
「鉄心もそう思うか」
二人は何気に悪寒を感じた。
そして、それは見事に当たった。
「じゃじゃ〜ん!覚えてるかな!?龍之介と関谷だよ」
「…今回は戦いに来たのではない」
それはこの前白百合家を襲撃した龍之介と関谷だった。
「お前達…何しに来た!」
「いやだから戦いじゃないって」
龍之介が怒る。
「今回は、頼みに来たのだ」
「頼みだと?あれだけここを襲っておいて、何を…」
「頼む」
関谷が頭を下げた。
龍之介は呆然としている。
「そ…そこまでしなくてもいいじゃん!」
「龍之介!頼みに来たのなら、これが礼儀だと思え!」
関谷が怒鳴る。
「わ…分かったよ」
「で、頼みとは?」
鉄心が聞く。
「実は…敵でありながらの俺が頼むのも何だが…」
「うむ」
「今、この土地に、あの日本最強の組織、「清龍牙隊」が来ている…」
その言葉に、伝助は強く反応する。
「な、なんだって!?」
「だから、我が嵐山軍団の総隊長と、この村の長、又、元「黒狐」特攻隊長の伝助殿」
「うむ…」
伝助は元重治の右腕だったのだ。
「「黒浪連合」総隊長、鉄心殿」
「ああ、分かってる」
鉄心はもう理解している。
「今は団結すべきだ。倒せとは言わない、この土地を守るのだ」
関谷が頭を上げた。
「…いいだろう」
伝助が引き受けた。
「ホント!?ありがと!キャッホ〜」
龍之介が飛び跳ねた。
「だが…今は何の組にも属していない大悟と幸弘は…」
「来ている」
そう関谷が言うと、向こうの道から、一味変わった顔つきの大悟と幸弘が来ていた。
「只今戻ったぞ」
「大悟!桜井!」
伝助が叫ぶ。
そしてさらに、重治までも来ていた。
「伝助、こいつらは俺が徹底的に鍛えた」
「あ、貴方は…黒狐総隊長…西郷重治!」
関谷が驚いた声を上げる。
「ん?お前達は?」
「俺たちは、嵐山軍団の幹部!」
「関谷、と…龍之介です」
関谷が自分を指差し、次に龍之介を嫌な目線で見て言った。
「何か…用かね?」