耳に逆らう 04
その後、侵入者の経路が不明ながらも、数ヶ月経っても侵入者が小屋に現れることは無かった。
その間、マモルが魔獣と共に小屋に住むことになったが、場所が変わっただけでマモルは相変わらずの引き籠りを続けていた。
ただし、食事はかなり美味しくなった。そのためか、ふくよかだったマモルは更に太っていった。
半年も経てば、侵入者は偶然、迷い込んだだけなのではないか、という話しでまとまった。
迷い込んだ先に魔獣が居て襲撃されたから自衛した、というあたりだろうと。
こうしてマモルの小屋での生活は無事に終わろうとしていた。
ある朝、マモルが目を覚ますと目の前に幼女が居た。
マモルを見てニコニコと笑いつつ頬をペチペチと叩いている。
『……は? え??』
マモルは大慌てで体を起こせば、幼女は不思議そうにマモルを見つめ返している。
「にゃーん」
魔獣も困惑した様子でマモルに寄り添いに来た。
魔獣が幼女になった訳ではない。
幼女は一体、どこからやって来たのか。
すると、幼女はふわふわと浮き始めたではないか。
『ええっ?! ちょ、っと、』
マモルが幼女に触れようとし、幼女が避けた。
いや、幼女は恐らく避けていない。
何者かが幼女を浮かせ、動かしているのだろうと察した。
—— そして。
幼女は最終的に、消えた。
いつものメイドと共に、アークの執事を称する龍族が撤退の旨を説明しに来ていた。
翻訳のために、ガブリエルも同行している。
『この子とは、一緒に住めない?』
色々な出来事に困惑しつつも、マモルは真っ先にそのことを訊ね返した。
龍族は目を丸くし、こちらもまた困惑した表情で答える。
「主に相談してみましょう」
『あと、今日、幼女に会ったのだけど。彼女は何者?』
「……幼女、ですか?」
龍族はさらに目を丸くし、かなり長考してから答える。
「その件も、主に相談します。申し訳ございませんが、今の私にはお答えし兼ねることですので」
こうして3人が物事を終えて小屋を去った。
残されたマモルには、結局は何も解らず仕舞だったが、何はともあれ夕食をとることにする。
メイドはいつも、かなりの量の食事を準備する。
だが、2階の本棚の上に作られた大きな神棚に乗せる分らしく、マモルには1人分より少し多い程度の量しかテーブルには残っていなかった。
それでも、今まで食べていた味のないパンと比べれば美味しく、量もある。
それに、仕事を全くしていないのに食べられると思えば、文句は言えるはずもなかった。
食後、魔獣が何かを拾って持ってきたので見てみる。
『トワ・クメ(かり)、0さい(かり)、おんな、さいごのてんせいしゃ、……誰かの履歴書かな?』
しかし、それにしては写真も無いし、0歳ってことは仕事のための履歴書でもないだろう。
何だろうな、と思いながら横になり、……不意に気づく。
—— それが全て 日本語 であることに。




