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尋ね人の東日録  作者: 播磨
幼少期の日記
6/8

花の開花時期によるやろ

春の刻51

今日はお茶会の当日だ。

お茶会までの会場であるポネット様のお母様のご実家のサラサンド家のお屋敷は城から馬車で一時間ほどの距離があり、今私と姫様は同じ馬車に揺られながら道中の窓の外の風景を楽しんでいた。

サラサンド家の保有する領土は花の名産地として知られ、道中のそこかしこにも花畑が多くあった。

チューリップにネモフィラにガーベラにゼラニウム、アネモネにパンジーにヒヤシンスにマーガレットなど花の種類も様々だ。

勿論花の名前はあちらの世界とは違うのだが、自分の中での花の名前はこちらのほうが馴染んでいるため話す時以外では訂正しない。

春の刻の中旬ということは日本だと四月ぐらいなのだろう。

桜や藤、たんぽぽに菜の花に桃の花が見ごろなんだろうな。

花粉症に悩まされていない今、桜は特に見たかった。

しかしそれらの花はアジア圏、この世界でいうと極東へ行かなければ見れないのだろう。


この世界でも日本は極東という名で呼ばれていて、貿易も盛んではなく現在も自国との貿易はしていないと資料には書かれていた。

貿易ができなくなった明確な年数は書かれていないけれど、状態的に鎖国と似ている。

西暦1639年、江戸時代三代目将軍の徳川家光公により1854年の日米和親条約が締結するまでの215年間鎖国をしていたと教科書には書かれていた。

この世界の現在の西暦は3805年。

貴族社会が主なこの国は、中世ヨーロッパの中世盛期によく似ている。

中世盛期は11世紀から13世紀頃だといわれていて、日本の鎖国の時期とはかぶってはいない。

まぁそこは異世界なんだし、似ているからと言って完全に一緒ではないよな。

極東には個人的には行きたいけど、異国船打払令がもし出ていたら命が危うい。

今の目標はあくまで『自分がこっちとあっちでどうなっているのか知る』である。

自分の身勝手理由で死んでしまっては、元も子もない。

よし!気持ちを切り替えよう。


えっと…何の話から極東になったんだっけ…?

あぁ、そうだ。花で桜が見たいと思ったからか。

桜といえば、今日の姫様のドレスの色も薄い桃色だ。

花が邪魔にならないような派手ではない格好だが、高貴さや美しさを感じるドレスを着た姫様は、実際の年齢よりも大きく見える。

思わず「ありがとうございます!!!!」と言いそうになった。流石姫様だ。

自分も護衛従者だが側近なので高級感のある衣装を身にまとっている。

ドレスは動きにくいからズボンにしてほしいとしか希望しなかったが、出来上がった衣装は自分の想像をはるかに超えた代物が届いた。

貴族の男性が着るには質素だが、執事さん方が着るにしては高級感が出ているような衣装だ。

ベストが燕尾服のジャケットの後ろ側に長く伸びている燕の尾のような特徴があり、クロスタイのネクタイピンは宝石であしらわれている。

テンションは上がるがそれと同時にこれを着ることに躊躇していた。

汚したり傷つけたりすれば、額も気になるが何より職人さん方に失礼だ。

ドレスを着ていた際もそうだが高いものを身に着けると落ち着かない。


「イヴ、大丈夫?顔色が悪いけれど、具合が悪くなっちゃった?」


「あ…いえ…。大丈夫ですよ姫様。少し…緊張しているだけです」


「イヴでも緊張をすることがあるのね。なんだか安心したわ。(わたくし)だけ緊張しているのかしらって不安だったの。でも…フフ。イヴの緊張っぷりを見てなんだか安心したわ。」


「ア…アハハハハハ…。それは…よかったです」


口が裂けても衣装で緊張していただけなんて言えない。

でも姫様の笑顔がも戻ってよかった。

先ほどまでの姫様は恐怖でか、顔を歪ませていたから。

自分より緊張している人を見ると冷静になる現象を自分が起こしたらしい。

そのまま姫様とお話をしているとあっという間にサラサンド邸に着いた。


______________________________


流石花の名産地を領土にする家だ。

門から会場に向かうまでの道中も花に囲まれていて、会場の前には花のアーチもあった。

肝心の会場だが、絵本のような幻想郷の世界にいるようで頬が緩む。


「フフ、イヴが楽しそうなところを見ていると来てよかったと思えるわ。いつみても、サラサンド邸の庭は綺麗ね。」


「姫様もこの花々に負けないほどお綺麗ですよ。」


「あら、イヴったら。会ってまだ数日しか経ってないけれどあなたの性格上、そんなことは言わないでしょ?無理をしてお世辞は言わなくていいのよ。」


「?無理はしていないのですが。確かに花と人とでは比べるものではありません。それでも私の目に映る姫様は、ここに咲くどの花よりもきれいに映っているのです。」


「うぅ…ロマンス小説の騎士様のようなことを言うのね…。ちょっとときめいちゃったわ。」


「赤くなったそのお顔もお綺麗ですよ。ではその調子で挨拶も頑張りましょうか。」


リオマー王子とルイジー王子も招待されているこのお茶会の規模はかなり大きい。

王族からの挨拶はかなりの注目を浴びるだろ。

最近まで部屋に引きこもっていて、他者との接触も嫌っていた姫様の久しぶりの社交界への復帰にしてはハードルが高すぎる。

先ほどからあちらこちらでひそひそと話す声も聞こえるし…。

まぁ挨拶の最中に乱入してくるような馬鹿はいないだろう。


「お待ちしておりました、リオマー王子、ルイジー王子、モカ姫様。今日は我がサラサンド家主催のお茶会に来てくださりありがとうございます。」


サラサウンド家の次期当主の方が三人に挨拶をした。

ポネット様は招待状を送った身で母方の実家でもあるが来賓という立ち位置となっている。

そこら辺はまだ勉強不足で何も言えない。


「お招きいただきありがとうございます。お言葉に甘えさせていただいて、今日は花を見ながら心落ち着く時間を楽しみたいと思っておりますわ。」


姫様が馬車の中で何回も練習していた言葉を発言した。


_______________________________


一通り挨拶が終わると会場の中心から少し離れたところに移動をした。


「姫様、大変ご立派でした。お疲れ様です。ポネット様はもう少しでここに来られると思われますので、先に紅茶でもお召し上がりください」


「ありがとうイヴ。」


姫様がカップに手を付け紅茶を召し上がる。

香りからしてローズティーだろうか?

紅茶の入れ方はまだ練習中なため、このようにきれいに入れられる使用人さん方を尊敬する。


「この会場にはイヴのお姉さんも来てるんじゃないかしら。ポネットちゃんももうすぐ来るし、少し会いに行って来たら?」


「いえ、ポネット様がこちらに来るまで離れてはいけないかと」


「心配のしすぎよ。先ほどの挨拶を見たでしょう。もう前までの(わたくし)とは違うの。」


「ですが「モカちゃーーーん」っと、ポネット様がいらしたようですね。」


「ポネットちゃんも来たようだし、本当に大丈夫よ。久しぶりに家族に会いに行ったほうがいいわ。」


「…はい、ではお言葉に甘えます。失礼いたしますね」


ポネット様と入れ違いのように自分はこの場を去った。

去ったといっても二人が見えないような位置に移動しただけで姉さんを探しには行っていない。

ただ覗くように見ているだけでは怪しまれるため、師匠から習った気配の消し方を実行しながら二人を見ている。

不意に肩をたたかれるまでは気配の消し方は完璧だったと自分では言える。


「ピッ!!!!」


「アハハハハハww、相棒驚きすぎ~ww」


「しばくぞお前」


「相棒ってなんだかんだビビりだよね~。深夜の作戦の時も暗~い廊下をびくびくしながら歩いてたしー」


「違うよあれは…けっ警戒してただけだし…。別に怖いわけじゃないし…」


「まっ、そういうことにしておこうかな!」


クッソにやにや顔のまま私を見てくるニックの顔を殴ってやりたい。

せっかく、『隙のない完璧なイケ女』を目指しているのに…。

ビビりなのも暗いところが嫌いなのも事実だけど、此奴にはバレたくなかった。

なんでって?揶揄われる&ドッキリとか仕掛けられそうだからだよ!


「ハァ…侯爵家ではあるから来てはいると思ったけど、よく此処だってわかったね」


「いくら気配を消そうとも、相棒のいるところは分かっちゃうよ~。それに姫様の存在をちらちらって見る視線は絶えないからね。その視線の近くには相棒がいるんじゃないかと思って」


「ちらちら…ねぇ…」


王族というだけでも注目はされるが、引きこもっていたと噂されていた姫様が居るとなると見てはしまうのだろう。

あと姫様は美人で綺麗で可愛いし見てしまうのもわかる。

人の顔の良し悪しが分からない自分でも堕とされたからな。

リオマー王子のほうは…婚約者の方とかな?その人とお話をされている。

イルジー王子はきっとあの人だかりの中だろう。大変そうだ。

姫様も現在は婚約者はいない身なので、王族という身分もある分お二人と同じ状況にはなりやすい。

今はまだ珍しいという理由で遠巻きにはされているが、少し時間が経てば花に群がる虫のように集まるだろう。

それを姫様が嫌っているからこそどうにかしてあげたいのにな…。





…もしかしてコレが原因か…?





忠誠、信仰とは時に行き過ぎることがある。

その思いは、相手の為にと良かれと行動に移し、結果相手を苦しませてしまったという事例が起きる。

殺されそうになったというのは、姫様ではなく従者の方だったとしたら…?

陰口をされていたのは姫様ではなく従者の方だったとしたら…?

何故姫様は、家族とも会わずに部屋に引きこもるようになったのか。

ひそひそと鳴り止まない小声で話す音。

気にはしないようにしていたけど、今はそんなことは言ってられない。


「ニック、誰からも知られずに弱い風の魔法を私に当ててくれる?出来れば直接じゃなくて、一度ここの会場を一周するような風を当ててほしい。」


「トルネードみたいにだね。いーよ、やってあげる。」


ニックが小声で詠唱を唱え始め、自分も聴覚に意識を集中させる。

しばらくして私の耳をかするような弱い風が当たりだしてきた。

「あんなお綺麗な姫様の従者が傷物の令嬢なんて…」

「いくら庇った傷だからといって、傷物にはかわりないのに」

「それに何?あの格好。女を捨てたような格好ではしたないわ」

「姫様もお可哀想に…」

風に乗って耳に入ってくる言葉は、私に対しての陰口と姫様への同情の言葉ばかりだ。


「どう相棒。辛くない?」


「ニックは最初から聞こえてたんだろ」


「そりゃあね。相棒のことはいい噂でも悪い噂でも聞き逃さないって決めてるから。でも、悪い噂は相棒の耳に入ってほしくなくてね…」


「心遣いありがと。ぶっちゃけ、普通に辛いよ。誰かもわからないし知り合いでもない関わりのない人たちだけど、それでも好印象でいたいじゃん。誰しも好きで嫌われようとは思わないんだし。アインシュタインという天才の偉人の名言に『弱い人は復讐する。強い人は許す。賢い人は無視する』って言葉があるんだ。私はね、復習したいとは思わない。だって傷物なのは本当のことだし、ズボンを履くことで女を捨てているって言われることを覚悟していたの。だから、ただ事実を言われているだけ。でも許すこともできないよ。だって事情を知らないのにって、どうしても思っちゃうからね。この思考をしてる時点で無視はできていないし、私は弱くも強くも賢くもないんだよ。」


「それでも、相棒はモカ様の近くに居続けるんでしょ。」


「当たり前。モカ様から直接『傷物で女を捨ててるはしたない人は近くにいないで』なんて言われてないんだから、離れていく理由にはなんないよ。それに私は今のこの生活が気に入ってるの。自分のしたいことをしている私を、私は大事にしたい。行動する動機は他人でも、最後に選択するのは自分自身なんだから。なら、その選択を後悔するまで進めるのもありでしょ。だって、リスクのない選択なんてないんだからさ。私は欲張りなんだよ。身の丈に合わないこともしたいし、全部手に入れたい。そのためにまずはどんなことも経験しておかないとね。」


「傲慢だなぁ。二択でどちらか一方しか選べない選択を両方選ぼうとしているみたいだ。あるいは、選択しないって新たな選択を作っているみたい。肯定も否定も全部欲していそうだ。自分の意見を大切にって言葉はよく聞くけど、こんなに遠回りで聞いたのは初めてだよ。」


「誉め言葉として受け取っておくよ。それにしても決めつけるというものは厄介だね。誰しもができることだからこそ対策の仕様がないし、それも一つの個性だから簡単には消せない。私もしちゃうから、人のこと言えないんだけどさ。」


「じゃあどうするの?今は小声だけで済んでいて聞かなければ害はないけど、放っておいたらいつかは害をなしてくる。噂は信憑性はなくとも疑いの種は植えつけるから、早急に種を取り除いた方がいいんじゃないかな。」


「種は、水をあげすぎると腐るときもあるんだよ。自然に植えた種は、雨や地中からの栄養素によって人間の手を借りなくても花を咲かすことは出来る。でも、植木鉢に植えるだけだと芽が出るかも怪しい。私はその植木鉢に過ぎない。土も種も水も肥料も、噂を話す人たちが用意したものでしかない。今までならその植木鉢から種が成長して花が咲くことも、成長に耐え切れずに植木鉢の方が壊れることがあったんだろうね。さてここで問題だよ。私はどんな植木鉢だと思うかね?相棒君。」


「そうだね~…相棒の植木鉢を使ったら簡単に花は咲かなさそう。だって勝手に土を入れられた時点で怒ってそうなんだもん。怒っている植木鉢は種の成長を邪魔してきそうだし、入れた土も種も自分のものにしそうだ。」


「理解が早くて助かるよ。簡単に噂の種を好きにできるなんて、いつから植木鉢は無害だと思っているのかしら。種が芽吹いた時には、もう違う種子になっているかもしれないのに。種が芽吹くことを知っているのは植木鉢とその土だけ。どんな花を咲かす種かも知らないのなら、どんな花でも咲かせてさえすればいい。もしくは、種を腐らせたり種の中身をなくせばいいんだから。」


新調したヒールなのか転びそうになっている令嬢に、食べ物を落としたのか汚れのあるシーツ。

体調がすぐれなさそうな人に薔薇の花の棘によって腕の裾の衣装が破けている五歳くらいの小さな令息などなど、問題はそこら中に転がっている。


転びそうになっている令嬢の肩を抱いてベンチまで誘導し使用人さんを呼ぶ。

体調が優れなさそうになっている人にはお水と一人になれる空気の優れた場所へ誘導。

衣装が破けているご令息に自身の上着をかけ、抱き上げて近くにいる使用人さんに事情説明をして託す。

そしてぶっつけ本番でテーブルクロスを引く。

テーブルクロス引きは完成の法則に基づいていると何かの拍子に見たことがある。

どれだけの速さで引けばいいのかわからないので、ズルだが机の上にあるものを数ミリ浮かせてクロスを引いた。

周りにはバレていないようで拍手が聞こえる。


噂とはどこで脚色されるかわからないもの。

なら何かしら行動あるのみだろう。

下心のある善意だが、それを知っているのは自身か自身の親しい人しかわからない。

さあ、噂はこれからどうなるのだろうか。

これで流れが変わるのか、もしくは変わらないのか。

また楽しみが増えそうだ。

きっと今の自分は笑顔なんだろうな。

でなければ、目が合ったニックが途端に噴き出している理由にならないだろうからな。

____________________________


お茶会がお開きになりそうな時間帯になるまでモカ様とポネット様はお話をしていた。

その間に久しぶりに家族と話したりニックと雑談を再開したりと私自身もかなり楽しく過ごした。

今は帰りの馬車の中で、モカ様の様子は少し眠そうだ。


「お城につきましたら起こしますので、ゆっくり眠っていてもかまわないのですよ。」


モカ様は目をこすって顔を左右に振った。


「いいえ…、まだイヴとお話したいから起きているわ。」


「お城に着いてからでもお話は出来ますよ。まあ、モカ様の意見を尊重しますけど」


「それよ!(わたくし)はそれを聞きたかったの!」


モカ様の思考が覚醒したのかいきなり声が大きくなる。

眠気が吹き飛んだらしい。


「お茶会がお開きになりそうになって合流したと思ったら、いつもの姫様呼びから名前で呼んでくれるようになって驚いたんだから。どうしていきなり名前で呼んでくれるようになったの?」


「ちょっと他の人と区別したくなりまして」


自分の陰口や根も葉もないことを噂で踊らされているような人たちと同じ呼び名で呼びたくないからね。


「不愉快に思われましたか?」


「いいえ、でもなんだか嬉しいわ。距離がぐんと縮まったようでイヴのことをより一層感じられそうよ。」


「それはよかったです。」


思わず頭を撫でそうになった自分を抑える。

推しに可愛い笑顔を向けられて耐えれた自分は偉い。

しかし態度に出ていただろうか。なんだかモカ様がもじもじとしている。

トイレにでも行きたいのだろうか?


「あのねイヴ…その…、何も言われなかった?」


「言われなかったとは?」


「その…ふさわしくない…とか…」


「ああ、陰口のことですか。普通に言われましたよ」


「あ…そうなの…。イヴは、辛くなかった…?…もう…(わたくし)と居たくないって思っちゃった…?」


「不快には思いましたが、それとモカ様の御側にいるという問題は関係ありませんよ。それにモカ様、私がそんな低俗なものに負けるとお思いですか?」


「…言われてみれば、イヴは負けなさそうね。でも辛いって思うことから離れたくはないの?」


「辛いことから離れるだけではやりたいことなんて限られてます。もちろん離れることも時には大切で自分を守るものではありますが、辛くても離れずにやりたいことをするのも自分のためになります。代償なしで出来ることなんてほんのわずかしかないのなら、代償を払ってでも自分のしたいことを選んでもいいじゃないですか。私は、いくら陰口を言われようがモカ様の御側にいたいです。あ、でも私の陰口を聞きたくないとかモカ様自身が私を自身にふさわしくないなと思っておられるようなら尊重しますよ。」


「イヴも(わたくし)がそんなことを思うと思ってるの?お茶会に行く日を決めた日にも言ったでしょ。今の(わたくし)は前までとは違うの。勿論大切な人が陰口を言われているのはとても悲しいわ。でも、ふさわしいふさわしくないなんて周りが決めていいものなんかじゃないの。イヴには(わたくし)の側にいてほしい、貴方はその願いをかなえてくれるわよね。」


「勿論ですよ、私のご主人様」


本当に、この人はお強い。

忠誠は元より誓ってはいるが、もし初めて出会ったとしても自分は忠誠を誓っていると断言できる。

自分を必要としてくれる人についていくという考えは安直だろうか。

そもそも私は崇拝型のオタクなので、推しが何と言おうが全肯定である。

側近護衛従者である以上意見も言わないといけないが、お話しできるだけでもありがたい。

今後ともモカ様のお役に全力で立つというのは心からの願いだ。

それに強い人に人が集まるのは世の原理だ。


しばらくするとモカ様は私の方に寄りかかって寝てしまった。

寝顔は年相応で愛らしかった。

モカ様のトラウマが根本的に解決できたわけではないが、それでも原因を見つけられたことは進歩だろう。

生命体で異なる思考を持っている時点で争いは絶えない。

この問題に終わりはないだろうが、それでもできるだけの対処をしたいとは思う。

それがこの世界での自分の課題であり、私の使命なのだから。

              以上

内容:お花見のお茶会

感想と反省:

・姫様が可愛かった

・姫様は立派に成長していってる

・自分の感情を抑えるのは甘かったようだ

・考えすぎはよくない

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