第十一斬【道のり】
第十一斬【道のり】
「師匠?」
大悟が疑問の声を出す。
「うむ。今から会いに行こう」
「何処に?」
幸弘が聞いた。
「中部地方だ」
中部地方、ここから数キロで着ける。
あまり遠くは無い。
と、言うより中部地方最強とは、今大悟達が居る地区で最強と言うことでもある。
「そうか…じゃあ、出発しよう」
大悟が言い出し、白百合家を後にし、最低限の荷物を持って歩き出した。
「ふぅ…長旅の合宿になりそうだ…」
幸弘がそう言いだした。
歩いている途中、変な物ばかり見た。
最初は刃こぼれした刀。
まるで使えない。
「なんじゃこりゃ…」
幸弘が嫌だと言いたいような顔をして言う。
「鍛冶屋にでも依頼して直してもらおうか」
そう言い、大悟は拾った。
次に、ぼろくそのもんぺ。
「うえっ…汚いのぉ」
鉄心もこれには駄目らしかった。
「…捨てよう」
大悟が即答した。
鉄心はもんぺを地面に打ち付けてつばを吐いた。
次に、蛇の死体。
「気持ち悪い…」
光子が言い出す。
「何か不吉な事の象徴か!?」
伝助が恐ろしげに言った。
そして次に弁当箱だ。
「…誰か開けてみせろ…」
大悟が嫌そうに言った。
全員の返答は、「絶対に嫌だ」だそうだ。
結局大悟が開ける事になった。
「行くぞ。せーの…」
開けた。
「ぎゃあああ!」
大きな悪臭と共に逃げ去る。
これまでにいろいろ変な物を見てきたが、最後は役に立つ物だった。
「これは…?」
大悟が手に取ったそれは、財布のような物だった。
「な、中身は?」
幸弘が聞く。
そこにはなんと千両ほどの大金が入っていた。
「うぉぉ!すげぇ!」
幸弘が歓声を上げる。
「こりゃいい。伝助殿、これで新しい屋敷を一つ…」
大悟が進めた。
「いいのか?助かる!感謝するよ」
そして、またしばらく歩き続け…
中部地方へと着いた。