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「お前さんの○○大切に扱ってきたようじゃな」  作者: しおだれはみさーもん
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第一話【わしに任せなさい】

初めましての方は初めまして。そうでない方はおはみー!

しおだれはみさーもんです。

今作品は【魔物使いで奴隷使い】の外伝になります。

さて、魂の宿った○○を人化される事が出来る老人ウォルトの元に訪れたのは?

最後まで読んでいってください!

スラスト国から遠く離れた小さな集落の一角にある道具屋にて。


「おじいちゃーん!ウォルトおじいちゃんいる?」


朝早くから誰じゃ?わしの名前を呼んでいるのは。


そう思いながらウォルトと呼ばれた男、ウォルト=バームは扉を開ける。


カランカランと乾いた鈴の音が鳴り響き、太陽のあたたかな光と二人の客人がウォルトを待っていた。


「おう。ハル坊じゃないかどうしたんじゃ?こんな朝早くに」


「おじいちゃんおはよ!お客さんを連れてきたよ!」


ハル坊と呼ばれた少年は、歳は十三程か。


黒の髪にまだまだ子供らしい顔立ちに背格好の少年が居た。


そんなハルにおはよ、と挨拶を返す。


そして、そのハルに連れられた青年。


歳は二十程か。


薄茶色の髪に凛々しくもあり爽やかな顔立ちをした男。


身体には程よく筋肉が付いており、あちこちに傷跡がある男は恐らく、冒険者である事が予想できる。


「初めまして。俺の名前はサンと言います。実は、ウォルトさんの噂を聞いてお願いしたい事がありまして」


そう言ってサンと名乗った男は、折れてボロボロになったレイピアを差し出した。


「ほう。というとこれを?」


「はい。俺はこいつと共に成長してきました。もはや相棒とも言える存在でした。ですが、モンスターとの戦闘中に折れてしまって加工屋に直してもらおうとしても無理みたいで途方に暮れていた時にハル君に出会ってウォルトさんの事を聞いてウォルトさんならばと……」


「なるほど……確かに大事に扱ってきたようじゃな。このレイピアには“魂が宿って”おるわ」


ウォルトは折れたレイピアを、優しく撫でながらそう言った。


「そ、それじゃあ!」


「ああ、いいじゃろう。わしに任せなさい」


「ありがとうございます!!」


ウォルトの言葉を聞いたサンは、何度も何度も頭を下げ礼を言う。


「よかったねお兄さん!」


「ああ、ハル君が教えてくれたおかげだよ。ありがとう」


「えへへ♪」


サンに頭を撫でられているハルは、とても嬉しそうにしている。


「さて、じゃあ早速準備に取りかかるがサン、お主の血が少々必要になるが構わんかの?」


「それくらい全然大丈夫です」


そう言いながらウォルトが差し出した皿の中にレイピアの破片で指に傷をつけ、血を落としていく。


その間にもウォルトは準備を進めていく。


地面に魔法陣を幾つも描いていき、その真ん中にサンのレイピアを置いて、魔法陣の四隅にウォルトも手に傷をつけ血を落としていく。


四隅に血を落とし終わると、魔法陣がヴゥンと音を立て光り出した。


準備が整ったようだ。


「準備が整ったぞ。お主らはどいておきなさい」


そう言ってサンから受け取った血をレイピアに落としていく。


ポタっポタっ。


血がレイピアに落ちていき、レイピアの中に血が吸い込まれていく。


「宿りし魂よ・人と化して良き隣人を支えたまえ」


ウォルトが魔法を詠唱すると、レイピアが眩い光を放ち出した。


あまりにも眩い光にウォルトやサン、ハルも目を覆い隠す。


そして───


光が収まるとレイピアがあった場所には一人の男がいた。


その男は、手のひらを握ったり開いたりしている。


「よし、成功じゃな。お前さんのレイピアは人として生まれ変わったぞ」


「う……あ……」


サンの目に涙が浮かび上がっていた。


そんなサンの姿に気付いた男はこちらに近寄り、膝をつく。


「我が主人よ。道具でしかなかった私を人として、また貴方様の力になれる事をとても嬉しく思います。何なりとご命令を」


「は……ははは。俺も嬉しいよ。あ、そうだせっかくだから名前を与えないとな……ロイ…何てどうだ?」


「ロイ…ロイ……それが私の名前……ありがとうございます我が主人」


こうして、元レイピアことロイが誕生した。


数時間後、サンとロイは集落を後にした。


新たな相棒と共に冒険者稼業を再開したサンとロイは後に大活躍を遂げるのだが、それはまた別のお話である。


別れ際、ウォルトはサンにいくつかの注意事項を伝えていた。


それは、サンが死ねばロイも死ぬこと。


そして、現在のロイのレベルは最低レベルだと言う事だ。


「本当にありがとうございました。いつかまたこの集落に戻ってきます!」


「おう!待っとるからの」


そうして、サンとロイは去っていった。


サンとロイを見送った後、ハルを孤児院へ送りウォルトは再び店に戻る。


「さて、わしはもうひと眠りするかのう」


そう言って、店の扉を閉め再び夢の世界へと旅立っていった。



最後まで読んでいただきありがとうございます!

最初は一人称で書く予定だったのですが苦手過ぎて断念しました……。またいつか一人称で何かお話を書きたいですね。

さて、いかがでしたでしょうか。

アレン達と住んでいる世界は同じなのでもしかしたらアレン達も登場するかも?

面白ければいいねとぜひ本編の【魔物使いで奴隷使い】を読んでいただければ嬉しいです。

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