第二話【わしの過去】
おはこんはろチャロ〜しおだれはみさーもんです。
第二話です!よろしくお願いします!
わしは何者かになりたかった。
誰かの役に立てるそんな者に。
わしの特異な才能を持って。
誰かを。
そんなわしに王国軍の兵士を名乗る男から、王がわしに王国軍へ来ないかと誘いがあった。
王直々のお声がけだった。
わしは飛びついた。
わしの特異な才能で誰かの……国の役に立てる
。
そう思ってわしはその提案を承諾した。
だが、それは大きな間違いだった。
わしの才能は【道具を人化させる】才能。
意思のない人の形をした戦闘人形を創り出すことが出来る。
それがわしに与えられた才能だ。
確かにその力は役に立った。
この力で多くの命を救っただろう。
だがしかし、その反面多くの命を奪っただろう。
この力が多くの争いを終わらせたかもしれない。
この力があれば戦争を終わらせることができるかもしれない。
でも、それでも…………これは間違っている。
人の命を奪ってまですることじゃない。
わしは自分の罪を自覚していた。
わしのせいで死んでいった者たちがいることを。
わしはこの力を使用する事を恐れていった。
だが、使わなければわしの命はなかっただろう。
自分の罪深さに押しつぶされそうになった時もあった。
そんなときも支えてくれたのは、一人の少女の存在だった。
その少女は、わしに優しく寄り添い、慰めてくれていた。
貴方は何も悪くない。
私に力があれば、こんな事にならなかったのにと。
その少女は誰よりも優しかった。
国が、“三人家族”の父親である国王が、王妃が醜く歪んでいく中で彼女だけは真っ直ぐ強く変わらなかった。
彼女は、いつも笑顔を絶やさなかった。
そんな彼女に何かしたいと思うようになっていくのは自然なことだったと思う。
だが、それをよく思わなかった国王が実の娘である彼女を監禁し、わしに差し出したのだ。
彼女の目には涙が浮かんでいた。
きっと彼女も苦しかったんだろう。
悲しかったんだろう。
辛かったんだろう。
泣き出したい気持ちを抑えながら、必死に耐えていたんだろう。
そんな彼女をわしは守れなかった。
何も出来なかった。
そして、彼女がわしに告げる。
「アラウディア国王の長女エリゼ=パールが命じます。ウォルト=バームさん。今すぐにここから立ち去りなさい。そして、二度とここに戻ってこないことを命じます」
彼女は優しい笑みと涙を浮かべて、そう言った。
わしはそれに従った。
従うしかなかった。
だから、最後に別れの言葉を告げる。
今までありがとうございました。
これからもお元気で。
でも、彼女は周りに分からないように口パクでこういった気がする。
いつかまた必ず会いましょう。それまでどうか生きていて下さいね?
それからしばらくして、わしは王都から遠い地であるスラスト国に身を寄せ、そこで静かに道具屋を経営する事にした。
能力も魂が宿った道具にのみ人化させるように制限した。
あれから五年。
彼女がどうなったのか、わしは知らない。
でもいつかまた、彼女に会えることを願って、わしは今日も店を開ける。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
さて、本編の最後に出てきた少女のエリゼ=パールが出てきましたね。
彼女も色々ありそうですね〜
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