#089
メディスンはまるで罪を告白するかのように、アンへと語り始めた。
彼は約十三年前から反帝国組織であるバイオナンバーの一員として戦い始め、その後はバイオニクス共和国で暗部組織ビザールのリーダーとなり、現在は連合国軍の軍人となって前線に立ち続けてきた。
常に世界を良き方向へと動かすためにして来たメディスンの行動は、アンのような特殊能力を持っていない軍人や若者たちに勇気を与える。
それは彼と同じく前線に立ち続けているエヌエーや、任務で亡くなった彼女の旦那であるブラッドも同じである。
三人の功績は、彼らと直接会ったことなくても、多大な敬意を持つほどの影響があるものだった。
だがそんな称賛も、これまでの戦いで亡くした者らの損失は埋めれない(けして比べることではないが)。
生き残ってきたメディスンとエヌエーには、常に罪悪感があった。
二人は事件が起きれば前線に立ってはいるものの。
結局は、特殊能力を持った者たちに戦いを任せるしかないことが多かったからだった。
十三年前の暴走コンピューターとの戦いや、その後の反帝国組織とストリング帝国の戦争もしかり――。
五、六年前でのバイオニクス共和国での戦いや、世界的テロ宗教団体であった永遠なる破滅が崩壊させた世界後での混乱もしかり――。
三年前に帝国の残党が現れたアンプリファイア・シティでの事件もしかり――。
そして今は、共和国時代では味方であり、死亡――または行方不明扱いになっていたノピア·ラッシク率いる新体制のストリング帝国を相手にすることになった。
「いつもだ……。いつも特殊能力を持つ人間に頼らねばならん……」
メディスンは言葉を続ける。
落胆と自分への怒りが混じった声で、独り言を呟くように。
特殊能力もないのに生き残ってきた英雄――。
メディスンからすれば、それは特殊能力を持っていなかったから生き残ったというべきだと口にした。
けしてこれまでの戦いを、知恵と勇気で乗り越えてきたわけではない。
戦いの場にいつつも、最後は結局アンのような特殊能力者たちに任せることしかできないからだ。
だからこうやって生きていられる。
自分は受ける称賛や敬意に値するような人間ではないのだと、メディスンはさらに顔を俯かせて言った。
「メディスン……」
そんな彼にアンが声をかける。
「メディスンにはメディスンしかできなことがある。エヌエーもそうだ。お前たちはいつも自分にできることを全力でやっていたよ。私は、誰よりもそれを知っている」
アンは言葉を続ける。
「だから、私も自分のやれることをやろうと思う……。入るよ、お前の部隊、ファルコンヘッドに」
その言葉を聞いたメディスンは両目を見開いていた。
だが、すぐに表情を切り替えて微笑みを見せる。
「いきなりだな……。まあ、お前らしいよ」




