表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の番?棄てたのは貴方です  作者: ひよこ1号
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/39

17ー婚約解消の影響

国王は冷たい言葉で確認するように続けた。


「学園で無礼な振る舞いをした事も聞いている。あの時は側近を数人入れ替えたし、リリアーデ嬢のご友人も領地に帰る事になったが、その後は問題なかったようだな?」


苦々しい思い出だ。

温室でエデュラに咎められた後、話を切り上げた王子に従わずにエデュラは国王へと報告した。

そのせいでリリアーデの友人は領地へ戻された後で修道院へ送られ、側近達は停学処分と退学処分を受けたのだ。

差し出がましい真似を、と怒りに腸が煮えくり返るが、エリンギルは短く返事をするに止める。


「……は」

「ふむ。時にリリアーデ嬢の教育はどうなっている?」


国王は傍らで、大事そうに丸い腹を摩っている王妃に目を向けた。

王妃は俯いたままのリリアーデを静かに見つめて答える。


「漸く、エデュラが十歳の時分に終えたところまでですわね。本来ならもっと先に進める筈ですが、あと五年、若しくは六年はかかるでしょうか…この先はもっと難しくなるのでそれ以上かもしれませんわ」

「なるほど。経過は聞いていたが特に進展は無い様だな。では、エリンギル。そなたの立太子もリリアーデ嬢の教育に合わせて先送りとする。婚姻もだ」


「……はい」


そう言われ、エリンギルは傍らのリリアーデを見遣った。

学校での成績もそれほどには悪くないが、優秀とは言い難い。

不真面目な訳ではないのだが。

エリンギルの視線を感じて、リリアーデは苦し気に呟く。


「申し訳ありません……」

「無様ねぇ……」


だが、エリーナ姫の罵倒の言葉が投げつけられる。

リリアーデは恥辱に俯きながらも、口を引き結んだ。


「エリーナ。其方の教育係はきちんとした教育をして来なかったようだな。私の前で何度も許可なく発言するなど、其方は王よりも偉いつもりか?」

「……え、いえ、お父様…そ…」

「謁見の間での言葉遣いすら知らぬとは。リリアーデ嬢が十歳ならばお前は五歳以下ではないか」


否定しようとして、エリーナ姫は失言をした。

ここでは父と呼んではいけないのだ。

それに。

教育係は適度に甘やかしてくれる者でないと、エリーナ姫が癇癪を起こして辞めさせてしまうので、結果それなりの教育しか施せる人間しかいない。


「何れは公爵家か侯爵家に降嫁させるつもりであったが、どの家からも断られている。そなたが真面目に過ごしておれば……エリード、其方もだ。エデュラ嬢や使用人達を虐げていて、誰にも止められないからといって許されていると思ったか?」


「でもわたくしには番がおります!番以外は不要です!おと…っ陛下が、王命で…」


カッと羞恥に顔を赤く染め上げたエリーナ姫が騒ぐが、国王は盛大な溜息を吐いた。


「その番のラファエリは、既に帝国へとその籍を移した。最早この国の民ですらない。それに嫌がる相手を王命にて無理やり婚姻させるなどと、何と愚かな事を申す娘だ……」

「……え、何故、どうして……帝国へ……?」

「ふん。身に覚えがあろう?このままこの国に居たら、王命で其方の夫にならねばならぬ事を危惧したのだろう」


この国では番は特別視される。

それも王族においては特に。

正式な相手が居たとしても、次代の王でなくても、娶ることが許される。


だからこその、暴挙でもあった。

二人は必ず手に入るものだと思い込んでいたのだ。

だが、それはこの国の、限られた場所での事。

他国へ渡ってしまえば、いくら王権を振りかざそうとも無意味である。


愕然としたエリーナ姫は、ふらりと頭をゆらして、隣のエリード王子に掴まった。

エリード王子も、同じく呆然と国王を見つめている。

双子が優秀であれば別でしたが、相手が嫌がるのも無理は無いなって出来だったので

例え番でも国王としては強行することは出来ません。

強行したら多分二人は自死、公爵家と侯爵家を敵に回すことになって大変なことに。


読んでくださり、ありがとうございます。

誤字報告も大変感謝です!

少しでも、楽しんで頂けたら嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  これまでやらかしたあらゆるコト(罪)がブーメランとなって3人に多段ヒットしていくな。  ポトゥム伯爵家は改易で済めばいいね。リリアーナは王命による婚姻で助かるけど、エリンギル共々僻地にと…
[気になる点] 誤字報告も大変感謝です! 「何れは公爵家か侯爵家に降嫁させるつもりであったが、どの家からも断られている。そなたが真面目に過ごしておれば……エリード、其方もだ。エデュラ嬢や使用人達を虐…
[一言] この手の話は後継者の育成に失敗した国王夫妻が偉そうに説教する展開にどうしてもなってしまうので、ここまで放置して状況を悪化させた分際で偉そうにって感想になってしまう。 3人ともぼんくらかつワガ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ