第十斬【消火作業】
第十斬【消火作業】
「全く、心配したぞ」
大悟の心配そうな声が聞こえてきた。
「いや、どうも、ありがとうございました」
光子の感謝の声も聞こえた。
「そのとおりだ。大悟君。この度は助けていただき、まことに感謝するぞ」
「いえいえ、拙者は、一泊の恩もあるゆえ…」
そこで幸弘と鉄心の声が聞こえた。
「大悟、早く手伝え」
「人手が足りんでのぉ」
二人はパケツに水を汲み、火を消していた。
「承知した」
大悟はそう言い、二人の場所に駆けていった。
「酷い有様だな…どう建て直すか…」
「ええい、大悟!手伝え〜!」
幸弘が走ってきた。
「す、すまん!今手伝いいたそう!」
二人はしばらく走り回ってた。
「ハハハ」
笑い声が漏れる。
無理は無い。
連続で戦いを続けたのだから、安息の時も必要であるのだ。
そしてしばらく消火作業を続け、やっと火が治まった。
「やっと終わった!」
伝助と鉄心が話していた。
「伝助殿、今までは本当にすまなかった。大悟と会って、わしの考えが変わったのだ」
「うむ、本当に改心したのなら、許そう」
鉄心に安楽の表情が見えた。
「で、さっきの嵐山軍団、とは?」
伝助が聞く。
「ああ、あやつらはさっき幸弘が説明したとおり、北部で恐れられている一軍だ」
「じゃあ、そいつらに目をつけられた、と言う可能性は…」
「完璧だ」
絶望も共に現れた。
「しかし、大悟がこれ以上に成長すれば、かなうかも知れない」
伝助の意見はもっともだった。
そのころの大悟の実力はまだ未熟だと言う。
「しかし、それで嵐山軍団の幹部達に傷をつけたとしたら…」
「うむ、大した物になるだろう」
鉄心も希望を持つ。
「ふむ…一つ、奴を紹介してみるか」
伝助が大悟を呼んだ。
「大悟!ちょっと話が」
幸弘もついてきた。
「何か?」
「実は、嵐山軍団に太刀打ち出来るよう、今からお前達の「師匠」を呼ぶ」
「「師匠?」」
二人は口をあわせた。
「その男は、中部最強の軍団の総隊長だ」