耳に逆らう 15
「どこで、その名前を?」
ナナシは驚きつつも訊ねた。
マモルはどうしようかと迷いつつも、履歴書を入手した経緯を説明する。
『途中、記号などが入っていたけど、そこは覚えていないです』
鑑定が成功すれば、勇者であった場合は称号の箇所に『勇者○○』という形で記載されているらしい。
その ○○ には、聖女の『勇者キワ』のような名前や、ナナシの『勇者:侍』のような役職が入っていると聞かされている。
だが、本物の第一王子アークジアには『勇者を名乗らせる者』という記載があったらしい。
だからこの情報だけでは、まだ断定は出来なかった。
「転生者ならば、全盛期の時の姿、状態で転生されるはずでは?」
「その子は0歳で死んだんだべ」
リーンの疑問には、なぜか先住者が答えた。
「おらの村さ、赤子が死ぬんは、ようあることだベ」
「まぁ、そういうことだろうね」
ナナシはふぅと溜息をつく。
ここで少し間が空いた。
誰もが頭を冷やす時間として費やす。
「それで、キミたちはこれからどうしたい?」
ナナシの問いに先住者は真っ先に答えた。
「おらたちは、ここから出られるだけで十分だべ。元々は眉唾物の話しを鵜呑みにしたおらたちが悪いんだ。んでも、死にたくはねぇ!」
「どうどう、落ち着いてほしい。確かにまずはオーククイーンの目を掻い潜らないとならないんだけどね。そこはプランがいくつかあるから、先に他の人の意見が聞きたくて」
「この場合、オレへの依頼はどうなるんだ?」
リーンは逆にナナシへ訪ね返した。
ナナシはそう言われるだろうと思ったのか、金貨を5枚、リーンにこの場で手渡している。
だが、なぜかリーンは悩みだす。
ナナシはリーンの悩みを察したので放置し、マモルと精霊を見る。
「ボクはその子を聖国に連れて行きたい。が、その子がマモルから離れない以上、マモルごと連れて行くしかないと思ってはいる」
「・・・」
『マモルはこれからどうしたい?』
ナナシは、マモルがこちらの言語をあまりよく理解していないことを察した。
日本語で尋ねれば返事があるかと思ったが、マモルは現状を未だに理解しきれていない。
「返事がない。どうした?」
先住者の質問にナナシは困惑しつつも、正直に言うべきだろうと考え、マモルが転生者で言語を理解していないこと、魔物が居ない・戦争もない・不足な物すらない平和な国だったので、マモル自身が困惑していることを伝える。
「時間、必要」
「んだなぁ」
先住者は何故かすんなり理解し、待ちの姿勢をとった。
「うーん。じゃ、仕方ない。時間が必要なら、長期のプランBでいこう」
ナナシの一言に先住者は唖然とし、時間が経っても次が無かったので、
「いや、説明してけろ」
「その説明も、必要」
思わずツッコミを入れてしまうのだった。
<プランB>
最低限の食事で捜索隊の出動を待つ。
今回の場合は、聖女キワへナナシからの定時連絡が途絶えることで、聖女キワが冒険者ギルドに要請し、恐らくアークジア王子には居場所がバレているこの地域へ捜索隊を派遣してくれる可能性が高かったので採用した。
なお、プランAは1人が強行突破して近隣の街に救助要請する案でした。
次から一気に時間が飛びます。




