鼻を明かす 10
マルチヨン連合国の厳重な門を出て、歩き続けて4時間。
目の前に真っ黒い壁が視界に入って来た。
「あれが、忌み日に生まれた結界です」
エドワードの解説にケイとリーンは同時に頷いた。
イザークが悲しそうな表情をしていたためか、付いてきたミリアが思い切り背を叩く。
マリアは、大精霊マイカに繋がる指輪をそっと外してケイに手渡した。
「当初の計画通り、貴方たちが結界に入った後、結界自体に聖火瓶を使います」
「……本当に、良いのですか?」
マリアの発言に、エドワードが再度、確認のためにケイに訊ねた。
各々、結界に対してどうするべきか、考えてはいた。
そのため、計画は重鎮たちとも話し合って入念に決めたことだった。
結界と聖火は相性が良いらしく、心材がなくとも延焼し続ける。
だが、逆を言えば内部は酷く高温になってしまう可能性が高い。
「どちらにしても、ここに入って出てきた者は居ないのだろう?」
真っ先にイザークが答える。
「国外退避しなかった父上も母上も、一部の国民も、まだ出てきていないのだ。
生きていると仮定しても、結界から出られない構造になっている可能性が高い。
まして出入りが無いということは、食料が足りず、死んでいる可能性もある。
どちらにせよ、そんな結界に勝手に挑もうとしているのだ。
万が一、私が異形の魔物となり果てたとしても、同族殺しなどしたくはない!」
「同感です」
リーンは一言だけ呟いた。
ただ、ケイだけは自身の結末を知っている。
「死なば諸共」
「ケイ、貴方は……」
「それが私の罪だから」




