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57.闇と光の宗教ページェント

前回のあらすじ:あのザブタイ見たら、絶対ゾフィが共闘すると思うよね?

 明朝不在のため、早めの投稿となりました。スミマセン。

 後、今回コメディ感ありません。スミマセン。

 王女も、皇帝も、跪礼してディグニ49世を御座所に迎え、上の間に案内した。

 教皇守護騎士団が脇を守る中、王女は総本山への巡礼を、皇帝はその警護を約束した。王女はミデティリア帝国へ食料と酒の提供を最初の予定通りの量で約束した。教皇も「私についてきてくれた人々を、案内したい」と総本山入りを宣言した。

 会談は、逆転劇の主人公の登場で、オーティの完封勝ちとなった。


 その夜、皇帝は笑いながら周りに当たり散らした。そして「教皇陛下は必ず暗殺者に狙われる。絶対に阻止しろ!畜生!スッテンテンだ!」と命じた。

 しかし、皇帝麾下の特殊部隊は御座所に入る事は出来なかった。

 そして侵入できたクーデター派の暗殺者は…南海の果実実る楽園にいた。彼らが故郷グランディア大陸に戻る事はないだろう。女暗殺者もいるな。この島をアナタハンとする!


 教皇も、司教達も、城内地下ンkmから湧き出る古代海水温泉で寛ぎ、奥御殿で熟睡頂く事とした。

 オーティも…オーティ?彼女は控えの間で教皇の間に向かいガチガチに緊張し、祈りを捧げていた。これでは明日、体が動かない。テイソさんに頼んで、テイソさん?彼女も同じ様に祈っていた。これでは駄目だ。


 奥御殿から、教皇とコンクラベ枢機卿が浴衣に身を包んで控えの間にやって来た。こうして見るとやっぱりアウトバウンド富裕層老人にしか見えない。

 しかしオーティ達にとって、私服で教皇と選皇枢機卿が若造の下へ来て頂くという事は、望外の出来事であった。

「女王陛下。寝る前にしばしお話できませんかな?」

「はははははい!」


******


 天守を望む中奥御殿に席を設け、教皇、コンクラベ師、オーテンバー、テイソさんが酒を交わした。

「貴女は、聖女なのですか?」

「いいえいえいえ!わたわた私は聖女などではありません!ただの馬鹿娘です!」

「いやいや、あなたはとても優しく、強く、慈しみ深い。あなたに救われた沢山の人達のお話を、ここに来るまで私は聞きましたよ」

「きょきょきょ恐縮でつっ!痛っ!」舌噛んだか。

「ははは。魔導士様がお守りになる気持ちも解りますなあ」とコンクラベ師。

「え?魔導士様が?」パアっと明るくなるオーティ。

「女王様。貴方は、とても素晴らしい力を持っていらっしゃいます。どうか、その力を、子供達のために示してください」教皇様が改めて女王に頼む。

「はははい!教皇様のため全力で尽くします!」

「いえいえ。私のためではなく、子供達のため、ですよ」

「はえ?えええ、何故ですか?!私達、創世教徒は神のため、地上に於ける神の代理人である教皇様のために」

「あなたは、それではいけません。どんな時も、沢山の子供達の事を考えて下さい。それだけで、きっとあなたは素晴らしい事を成し遂げます」

 教皇ディグニ49世は、深く頭をオーテンバー女王に下げ、手を握った。


 そのお蔭で、オーティはぐっすり眠れた。


******


 翌朝、ダキンドン王国女王オーテンバーと同行者(全員近衛騎士団)、ダキンドン教区の司教団、そして。

 教皇ディグニ49世、選皇枢機卿コンクラベ、総本山から脱出した司教達は、帝国の大衆を引き連れ、御座所がある荒野から総本山へ向かった。

 その周囲を、帝国軍の騎士が歩調を合わせて護衛している。


 聖典の歌を歌う子供達を先頭に進む一行に、帝都市民は跪いて祈り、共に歌った。それは既に戦勝の凱旋行進の様であった。

 その一方で教皇と女王を狙う暗殺者が多数いた、が、たちまち帝国の特殊部隊に一人づつ確実に抹殺されていった。昨日御座所に来た連中の方が幸福だったのかどうか。


 総本山は上へ下への騒動で、脱出する司教と麾下の聖職者、それを阻止しせんと刀を振るう司教、ワインを飲んで現実逃避する司教、総本山の地下に隠した少女を暴行する司教。まるでヨ〇ロッパの解放終盤のベルリン陥落時のナチス司令部か、爆発寸前の魔空城かと言わんばかり惨状であった。

 無論、脱出を企んだ司教達は皇帝麾下の特殊部隊に次々と殺された。同伴させられた奴隷少女達にも刃が向けられたが、流石にそれは無視できない。私は必殺電ショック!で特殊部隊員を牽制して、孤児院へ逃げる様誘導した。


 巡礼団は総本山に入り、帝国軍も「礼拝だ!」と称して総本山に入った。

 教皇や女王を影から狙う暗殺者達も、帝国の特殊部隊の手で葬られた。神を祀る大陸の中心地で、凄惨な殺戮が繰り広げられ、老騎士達が守る教皇と司祭団の周囲には無数の死体が積み上げられて行った。

 オーティは顔色を変えず、教皇に付き従った。そして、総本山の奥部、「教皇の間」に入った。


 教皇の間の玉座には、花を垂らした幼児が、自分の頭より大きい冠を被らされ座っていた。その周囲を、クーデターを首謀した司教達が、あのデマゴギー13世がいた。

「ここは教皇陛下のおわす場所だ!総本山を去った一介の老人が来やすく立ちる場ではないぞ!」クーデター派が叫ぶ。

 すると、教皇の前に数人の枢機卿達が進み出る。中央には、コンクラベ枢機卿だ。「そこの少年は教皇ではない。教会はその少年を教皇と認定しておらぬ。直ちに退出しなさい」コンクラベ師が宣言する。

「何を言うか!お前達こそ、そこの、烏滸がましくも『聖女』を自称する、異端の魔女に誑かされた逆賊だ!総本山に立ち入る資格など無い!」


「私は聖女などではありません!」オーティが声を上げた。

「私は、只の愚かな女です!今ここで何が起きているのか、何故この聖なる場所で、多くの人が死ななければならなかったのか、それが知りたいだけの、無知な女です!」

「皆、魔女の声を聞くな!早く殺せ!魔女を殺せ!」


「聞き捨てならん!」

 教皇の間に、騎士に守られた一団が侵入した。

「こ、皇帝陛下…!」キオミルニ31世が護衛に守られ、入城した。

「いや!例え帝国皇帝とは言え、ここは総本山!帝国は干渉してはならぬ!」

「総本山のいざこざに干渉する気は無い。しかし、帝都のド真ん中でこうも殺戮が繰り広げられては、忠告の一つもしようという物だ。

 それに、まだ帝国はその子供を、皇帝と認めておらんぞ?」

「それこそ帝国が口を出す問題ではない!」

「今まで我が帝国は、選皇枢機卿団が認定し、正式に宣言された教皇に敬意を捧げて来た。今の話では、その少年は選皇枢機卿団からお断りされた様だが?」

 両者、というより、クーデター派対それ以外は対峙し、時が止まった。


「陛下!フロンタ王国より使者が参りました!教皇ディグニ49世の安否を尋ねる文書です!」

「ほ~う?フロンタ王国も教皇をディグニ様と認識している。当然、我が帝国も、ここにいるダキンドン王国もだ。」

「ぐぬぬ!」あ、ぐぬぬって言った。本当に言う人いるんだ。

「女王様!」今度は城の子供達だ。

「この女の子達が、地下に閉じ込められていました!」案内したのは勿論私だ。帝国兵に付き添われて地下を探り、性奴隷にされていた裸同然の少女達を救出したのだ。彼女達は病気に蝕まれ、無数の傷をつけられ、憔悴していた。

「この者達は、皇都市内の住民と証言しています」付き添った兵が証言した。

「これは…総本山による帝国への宣戦布告と看做して良いか?」

 皇帝は怒った。かなり怒っている。

 この皇帝は本物だ。自国の民が傷つけられるのを「注視し検討する」等と、事実上黙認する者など国を預かる資格は微塵も無い。時には冷酷な判断を求められるにせよ、根底に「国を守る」という気概を、この人物は持っている。


「誘拐容疑だ、その者達を全員捕縛!逆らう物、逃げる者は殺せ!」

「ぎゃー!」真っ先に玉座の少年が逃げ出し、たちまちの内に斬首された。

 その様子を皇帝は冷ややかに、オーティは…表情を変えずに見ていた。

 城の子供達は…オーティの女騎士達が彼らの視線を遮る様に抱きかかえ、その惨劇を見ずに済んだ。


 大陸暦1508年10の月(12月)18日、僅か半月強で、総本山のクーデターは鎮圧された。


「教皇様!ボーコック王国より使者が参りました!新教皇イノセント5世様へ奴隷20人を献上するとの申し出が…」伝令は、首の無いイノセント5世を見るや硬直した。

 最悪のタイミングで、最悪の選択。流石ボーコックだ。

「ボーコックの使者を追放し、奴隷を保護せよ」皇帝は吐き捨てる様に命じた。


******


 「帰りましょう」とオーティは女騎士達に命じ、城の子供の手を取って総本山を去った。

 教皇ディグニ49世は彼女に無言で別れを告げ、選皇枢機卿達とともに総本山のバルコニーに上がり見送った。

 バルコニーに上がった本物の教皇の姿を見た市民が歓喜の声を上げ、オーティの行く手に群がった。皇帝も総本山を出てオーティを見送った。

 城の子供が、オーティの手を両手で包む。オーティは微笑みで返した。しかし、彼女は涙を一筋流してしまった。


 クーデター派の司教や、奴等を支援した帝国貴族は次々と処刑され、帝都は安寧を取り戻した。2日後、10の月20日。


「私は余りに愚かで弱かった。教会の権威を大きく傷つけた責を取って譲位したい」直ちに選皇枢機卿団が招聘され、次期教皇の選定を行った。

 論議は1時間も経たず終了し「後任に相応しい者がいない。教会を混乱させた責任をディグニ49世は取っていない」との結論に達し、「無責任に譲位するな」と教皇に返礼した。

「全身全霊で教会と教徒、世界に尽くす」と教皇は宣言した。


******


 オーティの希望で、一行は鉄道でその日の内に王国に戻った。王国へ向かう街道の人々は頻りに無念がったが、オーティは黙して帰国した。

 帰還の祝賀も行わず、騎士達に囲まれて人目を避ける様に王城へ入り、部屋に籠った。

「お姫様、とっても苦しそう。かわいそう」と、女王と手をつないでいた子が私に教えてくれた。


******


 女王の部屋の扉は閉ざされ、返事は無い。扉の横にしゃがみこんだ。何を言うべきか。言葉が出ない。

「私は、君が好きだ」私は何を言ってるんだ?

「私は、子供を成せない。王国の未来を背負う君の横に立つ資格は無い。

 でもね。一生懸命、必死に頑張って来た君が大好きだ。

 私だけじゃない。テイソさんも君が大好きで、多分、命を懸けて君の為に頑張るだろうね。あの無謀な魔の森遠征に、死ぬ覚悟でついて来た100人近い娘達も、君の為に今必死で頑張っている。

 それに、今じゃオレンジャー卿も、他の貴族も、君に力を貸してくれる。

 みんな、君が大好きなんだ。」

 扉の向こうに、温かい鼓動を感じた。心が動く音を感じた。嬉しかった。

「君は優しい。君はひたむきだ。ちょっとアレな所が時々イラっと来るけどね」

 扉の向こうにトゲの様な気配を感じた!が無視して続けた。

「そんなところも、いや、そんな欠点も魅力に変えてしまう程、君は、愛しいんだ。大好きだ」


 沈黙が続いた。しかし、何か心が繋がった気がした。何故か、このまま扉越しで朝までいてもいいかな、そう思った時。

「入って」扉の向こうから声がした。


 扉の向こうには、薄絹を纏った、美しいオーティがいた。透けて見える薄絹は彼女の何をも隠せていない。

 

「魔導士様」熱を帯びた瞳で私を見る。

「貴方は、私を聖女にして下さいました。奇跡を与えて下さいました。でも、そも力が、私を壊してしまったの!」

「あなたは優しく、温かいままで・・」

「私は神の地をこの手で汚してしまった!幼い子供の首を切らせちゃった!尊い聖堂を血まみれにしちゃった!沢山人を殺しちゃったよ!私は地獄に落ちるよ!もう死ぬしかないのよー!」

「違う!」

「私は悪魔になっちゃったー!神様の家を壊しちゃったよおー!」

「違う!」

「ああああー!私を殺して!悪魔を殺して!あなたにだったら殺されてもいい!殺してよ!」


 これは洗脳だろうか?

 宗教を信じる余り、総本山の惨状を目の当たりにして、死にたい等と考える様になったら、それは救いじゃない、害毒なんじゃないか?

 そんな信仰なんて何の意味があるもんか。


 いや、違う。目の前にいるのは、純粋で、優しい心を傷つけられ、自らを攻め続けている、いたいけな少女だ。彼女の優しさが、自分を責めているのだ。

 狂ったように泣き叫び、助けを求めている、私が大好きな、大切な少女だ。


 彼女を抱きしめ、息を合わせる様に黙って時間を過ごした。


「私達の信じていた神様って、何だったの?」と、彼女は呟いた。

「神様は、この地上にはいないんだよ。人間には何もしてくれないんだ、あるのは、人間がやった事だけだ」

「教皇様は、総本山は、信仰の中心なのよ!」

「そんな訳あるか!」怒りが走った。


「あいつ等司教やらデマゴギーやら、糞みたいな奴等だった!

 君のがんばりも、病気に苦しむ人にも何もしてくれなかった!

 税金ばかり沢山むしり取り、挙句は小さい女の子や男の子まで強姦する、

 罪人以下、人間にとっては悪魔だったじゃないか!」

 怒りが収まらない。

「そんな奴等のために、何で君みたいな美しい心の持ち主が悲しむ必要があるんだ!?俺は絶対にそんな奴等を許さない!」

 私は吠えた。こんな心優しい子を傷つけた外道が許せなかった。


「君は、悲しまないで欲しい。本当によくやった、頑張ったね。

 私は君にお礼を言いたいんだ。」


 心を落ち着けて、涙を流し続ける彼女、オーテンバーに、真直ぐに伝える。

 

「有難う。大好きだ。オーテンバー。幸せでいて欲しい。そのために、今度は私が君に尽くす。」

 彼女は目を閉じ、体を私に預けた。


 暫く抱き合った後、彼女が呟いた。

「ありがとう。落ち着いた。やっぱり、魔導士様には救われてばかりね。」

「救いたくさせる君が悪いんだよ、見ちゃいられないんだよ」と軽く笑って返す。

 彼女の頬に、笑顔が戻った。


「大好き。魔導士様…タイム」

「俺もだ、オーティー」

 キスを求めるオーティー。だが。

「キスしたら止まらなくなる。ここまでだよ」

 黙って頷く彼女。笑顔の中に、涙が流れた。

「それでも大好きよ、タイム」

 私は部屋を出た。


******


 10の月30日、皇都総本山では、王都では、そして護児城でも、冬の礼拝が行われた。総本山では市民の歓喜の中、皇帝が参列する中、教皇ディグニ49世の手で礼拝が行われ、オーティの戦いは終わった。

 その礼拝の最中、教皇と選皇枢機卿は、落雷により罪を犯した枢機卿を断罪した事を奇跡と認定し、ダキンドン王国オーテンバー女王を聖女として、列聖した。

 王国軍団シリーズ(どこが?)、ファイナルウォーズ決着。第二部主人公、ついに聖人になっちゃった。

 次回からは第二部クロージングです。本日漸く最後まで第一稿が上がり、チマチマ手直しします。

 もし楽しんで頂けたら、下の星を増やして頂けるか、ブックマークして頂けると大変嬉しく思います。

 また、感想を頂けると励みになりますので、

「ここの意味がわからん」

「このネタっぽいのがわからん」

「主人公節操ないな」

等々、お気軽に書き込んで頂けます様、お願い申し上げます。

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