#095
それからトレーニングルームを出たミントは、RELAY-Gのテストで掻いた汗を流すため、シャワーを浴びることを許される。
施設内にあった浴室へと向い、トレーニングウェアをに脱いで熱いシャワーを頭から浴びた。
濡れていく自分の緑色の髪に手をやりながら、彼女は愛おしそうに両目を瞑る。
「ラスグリーンさん……。私……やれました、やれましたよ……」
そして独り言を呟きながら、すでに亡くなっている恩人のことを想った。
その頃――。
ミントが浴室に行ったと聞いたリョウガは、大急ぎで彼女いる場所へと向かっていた。
リョウガはノピアやパシフィカの後ろで、ミントがRELAY-Gを動かして見せたことに興奮冷めやらぬ、他人を押し退けてひたすら走る。
「ヤバいぜあの子ッ! マジでヤベーッ!」
誰に言うでもなく声を出し続けるリョウガ。
それから彼は浴室の前に着くと、扉に手をかけてピタッと止まった。
「いかんいかん、出てくるまで待たなきゃな」
当然ミントは鍵はかけているだろうが。
シャワー中に声をかけられたら、不快な思いをするかもしれない。
相手は年頃の女性なのだ。
リョウガはそう考えると、浴室前の廊下でミントを待つことにした。
壁に背をつけて両腕を組んで、自分を落ち着かせようとしてはいるが。
その身体は興奮で震え、表情は緩んでいる。
そんな状態で浴室前にいるリョウガを見たストリング帝国兵たちは、ヒソヒソと小声で話しながら通り過ぎていた。
そんな彼らに気が付いたリョウガは、緩んだ表情から一変、顔を強張らせていた。
「ケッ、なんだよあいつら。マシーナリーウイルスに適合できなかったやっかみか? 相変わらず陰険だな、クソが」
去っていく帝国兵の背中に悪態をつくリョウガ。
そう――。
兵士たちの態度を見ればわかるが。
彼はストリング帝国内では、かなり疎まれている。
その理由は、先に本人が口にしたように、リョウガがマシーナリーウイルスに適合できたからだ。
ノピアが総帥となった現在のストリング帝国では、兵士たちすべてが自らマシーナリーウイルスの注入を望んだ。
もちろんすべての兵がウイルスを注入できたわけではない。
その中でも、よりウイルスの適合率が高かった者が選ばれている。
リョウガはその志願して兵士の中で、数少ない成功例だった。
彼以外の者の多くが全身が機械化し、自我を失って機械人形になって殺処分された。
その中には、ベテラン兵士や階級が高い者もいた。
兵士たちがリョウガのことを気に入らない理由は、ただの一兵卒の新米が、いきなり准尉という地位についたことだ。
さらに兵たちの不満を増長させたのは、偉そうに振る舞う彼の態度にあった。
いや、帝国兵らがもっと穏やかに接していれば、リョウガも嫌われるような真似はしなかったかもしれない。
なんにしても、リョウガは帝国内では孤立している。
だが、そんな彼にも帝国内で光が見え始めていた。
「おッ! 出てきたか、ミントッ!」




