閑話 05
ある朝、自分が目覚めると股間が冷たいことに気が付いた。
慌てて布団を捲ると、お漏らしをしていた。
気付いた母は、トワに命じた。
トワはすぐに処理をしてくれたらしい。
学校から帰ってきたら、布団が(シミは残れど)綺麗になって乾いていた。
だけど、部屋は汚かった。
また母に殴られていたのか、トワが部屋の隅に転がっている。
何か、様子がおかしい。
翌日、トワはいつも通りの時間に目を覚ましていた。
だが、いつもならば動き出す時間になっても立ち上がる気配がない。
結局、トワは母のことも、アイのことも起こさなかったから遅刻した。
学校から帰ると、トワが部屋の隅に転がっていた。
母は居ない。
何か、様子がおかしい。
自分はトワに近付き、揺すってみた。
だが、いつもならあるはずの反応が無い。
さらに強く揺すってみた。
だけど、やっぱり反応が無い。
不意に、クラスメイトが起こした事件を思い出した。
バッタを捕まえて喜んでいた子が、違う子に渡したら動かなくなってしまったらしい。
疑問に思って先生との連絡ノートに書いてみたら、先生は、それはバッタが死んだからだと応えてくれた。
死んだら、もう生き返らない。
だから相手を大切にしないといけないのだと教えてくれた。
そうか、トワは死んだのか。
でも、トワは自分たちを、母を、大切にしてくれていた。
なのに、母はトワを死なせた。
じゃぁ、自分も、母のことは大切にしなくても良いのでは?
あまり覚えていないけど、それはすごくカンタンなことだった。
それから何日が過ぎたか解らない。
突如、警察と、アイの担任の先生と、自分の担任の先生が、家に押し入ってきた。
あっという間に転校させられ、アイと自分は別々の施設で生活するよう命じられた。




