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51.来たれ城の子!月給100万円公爵領養成所

 前回のあらすじ:ミラーマンのサブタイはまだまともだった。

 孤児院で頑張った子供達、その裏側での戦いを送ります。

 孤児院で新しい友情が芽生える2日前、王女臨席の晩餐会の後。

 本日の出来事を復習し記録するため会議室に集まっていた子供達に、王女の依頼で一人の老人が訪れた。

 オレンジャー公爵。公爵でありながら、王国が無謀な戦争に傾いていたのを傍観し、中立を決め込んでいた強かな貴族だ。


「どうやらこの子達は大聖堂や公会所で色々スケッチをしていたと言うではないか。どんな絵を描いたのか、見せて欲しい」

 来たな。「見て欲しいと思う子だけ、見てもらいなさい」

「何を言うか!こちらは…」「よいよい、頼んだのは私だ。王女様のお客様には無礼があってはいんぞ?」公爵は私に食って掛かった従者を諌めた。


 全員がスケッチやメモをしていた訳ではない。それに恥ずかしがる子もいる。半分の子が手帳を出し、公爵の従者がそれらを公爵の下へ運ぶ。子供達から手帳を受け取ると、あからさまに従者の顔色が変わった。


 軽い紙。背を閉じる金属。そして何より、遥か北方から来た平民の子供が、豊富に紙を使っているという事実。従者が差し出した手帳の束を見るや

「んがっ!」こ○わり君かな?

 一目で、平民の子供達が紙を束ねて製本したメモ帖を持っているという異常事態を認識した様だ。そして

「がっがっがっが!」勇者王かな?


 子供達が描いたもの、ある子は建物の外見を、ある子は大聖堂のアーチの構造を、ある子は壁画に描かれた古い時代のドレスを、ある子は壁画に描かれた歴史記録を書き写していた。中にはコマッツェに倣った人体のスケッチと壁画の様式化した絵を比較したり、人の表情を並べて模写したものもあった。

 またある子は道行く貴族のドレスや髪型を描いていた。その裏には縫製を推測した図を描いたり、ドレスの構造を分析したものもあった。

 極めつけは、モネラが博物誌から模写した希少な植物、特に小さな花粉などを描き、その周辺に博物誌の注釈をも書き写したものだった。


 顎が外れんばかりに驚いた公爵が、現実社会に帰って来るまで1分かかった。

 息を切らせていた公爵は、深呼吸して言った。

「みんな、明日私の館に来てはくれまいか?」


******


 孤児院訪問の予定があったので、希望する者は公爵邸へ、それ以外は孤児院へと行く事に決まった。孤児院訪問については、皆難しい顔をしていた。

「特に君には来て欲しい」と言われたモネラは

「私は孤児院へ行きます。どんなところで生活しているのかを知らないと、大変な事になる」と言い放った。


「奴等、子供達を囲い込むつもりじゃろ」「ああ」夜、皆で部屋の中で相談した。

「私は嫌よ。子供達がまだ城の外で、一人で働けるとは思えないわ?」

「難しいねえ。普通10を超えると村を出て街で働く子も沢山いたもんだよ?」

「御屋形様、王女様のお膝元の上公爵でもあります。お断りするにも充分な注意が必要と存じます」妻達が懸念を口にする。みんな心配なんだ。

「…そんな必要ないですよ」「「「え?」」」

「あんなクソジジイこの城ごと吹き飛ばしてやればいいんですよー!!」

「何いってんだマギカー!」

「あのジジイの所為で私王宮から追放されたんですよー!あん畜生!顔目掛けて魔法を叩け!叩けー!!」

「そんな魔法あんなら森に入った時使えよー!」

 とりあえず抱きしめてなだめた。

 猫の様に膝の上で甘えて来るマギカを撫でつつ、

「明日私は孤児院へ行く。オレンジャー公爵邸には技術面や貴族の社交の話も関わるから…アンビー、ウェーステ、そしてマギカが行ってくれ…って」

 マギカは寝てた。ホントに猫かよ?


******


「行きます」「私も行きます」

 孤児院行きを希望する子も、公爵邸行きを希望する子も、迷いはなかった。頼もしい。


 私はステラ達と孤児院へ向かい、技能を認められた子10人はウェーステやアンビー、そして暗い顔をしたマギカに率いられて、オレンジャー家の家紋が付いた馬車に乗り込んだ。

 尻の痛みを我慢する子供達を、好々爺然としたトリコムード・オレンジャー公爵が迎える。

「どうです?王都を馬車で旅した感想は」と笑顔で聞く。

 イマイチな反応に頭の上に疑問符を浮かべる公爵。

 だが、平民が載せて貰える事など普通なら有り得ない馬車に文句をいう訳にはいかない。

 勿論王城に入る前の馬車に揺られ、サスペンションの必要性を考えていた子供もいたが、事前に「将来城で作って売れそうなものは、迂闊にしゃべらない様に」と言い聞かせていたので、何も話さなかった。


 前日に見たスケッチを参考に、公爵は子供達の名を呼び、三班に分けて別室に通そうとしたが

「就職の面談みたいじゃな」とアンビーが牽制する。

「滅相も無い。それぞれに関心を持った屋敷の者が、子供達の話を聞きたがっているのです」と公爵は返した。

「城の子供は皆で見て、感じ、話し、考えるんじゃ。別々にするのは城の教育方針に相容れぬ。あたしらが招きに応じたのは仕事をするためでねぇ。教育のためじゃ。一室で話を聞いたらええ」と、堂々と返した。


 公爵が折れ、一同は大会議室へ通された。

 王城にも劣らぬ迫力ある会議室に子供達は圧倒されるが、持ち前の観察力でその違いを探る。

 上座には公爵や彼に招かれたオレンジャー領の技師や画家、そして昨日王都の図書館にいた司書の女性がいた。


「では君達のお話を聞きたい。博物誌を模写していた少女は…」

「モネラさんは孤児院へ向かいました」「な、なんと!」

「孤児達の暮らす環境に関心を持っておりました。恐らく、年少者の健康を保てる暮らしがなされているか、衛生面に改善の余地がないかを自分で確かめたかったのではないでしょうか」

「あの天才は抜きんでていたのだが」「彼女は正に天才です」と、公爵と司書がヒソヒソ話している。


 気を取り直した公爵は、メモ帳に描かれた絵について、描いた子供達に質問を続け、その都度盛大に衝撃を受けていた。


「この様なドレスを、お嬢ちゃんはどれくらいで縫い上げられるかね?」

 オーリーを手伝っていた少女、ドレメがおずおずと答えた。

「オーテンバー王女様が来た…失礼しました!お越し頂いた時には、20人で手分けして3日で20着を縫製し、40着を仕立て直しました」

「ほう、3日で20…ちゃくうう?!」

 ミシンの事は、秘密だぜ、しーっ。


******


「これは、大聖堂の…壺かな?」

「はい、用を足す壺です」

 一同は笑った。「何でこんなものを描くかなあ」と。

 一瞬ムカっとしたマギカ、来たな?と思ったアンビーが少女に頷く。

 マギカの病院で、モネラと共に手伝っていた少女、シリンが頷き返し、説明した。


「この大聖堂は500人が入れます。もし2時間の礼拝があれば、礼拝堂の数か所にあるこの壺では賄いきれません」

「外ですればいいだろう?田舎ならその辺で」少女の真剣な答えを、建築技師があざけり半分で返す。

「体から出された物には、乾いて風に飛ばされ、人に触れると毒になるものがあります。私は大聖堂に集まった人の体が悪くならないために、どう水を流し、どうトイレを作り、どれだけの量が吐き出され、どこで水を浄化するか、それを考えたかったのです」

 少女は紅潮して応えきった。アンビーとマギカは頷き少女に笑顔を向けた。

「そんな事、古代の大帝国でもなければ…」

「待って!今はこの子の話を聞いて、記録する事にしましょう。ごめんなさいね、お嬢ちゃん」司書さんが謝った。いい人なのかな?


「今まで一番大変だった絵は?」コマッツェ達と共に絵を描く工房の少年、ミムラタが答える。

「お…僕の先輩達と学校に飾った絵です。50組の夫婦と50人の赤ちゃんが御殿で歓談する絵を描きました…これがその下絵です」

「夫婦に赤子…150人?」

 必死にページをめくり直すと、前の方に、あの卒業式の出席者の表情を捕らえたスケッチがあった。

「こっこの、緻密な!この服!笑っている。泣いている!そしてこの、美しい人は…」

 公爵は子供達の傍に座るウェーステと見比べた。

「ウェーステ先生が僕たちの学校の校長です!」

「な…な…学校…ちょ…あちょー!」

 また固まった。最新OSをレガシーマシンで動かしたみたいだな。お、リブートした。

「愚かなりメダガニ。この様な優れた子供達を教え率いる逸材を、何も活かせず唯閉じ込めておったとは!やはりくたばった方が国の為になったという物じゃ!」正しいけど酷ぇ事言ってるな。


 隣から司書さんが覗き込んで…叫んだ!

「貴方!貴方は人の髑髏を見たことがあるの?!」

「僕たちの住む魔の森には、過去多くの子供が捨てられ、多くの人が迷い込んで魔物に殺されました。

 僕たちはそんな人を見つけて、お墓に葬っています。その時、人の体がどうなっているか、骨の形も、見ました」

「まさか死体を切ったり!」

「それは!死んだ人に対してやってはいけない事です。散らばった骨を集めて、人の形にして…葬るんです」彼は、かつて葬った死者に祈りを捧げた。

「ほ、ほよよ~…」

 安堵した司書さんは暫く考え込んだ。

「貴方達に弔われた人も、貴方達に感謝している事でしょう。とてもいい事をしましたね」と硬い表情で返してくれた。皆が司書さんに頭を下げた。


******


 こんな問答が昼食を挟んで続き、公爵は、そして周囲の技師や司書さんも丹念に子供達に尋ね、答えが返って来る度に

「しぇー!」「くえっくえっ!」「んぺと!」「ぐわし!」とユニークなリアクションを返してくれた。ここの人みんな昭和かな?

 アンビーはニヤニヤと、ウェーステは誇らしげに、マギカは…居眠りしつつこの様子を無言で見守っていた。


 大聖堂の鐘も鳴り、日も暮れるので公爵が聞いて来た。その瞬間、三人の保護者は「来た!」と内心思った。

「率直に言おう。私は選ばれた王国の公爵だ!私はこの子供達が欲しい」

 大〇透か!開き直ったなあ!

「彼らは王国の、いいや大陸の未来を変える、金の卵だ。どうだね保護者の方、この子達売ってくれんかね?」

 田〇義文かな?

 三人は子供達の前に立った。

「断る!」「さあ帰りましょう!」なおも公爵は成り振り構わず縋る。

「では先生方達も一緒に!売り物に花飾れ、天才少年少女に別嬪の先生方と来りゃあ役者は揃った!金貨1万枚!いや月10万枚出そう!短気は損気だぞ!」

 故郷の感覚に換算すると月給100万円だ。ネ〇ショッカーかな?我が子をア〇コマンドと一緒にすんなよ。


 などと心の中で突っ込んでいると、その場にヤバい雰囲気が渦巻き始めた。

「わだじのごどもだじにぃ~」もう誰もヤツを止められない?!

 公爵たちが目の前に現れた火の玉に恐怖した!

「何”を”ずる”だあ”ー”!”許”ざん”!”」

 マギカが特大攻撃魔法を放った!公爵達が絶叫した!

「「「トレジョリキワワーッ!」」」

 一同が死を覚悟した!


 だが、魔法は失敗した!

 魔法を使える子供達が、マギカの火球を氷と風で包んだ!

 その不思議かつ美しい光景に、ひたすら目ん玉と口を引ん剝く貴族ズ。

 同時にマギカの脳天にチョップが炸裂した!

 少年少女達も徐々に後輩が出来つつある様です。彼らも成長しています。イケメンや美女に成長した彼らのキャラデザも描かないと。

 もし楽しんで頂けたら、下の星を増やして頂けるか、ブックマークして頂けると大変嬉しく思います。


 また、感想を頂けると励みになりますので、

「ここの意味がわからん」

「このネタっぽいのがわからん」

「あったなあ少年フライデー」

等々、お気軽に書き込んで頂けます様、お願い申し上げます。

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