第十四斬【戦いの末…】
第十四斬【戦いの末…】
「桜井!」
大悟が話しかける。
と、同時に目で合図を送った。
「分かってるよ」
幸弘は分かっているようだ。
「じゃあ、作戦開始!」
大悟が右に、幸弘が左に入った。
「なにっ…」
重治は戸惑った。
「上等だな」
重治はその場でとんだ。
どんどん飛躍していく。
10…15…20m!
「なんて飛躍力だ…」
幸弘があっけにとられていると、大悟も飛んだ。
「えやぁぁぁぁぁぁぁ!」
丁度、重治が落ちてくる所だった。
「小僧…やるな」
重治の肩が切られた。
「ハァ…ハァ…」
大悟は息切れしている。
「大丈夫か?大悟」
心配した幸弘が声をかける。
大悟は思ったほど疲労していないようだ。
「大丈夫だ」
大悟の顔は汗だくだった。
それでも大悟は立っている。
「…合格だ。お前達を俺の弟子と認めよう」
重治が刀をしまった。
「良かったな、大悟!幸弘!」
横から鉄心の声が聞こえた。
「がんばってね!大悟!」
光子も声を出した。
「強くなって帰って来い!」
最後に伝助の声が聞こえた。
「「おう!!」」
二人は大声でそう言い、帰っていった三人を見送った。
「さて、腹減っただろ。飯にするぞ」
重治の一言で、二人が硬直しきった体をやわらげた。
「は〜い」
重治の家に入ると、一人の男が出てきた。
「彼は俺の息子の西郷泰隆だ」
「泰隆と申します。お弟子さん、よろしく」
以外と礼儀正しい男だったので、二人はあいさつを返した。
「よろしく」
晩飯はなんと他国料理店で食べたエビグラタンだった。
「これは…エビグラタン?」
大悟が質問をすると、
「うちの女房のだ。美味いぞ〜」
一度口にしたことがある大悟はすぐさま口に運んだ。
「ん〜、美味い!」
しかし幸弘は初めてなので、微妙な顔になった。
「美味い。うん。美味い」
「なんだ桜井、その言葉は!」
大悟が幸弘を叩く。
「いってぇよ、大悟!」
「ハハハ」
またまた安息の一時を過ごした大悟達だった…