表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天魔のナギ  作者: 猫屋犬彦


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/4

第4話 ファニードール【エピローグ】

(*´∀`*)おぱようございみゃふ!

「うっ―――」

「きゃぁっ!?」


 私が抱き着いた勢いのままナギ様がお倒れになられました。

 ナギ様が背中から倒れ、私が押し倒した様な形です。


(なんて端ない⋯)


 恥ずかしさで思わず顔が赤らむのが解ります。


「ナ、ナギ様、申し訳有りませんっ⋯」

「いや、いい⋯」


 ナギ様はそう言って下さいますが、起き上がる事無く横たわったままで御座います。

 それだけ力を消耗していらっしゃると云う事なのでしょう。

 決して、決して私が重かった訳では御座いませんでしょう。


「はぁ、はぁ⋯」


 ナギ様は熱い吐息を漏らしながら、仰向けに倒れたまま身動ぎ致しません。


「だ、だいじょうぶ?ですの?」


 ナギ様がお辛そうです。


「はぁ、はぁ、平気だ⋯」


 苦悶の表情もお美しいです。

 血を滴らせ、衣服もボロボロ。

 それなのに、だからこそなのか―――


「ごくりっ⋯」


 思わず喉が鳴ります。

 今のナギ様はとてもとても妖艶で魅力的です。

 天使は人間を狂わせる。

 なんて魔性な殿方なのでしょう。


「ナギ様は私にとって天使で⋯悪魔ですわ」

「おい⋯何してる?」


 私はナギ様の衣服に手を掛けます。

 ナギ様の御髪で作られたコートの様な鎧の様な御召物。

 破損箇所が酷く破くのも躊躇われますが、私は構わずビリビリと破きます。

 今の私の握力で簡単に破れると云う事はやはり、ナギ様はかなり弱っているのでしょう。

 ―――今が、チャンスです。


「け、怪我の治療ですわ。先ずは衣服を脱がさねば⋯」


 口の中が渇きます。

 恐らく十代半ば程の肉体に成長されたナギ様のお身体⋯とても、とても良いですわぁ⋯


「必要無い。俺の毛髪で作った武具だ。回復術式も込めて有る。このまま放置で⋯て、だから脱がせるな」

「んっ」


 私は乾き始めた傷口に舌先を這わせます。

 そして旦那様に脱がされかけていた衣服を全て脱ぎ捨てます。


「やめろ⋯」

「ナギ様⋯」


 私はナギ様に跨り、今生ではまだ男を知らぬ秘所を充てがいます。

 ナギ様の物は⋯たくさん傷を負う程の戦闘をした所為なのか、とても逞しくそそり勃っております。


「うふふ、これなら、だいじょーぶそう、ですわぁ⋯」

「な、何をするつもりだっ?血迷うな⋯何故こんな事を⋯」


 戸惑うナギ様が私を退かそうとします。

 私はそれに抵抗し、無理矢理事を進める事にします。


「いやっ!忘れさせて下さいましっ!あの男に汚された記憶がまだ有りますのっ!ナギ様は、こんな汚れた魂の女はお嫌ですのっ!?」

「それは⋯」

「哀れな此の身に御慈悲を下さいませ」

「ん⋯」


 強引に唇を奪うと、ナギ様の力が弱まりました。

 同情させ弱味に付け込む様で少し心苦しいですが、私も必死です。

 此の身は未だ純潔を保っておりますが、旦那様から散々に犯され孕まされ、堕胎までさせられた記憶はしっかりと有ります。

 更には魔人と化し、勇者ヴィヴィに葬られた事まで覚えております。

 確かにナギ様に救って頂いた実感は有ります。

 でももしかしたら、今のこの出来事は全て、今際の際で見る幻想である可能性も捨て切れません。

 証が、証拠が、証明が欲しいのです。

 ナギ様に愛されていると云う、確証が。


「痛っ―――」

「ファニードール?無理はするな―――」

「⋯く、有りませんっ!」


 嘘です。

 今回は初めてだから痛いに決まっている。

 それでも私は止まりません。

 愛しい男を迎え入れる事に没頭します。

 それにしてもナギ様の反応がおかしい。

 あんなに勇敢に戦い私を守ってくれたのに⋯

 戸惑っている様な、まるで怯えている様な⋯?


「すまん。俺も経験が⋯初めてなんだ。だから―――」

「そうですわよね」


 戦う前は赤ん坊くらいの見た目でしたし。

 実際の年齢はどのぐらいなのかは解りませんが、身体がずっとあのサイズであったのなら、本当に未経験に違い有りません。


「ナギ様の初めては⋯私の物―――うふふ」

「ファニードール?」


 それを聴いて、私の中でナニカのスイッチが入るのが解りました。


「⋯お可愛らしいですわ」

「え?」

「ナギ様っ!」

「ちょ待―――」


 ⋯⋯⋯そして2人は愛し合いました、とさ。


「⋯うふふ、ずっと、いっしょ⋯ですわ⋯」


 この方は私の救世主、私だけの天使様。

 幸福感で満たされ微睡んでいると、ナギ様が起き上がる気配が有りました。


「⋯⋯んん⋯ナギ様?何処へ行かれるのですか?」

「⋯うん、ああ」


 時間が経って回復したのか、ナギ様の傷は癒え、黒い鎧も修復されています。

 ナギ様は暫く逡巡した後にポツリと言いました。


「―――すまん。俺にはやるべき事がある」

「解りましたわ。私も一緒に」

「それは無理だ」

「は?」


 私が固まります。

 何故でしょうか?

 ナギ様は私を愛して下さいます。

 私もナギ様を愛しております。

 まさか天使は地上の事に余り干渉出来ないとかのお話でしょうか?

 此のまま天へ帰ってしまわれる?


「此の時間軸での、俺のやるべき事は終わった」


 思っていたのとは違う理由でしたが、意味が解りません。

 ナギ様が、ナギ様が私を―――


「す、捨てるのですか?私を愛しているのでは―――」

「俺の事は忘れて、幸せに、普通に生きて欲しい」


 は?

 私を愛しているので―――


「俺には救うべき女が居る」


 その言葉に私の心に亀裂が走ります。

 私の反応等お構いなく宙に浮くナギ様。


「正直助かった。有り難うファニードール。波長の合う乙女の献身的な魂の繋がり、か。成る程。お陰でまた―――跳べる」

「ナギ様っ!私はそんなつもりではっ!?」


 私が慌てます。

 ナギ様のお言葉のほとんどが解りませんが、私がナギ様を襲ってしまった事が裏目に出た事だけは解りました。

 実際、ナギ様と結ばれた事で私の魔力が活性化していました。

 魔人化とは違うベクトルで才能が花開きつつ有るのを感じます。

 共鳴、共振⋯とでも呼びましょうか。

 ナギ様にも同じ様な現象が起きていたのです。

 ですがナギ様は、その力を私から離れる為に使おうとしているっ!


「だ、駄目ですわっ!私を置いて行かないでっ!」

「無理だ。人間の身体では耐えられない。連れては行けない」


 縋り付こうとしても、魔力操作がまだ上手く出来ない私は宙に浮く事も、脚力強化して跳ぶ事も出来ない。

 イメージとして魔力とはお金の様な物。

 魔法とは魔力を支払い物を購入する事。

 私は今それこそ大金を手に入れてはいましたが、購入するべき物が無く、例え買っても使いこなせない。

 ナギ様に手が、届かない―――


「待って!置いていかないでぇっ!嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 私が泣きながら絶叫しても、ナギ様はもう此方を見ては下さいません。


「さらばだ。ファニードール。君を救えて良かった―――」


 そのお言葉を遺し、ナギ様は虚空へと消え去りました。


「ナギ様ぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 現れた時と同じく、何の前触れも痕跡も有りません。

 光の羽が一枚ひらりと地面に堕ちて行きます。

 地面へ触れる前に光の粒と成って消え去りましたが。


「あああああああああああああああああっ!?」


 無意識に掴み取ろうとした私は地面を爪で抉ります。

 爪の中に土や石が入り込み汚れますが、構わずに握り込みます。


「良くないですわよっ!?何なんですのっ!?」


 私は吠えました。

 魔人化した時程昏い感情ではなかったですが、嫉妬の炎で胸も頭も魂も焼け焦げそうです。

 私の妄想の中でナギ様が見知らぬ女と抱き合います。


『誰よその女』


 妄想の中の女が、地べたに這い蹲る私を見て嘲笑います。


『ああ?救ってやったら思い上がって、俺に愛されていると勘違いした痛い女だ』


 ナギ様が心底迷惑そうに吐き捨てます。


『うふふ、ナギは僕の物なのにね』


 妄想の中の女は、自然と勇者ヴィヴィの姿に変わっておりました。


「⋯⋯⋯誰です?その女は―――」


 私の瞳から涙が止め処無く溢れ続けます。


「逃がしません、から」


 私は漸く身体を動かします。

 何時迄も蹲ったままではいられません。

 魔人になったのは悪魔に魂を売ったから。

 だけどそもそもの話、私にはその方面の才は有った筈です。


「皮肉な話ですわね。ナギ様の御力を回復させてしまいましたが⋯私も今、確かに魔力が上がっている」


 あの逢瀬は無駄では無かった。

 まだ魔人ファフニールの時程の全能感は有りません。

 普通の人間と同じく、少しずつ使いこなして地道に経験を積んで行くしか無いのでしょう。


「でも⋯まだ望みは有りますわ」


 この世界でどれだけの人間が絶望に塗れて死んでいったろう。

 その中で悪魔と取引出来る者は幸福なのか不幸なのか。

 今更悪魔を呼び出せる程の負の感情は抱けないでしょう。

 だけどあの人を追いかける、絶対に。

 その気持ちはブレません。


「良いですわよ。絶対―――逃がしませんわ」


 お腹を撫でます。

 さっきたくさん搾り取ったあの人の物が、まだある。

 これをパスにすれば辿れる。

 呪詛返しの一種です。


「ふふ。魔人の時の知識も有るのは助かりますわね」


 悪魔と契約して魔人化した時、魔力の使い方や魔法への知識が自然に脳に刻まれました。

 魔力が無ければ役にも立たない知識です。

 実際今生では旦那様に組み伏せられ危うく純潔を散らされる所でしたし。

 

「あああーーーーっ!ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ナギ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――」

 

 あの方が何処の誰とか、それこそ天使でも悪魔でも魔人でも人間じゃなくても関係無いですわ。


「必ず捕まえますわ」


 そう言い放ち、私は自らの足で立ち上がります。

 愛しい愛しい私だけの天使様を、今度こそ手に入れる為に。

(*´∀`*)お読み頂き有り難う御座いみゃす!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ