臍を噛む 01
オークの大暴走から、ちょうど3年が経った。
あの日の教訓を活かすべく、毎年この日がくると、冒険者を交えて王城の騎士が一番を競う大会が開催されることになった。
大会の優勝は、1年目は第一騎士団長が取った。2年目はSランクの冒険者が取った。
王城の騎士は、いくつかの部隊に分かれている。
その中の1つ、第二王子イザークに仕える第二騎士団に奴隷騎士のガウラは所属していた。
ガウラは、今年の第二騎士団の希望の星だった。
そして団員の期待通り、ガウラは奮闘する。
ガウラとしても、ここで努力の成果を出しておきたかった。
「勝者――奴隷騎士のガウラ!」
ガウラはホッと胸を撫で下ろす。
頭からは血を流し、それでも貪欲に龍族の第一騎士団長に挑み、粘り強く猛攻に耐え、最後は龍族共通の弱点である尾に長剣を突き刺した。
もっとも、龍族が本気を出せば死者が出るため、肉体を人族に合わせる弱体化の状態異常が付与されているが、それでも龍族の尾を貫き、地面に剣を突き刺すなどという技は、そう簡単に出来ることではない。
それだけ、ガウラが努力を怠らなかったという証左だった。
「優勝者のガウラ選手には、特別ゲストとの手合わせがあります!」
ガウラが疲労困憊のところに出てきたのは、フルフェイスの騎士だった。
寝耳に水のガウラだったが、相手の剣の構えから、先程の第一騎士団長よりは弱いと見抜く。
勝敗は、すぐに決着した。
さっさと終わらせたかったガウラが、試合開始と共に一気に間合いを詰め、フルフェイスの鎧だけを一刀したのだ。
剣を構えたまま動けなかった相手は、頭の兜が割れ落ちても、ただただ唖然として何も出来なかった。
だが、ガウラはその人物を見、全てを悟った。
「やはり、今まで忖度していたのか、ガウラよ」
第一騎士団長に言われ、今更なので、仕方なく頷く。
相手は第二王子イザークだった。
ガウラとイザーク王子は、中庭でよく手合わせをしていた。龍族のイザーク王子はまだ9歳と幼いが、人族の並みの冒険者よりも既に強く、剣技の筋も良かった。
しかし、手合わせの度にイザーク王子はガウラに勝っていた。
イザーク王子としては、ガウラが本気で相手をしてくれないことに不満があった。
騎士団としては、忖度のしすぎで斟酌になり、逆に失礼になっていると感じていた。
しかし、それを含めて察する能力が無い者を、王子直属の騎士にしておく訳にはいかない。
優勝者ではあったものの、審議の期間中、ガウラは独房に入れられることになった。
色々あって遅くなりました。
申し訳ございませんが、ペースダウンします。
次話、25日に投稿します。




