鼻を明かす 17
この精霊祭を何日も、何年も繰り返していることに、ウル王女は薄々気づいてはいた。
だが、身体が乗っ取られているようで、自分の暴走を止めることすら出来なかった。
ウル王女が精霊となったガウラを捕えたのは、本来のドラグ王国の勇者として目覚めてもらうため。
エルフ族は特殊な種族で、魂と肉体の差異が何となく解るスキルを持って生まれてくる。
だから母であったエルマ女王はマイカとガウラを観察するため、王城内で2人を雇っていた。
ウル王女は、前世の記憶が薄らとしか思い出せなかった。
それも断片的で繋がっていないし、思い出さない方が良いとさえ考えていた。
それでも、精霊になったガウラのことだけは、はっきりと必要だと感じた。
—— だからと言って、今日もまたガウラを捕える日々なのだけど。
でも、今日は違った。
「あ、れ?」
いつもの場所に、ガウラが居なかった。
いつも通りに、その何もない空間に手を伸ばす。
―― 私の手、こんなに小さかったかな?
そう感じた途端に、身体の感覚が戻ってきた!
「一体、何が起きているの?」
そう独り呟く。
でも、それに答えてくれる者は居ない。
「あぁ、でも。
これでアイを止めに行けるわね」
この結界内には転生者ばかりが住んでいた。
ここでイレギュラーを発生させるためには、どうしたら良いのか。
簡単な話。
前世の無いイザーク王子が行動を起こせば良い。
先回りしてガウラを特殊な指輪で捕えたイザーク王子は、精霊ガウラを大精霊マイカに預けてからウル王女の前に姿を現した。
体が小さくなった分、動き回るのに苦戦は強いられたが。
ウル王女はそんなイザーク王子に目を丸くして驚いたものの、ガウラが居なかった理由や、幼くなったイザーク王子よりも低い自身の視点に納得して口を開く。
「イザークお兄様も、あの赤いお茶会に参加しますの?」
「あぁ、その予定だよ」
イザーク王子は、変わらぬウル王女の掩蔽に安堵の笑みを浮かべていた。
一方、大精霊マイカは精霊ガウラを引っ張ってリーンの元へと連れて行く。
大精霊マイカも、元々は転生者の精霊に引っ張られて分離した内の1体。
つまりは、住民にとっては食料と見做されてしまう。
それにも関わらず、自由になったばかりのガウラは勝手にフラフラ行こうとしまうのだから、マイカとしては早急にガウラに前世の記憶を取り戻して欲しかった。




