#093
――ソウルミューが開発した新兵器であるゴーストファイアの訓練を終えたファルコンヘッドのメンバーたちは、メディスンらと共にスペースバトルシップに乗り込んでいた。
その宇宙戦艦の名はホワイトファルコンJr。
それは今から十三年前に、戦死した英雄の一人であるクロム·グラッドストーンが歯車の街――ホイールウェイの職人たちと造り上げた飛行船にあやかって開発されたファルコンヘッド用の新造艦だ。
全長二百六メートル、全幅三十四.二メートル、総重量十八トン。
レーザービーム砲四門、連装機銃二基が取り付けられた連合国軍の戦艦レインボーよりも小回りが利くものだ。
このバトルシップもまたソウルミューが開発に携わっており、すでにベースとなるものは出来ていたものを彼がチューンナップしたものである。
「皆に紹介したい人物がいる」
艦内に集められたファルコンヘッドのメンバーの前で、この部隊の指揮官であるメディスンが言う。
「以前から話していたが、今日をもって彼女、アン·テネシーグレッチ大尉が我々の部隊に配属になった」
メディスンに紹介されたアンが彼の隣に歩を進め、兵たちに会釈。
すると、その場にいた全員が歓声をあげた。
アンは十三年前に世界を暴走コンピューターから救った英雄であり、その後の戦いでも連合国の軍人として戦果を上げてきた。
さらにアンとは戦友であるメディスンとエヌエーの部隊に入った兵たちにとって、この反応も当然だろうと思われる。
「やっと来てくれたね。これでノピア·ラッシクなんか怖くないよ」
兵たちの中には、連合国軍中尉であるバテリア·プロカリオートもいた。
彼女は他の者たちと同じく――いやそれ以上にアンに憧れて連合国の軍人になった。
当然アンのファルコンヘッドへの加入には、その喜びを隠しきれない様子だ。
そんな彼女の横では、態度には出していないものの、嬉しそうにアンのことを眺めているブレシングの姿があった。
「あぁ、アンさんがメディスンさんとエヌエーさんと組めば、帝国なんかに負けない」
ブレシングが返事をすると、バテリアが彼の頭をコツンと叩く。
何をするんだとムッとバテリアを見たブレシングに、彼女は言う。
「あんたねぇ、メディスン大佐やエヌエー中佐、そしてアン大尉と親しいからって、その呼び方には気を付けなさいよ。仮にも先輩で直属の上司になるんだから」
「それは、そうだね。ごめん、つい癖で……。気を付けるよ」
「まあ、あたしの前だけならいいけどね」
バテリアはそう言うと、ブレシングの背中をバシバシと叩いた。
相変わらず手加減を知らないと痛がるブレシングだったが。
彼女の気遣いに内心で感謝している。
そしてブレシングは、ある人物――ストリング帝国へ行ってしまったミント·エンチャンテッドのことを思う。
(ミント……。アンさんは戦うことを決めたよ。君は本当に僕らと戦うつもりなのか……?)
それからメディスンは、ホワイトファルコンJrを宇宙へと向かわせるため、ブレシングたちに出発の準備をするように指示を出した。




