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#035

次の日の朝――。


宿泊したホテルから出発したアンは子供たちを連れ、ムーグツー内にある港へと来ていた。


これから地球にある家へと戻るためだ。


連合国軍による観艦式がストリング帝国に襲撃された影響か。


予定されていたスペースシャトルの便もかなり遅れが出ており、アンたちは港で待たされている。


次の便の出発は数時間後――。


子供たちも退屈してしまうかと思いきや、彼女たちの前に現れたブレシングとミントのおかげで子供たちも楽しそうにしていた。


「ねえブレシング兄ちゃん! これ買ってよ!」


「あたしもこれほしい!」


「ぼくはこれがいい!」


ブレシングは子供たちに店を連れ回され、あれが欲しいこれが欲しいとおねだりされていた。


「おいおい、頼むからそんなに引っ張らないでくれよ。体は一つしかないんだからさ」


そんな子供たちを注意しながらも、ブレシングもまた楽しそうだ。


ミントはそんな彼らの姿を見て、微笑みながらアンに声をかける。


「元気ですね、あの子たち。あんなことがあった後なのに」


「あぁ、ブレシングと会えてあの子たちも嬉しいんだ。ああやって顔を合わせるのも久しぶりだからな」


子供たちに囲まれ、引っ張りだこのブレシング。


ミントは身体中が傷だらけの彼からは、とても想像できない姿だと笑っている。


ブレシングは怪我を理由に、上官であるメディスンから休むように言われた。


だがブレシングはそれを拒否したため、メディスンは別の仕事を彼に頼んだ。


それは連合国の上層部の一人であるパロット·エンチャンテッドの一人娘――ミント·エンチャンテッドの護衛だった。


ミントはどういうわけか。


アンたちとの同行を父のパロットに願い出たようで、ブレシングはそんな彼女の護衛につくことになったのだ。


「ミントでいいか?」


「えぇ、私もアンさんと呼ばせてもいますね」


「あぁ、構わないよ。……どうして私たちに同行するなんて言い出したんだ? うちに来ても、上層部のお嬢さんが楽しめるものなんて何もないぞ」


「そんなことありませんよ。私も孤児院出身ですから、こうやってあの子たちを見ているだけでも、なんだか懐かしい気持ちになります」


「君は……養子だったのか?」


アンがミントに訊ねたときに、二人に声がかけられた。


子供たちが、二人も一緒にお土産を選ぼうと声を張り上げている。


「アン姉ちゃんも緑のお姉さんも早くおいでよ!」


「そうだよ! ブレシング兄ちゃんがなんでも買ってくれるって!」


「おい! なんでもなんて言ってないだろうッ!? それになんで僕があの二人が欲しいものまで買う話になっているんだ!?」


子供たちのお土産だけならばまだしも、アンとミントの分のお土産までとても買えないとブレシングが慌てている。


そんな彼を見た子供たちは、からかうように笑うとアンとミントに向かって手を大きく振っていた。


「呼ばれてますよ、アンさん。行きましょう」


「あぁ、そうだな……」


そしてシャトルの出発まで、アンたちは港内の店を回り続けた。

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