第十五斬【修行開始】
第十五斬【修行開始】
「起きろ!朝だ!」
重治の声と共に大悟達の部屋の扉が開いた。
「ふぁぁぁ〜…」
間抜けた声が聞こえた。
「もう朝ですか…」
大悟はまだ寝ているが、幸弘は重治の声を察知したようだ。
「コラッ!大悟!起きろ!」
もう一声出すと、大悟は驚いた。
「は!?ははは、はいぃ!?」
「しっかりしろ。もう朝だぞ」
状況が分かっていなく、寝ぼけていた大悟に幸弘が言った。
「朝食を取ったら、庭に出ろよ」
重治の声が残り、扉の閉まる音が聞こえた。
「よし、飯だ!」
そこで急に大悟は元気になった。
一見、三度の飯より修行。
と、言う形のようなこの男、大悟だが、実は飯の方が好きだと言うユニークな場面もあった。
「よし、二人ともいるな。では、これより初修行を行う!」
「はい」
重治の真剣な目に、大悟達も真剣な気持ちで答えた。
「まず最初、お前達に足りない物を言わせてもらう」
重治の表情が厳しくなった。
「お前達に足りないのは…」
「……」
沈黙が流れた。
「反射神経…だ」
「反射神経…」
大悟が繰り返す。
「お前達は敵の攻撃をかわすという能力が足りない」
重治が残念そうに言う。
「力と速さは十分だ。ハッキリ言うと、この修行は無くてもいいかも知れない」
「だけど…」
幸弘が言った。
修行をさせてほしい顔だ。
「だから、この家にいる期間は短いと思う。それまで、覚悟しておけよ」
重治の表情は明るくなった。
「はい」
「まずは、反射神経の基本的な修行だ。耳と目で答えろ」
そう言うといきなり重治は殴りを入れてきた。
遅い。
大悟は一気にかわした。
「ほぅ…大悟は合格だ。幸弘!次だ」
そういうとすぐに幸弘に殴りを入れた。
同じスピードだ。
幸弘はそう重い。横に顔を押した。
「なるほど、これくらいはまだまだ駄目か…では、本番に入るぞ!!」
「「おっしゃあ!!」」
そのころ、白百合家では…
「大悟達、大丈夫か?」
鉄心の声が聞こえた。
「大丈夫だろう。あいつらなら、あの修行には耐えれるだろう」
伝助も言う。
「あとな、重治は、二週間の修行で十分だと言っていた」
伝助が続けた。
「そうか…なら大丈夫か…」
まぁ、白百合家は、道中で拾ったあの一万両で建てなおしたのだ。
「二週間まで、気長に待つか」
そして…二週間の日は流れた…