49.孤児が死ぬ時!王都は全滅する!
前回のあらすじ:一時期友人との挨拶が「シャリバーーン」「マリオーー」「「あ”ーっ!」」でした。
やっぱり紀世彦は素晴らしい。
王都孤児院からの招待は、一泊二日。こちらの都合を無視しての申し出なので、そもそも失礼な話だ。楽しい観光予定が満載だったらどうするつもりだ。
そしてそんな短い時間から割り出される計画は…
初日に自己紹介、昼食会、自由時間、夕食と演技発表。
二日目に礼拝してお別れ会。そんなありきたりなスケジュールで何ができるか。
これは、コンクラベ様の采配ではは無く、弟子達が「選皇枢機卿様の懇意になれている方が王都に来たー!これで勝つる」と勇み足をした結果だろう。
独断で握りつぶすも良し。だが。
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「御屋形様、ここの子達って、良い子かな?」
「多分、意地が悪く、みんなをいじめて来る」
「え~じゃ嫌!」「やっつけてやる!」
「私はこの子達がいじめられるなんて嫌よ、断って頂戴!」
「じゃが」
「でもぉ、御屋形様がすぐに断らなかったって事はぁ、何か考えがあるんじゃなあい?」アンビーとプリンが被った。
プリン、お硬い行事が続いて疲れて来たかな。ごめんな。
「あらん、スケベな男たちから見られるのも、そんな嫌じゃないわぁ?」そうのか…
「あんた達はダメ!」女子から男子達に突っ込みが入る。
「この招待状は、いつも命の礼拝と冬の礼拝、そして結婚式に来てくれる司祭様から送られた物だ」
「え~?じゃあ、お返ししなきゃいけなだろ!」
「でも嫌よ、なんでこの子達を悪い子達の所に!」
「それは…多分、ここの孤児院が上手く行ってなくて、私達に助けて欲しいんだと思うよ」
全員の頭の上に「?」が浮かぶ。
「あー。この街の教会は、ちょっと前までもの凄く悪い奴が威張っていた。みんなの金を奪い、かわいい女の子を攫い、とてもいやらしい事をした後に殺して、それでも偉いから誰も逆らえなかったんだ」
「ひどーい!」「何て奴だ!」「殺された子がかわいそうよ!」
「でもソイツをやっつけて牢屋に閉じ込めたのがオーテンバー王女様だ」
「お姫様すごーい!」「あのお姫様、可愛いだけじゃないんだな!」
「強く可愛いお姫様!」オーティ、男子の心も釘付けだ。
「悪い奴のせいでこの街は荒れ果てて、街を逃げる人や、捨てられる子供が沢山いた。オーテンバー王女のお蔭で街は平和になったけど、捨てられた子供の世話をする人がいない。そこに司祭様のお弟子さん達がこの街に来たんだ」
「あの結婚式の時の司祭様?」「そうだよ」
「お弟子さん達は捨てられた子供の世話を始めた。でも子供達はとても辛い目に遭って、誰も信じられなくなった。」
「かわいそう」「確かに助けてやりたいな」
「おっと、それは間違いだ。君達がそんな考えだと、助けられた子供達は、君達に出ていけ!って思うぞ?」
「え?」「あ!」疑問に思う子、納得する子。
「その子達は、君達と同じなんだ」
それを最後に、子供達は何も言わなくなった。
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寝静まった夜。子供達は眠れなかった。
「城に来て、俺たちは何をして欲しかったんだろう」
「兄ちゃん達は、何かすごく働かせたり、飯食わせたり、世話してくれたけど、なんか話はしなかったな」
「俺は姐さん達に抱っこされて、なんか泣いたよ」
「うわ!お前ぇ助平!」
「違うよ、嬉しかったんだよ!そりゃ気持ち良かったけどさ」
「へへっ」
「でもあんな事、俺たちにゃ出来ないよな」
「俺さ、ダン兄ちゃんにブン殴られたぜ」
「あいつ問答無用で殴る時あるからな」
「でもさ、ダン兄ちゃんも泣いてたんだ。俺が悪かったのに」
「それがダン兄ちゃんだよ」
「俺たちに何が出来るんだろ…」「何だろうな…」
男子たちは、考えた。
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「お母さんに、会いたい?」
「もういいよ」
「でも夢に出るよね」
「いん。でももういい。私はお城がいい。ステラ様が大好き、プリンちゃんが大好き。お母さんよりも」
「私も。でも夢に出て来るんだ」
「御屋形様が言ってた。何千年経っても、家族の夢を見るって」
「酷いよね」
「何でそうなるんだろうね」
「ここの子達も同じかな」
「もっと酷いと思う。私達は御屋形様やステラ様やアンビーちゃん、プリンちゃんもオイーダ姐さんも、ウェーステ先生もいたもん」
「私達がその替りになれないかな?」
「無理よ。すぐお城に帰るのよ?」
「何か、ここの子にしてあげられないかな?」
「あのさ、わからない」「何が?」
「御屋形様が、何でそんな考えだと出ていけって怒られるって言ったのかな」
「あの…」
「モネラ?」
「多分、偉そうに、お前を助けてやるなんて言われたら、私は嫌。余計なお世話」
「何で?」
「私達はすぐいなくなる。御屋形様もステラ様もいてくれて、私達は幸せ。もし私なら、私なら…何をして欲しいかなんてわからない」
「そうよ。解んないよ」
「でも御屋形様は、私達に頼んだ」
「頼んだの?」「そんな風じゃなかったけど?」
「頼んだ。考えて、答えを出せってたのんだよ?」「そう?」「…そうかもね」
「私達、何かをしなくちゃいけない。考えても判らない。どうしよう」
「どうしよう」
女子達も、考えた。
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「俺は、行きます」「私も、行きます」命令されての反応か、自分で考えての判断か。何か菊水特攻みたいな雰囲気になったな。馬鹿野郎って言われないで済んだ。
オーティに孤児院への回答を頼み、その日の午後には馬車…ではなく歩きで向かった。
出発時に、眼の下に隈をつくってた子供達を心配してた王女様がバルコニーから見送っていた…が
「景気付けに歌うぞ、聖女様の賛歌だ!」
「「「ハイッ!」」」お、子供達が元気になった。
「「「イェーッ!」」」「「「ズバババーン!」」」「「「ワァーオ!」」」
「ヤメテーっ!」オーティの方が元気だ。
見慣れない制服の子供達が整列して大人気の聖女参加を歌っているのを見た通行人も、微笑ましく同調し、
「「「ブロロロローッ!」」」「「「ズビズバー!」」」「「「ワァーオ!」」」
と叫ぶ。明るく笑う子供達。誰も乗ってないバイクに気を付けてね。
後、誰だブロロロとかズビズバとか付け足した奴。あ、以前調子に乗って酒場で歌わされたっけ、その際なんか付け足した様な…
「俺なんかやっちゃいました?」やっちゃいましたね。
「ヤメテーっ、モーヤメテーッ!」悶絶してコロコロ転がってるオーティ、可愛い。横〇弁護士のマネ異世界で大人気の巻。
諦めろオーティ。君はズバババーンでイェーイでワオーな人なんだズビズバー。
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そして先日訪問した大聖堂の、その奥の孤児院。石造三階建て、倉庫みたいな建物だ。大聖堂の荘厳さとは両極端だ。
「お待ち申し上げて居りました」と歓迎する中年の司祭。この人が孤児院の責任者か。
「この度はお招き頂き、有難く存じます」と一行を代表してモネラが元気に応えた。彼女を知る皆は驚いた。
そして一同整列し、「「「有難く存じます!」」」と頭を下げた。
「みんなとても行儀がいい。城主様の教育の成果ですね」とご機嫌の院長。
「いえ、子供達が考え、決断した結果です」との私の返しに、何か納得が行かない様子。
扉の向こうの院内には、子供がまばらに居て、こちらを見ている。
どの子も、心に傷を負っている。かつてこの城に、年長の子供が捨てられた時を思い出した。
院長の案内で院の集会場に入る。王都孤児院の子供は20人。王都の人口からすれば、少なすぎる。もっと多くの子供がスラム化した地域に入る筈だが、手が回っていないのだろう。
こちらは、志願者10名。他の10人、昨晩の貴族との懇親会で声を掛けられた子供を中心に、アンビーとウェーステ、マギカが引率し、牽制してくれている。
こっちはステラとオイーダ、プリンが居てくれる。
「さあ、みんな。今日は聖女オーテンバー王女様を助けてくれた、魔の森の城からお客様が来てくれた。明日まで歓迎して、仲良くなってくれ」
なんつー投げやりな紹介だよ!
しかもなんか雑!その上こっちが権威を笠に着てるみたいな言い方!
嗚呼、向こうの子達が出ていけって言わんばかりに見てるよ!
どうすっかこの空気。
だが、モネラが一歩前に進んだ。その横顔に迷いは感じなかった。
「本日はお招きいただき、本当にありがとうございます。私はモネラ、6年間前に角狼や角熊、角竜までが住む魔の森に捨てられた、捨て子です」
孤児院の子供達がざわついた。
「私は角狼に食べられそうになりましたが、魔の森にある城に助けてもらい、畑を耕し、住まいを掃除し、小さい子の世話をし、文字を教わり、お酒を造る手伝いをしました。今は、生まれたばかりの子供が病気で死なない様に病院の手伝いをしています」
「あいつ子供じゃん?」
「病院の手伝い?貴族様なの?」
「角狼って、騎士が大勢で退治するんだぞ?」
「お前らうるさいぞ!」院長が怒鳴った。
「お待ちください!」私は院長に向かい「私の子供の話を、最後まで聞いて頂けませんか?」と慇懃に頭を下げる。
「あ、ああ、これは失礼した」と詫びる院長。
ステラが、こちらを向いて頷いてくれた。「モネラ、続けて下さい」
「私は、貴方達と同じ孤児です。これからどうなるかは皆さんも私も判らない事ばかりです。明日までの少しの時間、お話が出来たらいいな、と思います。宜しくお願いします」
立派だ、モネラ。
「同じじゃねーよ」と漏らす向こうの少年。
「そっちは聖女様のお仲間で金持ちじゃねーか」
「お城に泊まっていい服着て、美味しい物沢山食べてんだろ?」
「貴族様と変わんねーじゃねーか!」
私の子供達に憎悪の眼差しが集まる、私は、ステラは我慢できるだろうか?
「全然違います!私達は、働いているんです」モネラは答える。
「そうだ!俺たちは、魔物と戦って、魔物を倒し、その肉を食って生きてるんだ!」
「麦も米も、野菜も果物も、俺たちが育てて食べてるんだ!」
「ここの王様が何にもしないから、私達が育てた芋を分けてあげているのよ!」
「何も知らないくせに偉そうに言わないで!芋やトウモロコシを食べたんだったら、私達にちゃんとお礼を言って!」
思いもよらなかった反論に、孤児院の子供達も、院長も何も言えなかった。
反論した子供達も、思いが滾って、涙を流していた。
モネラは泣き出した子を抱きかかえ、撫で、院の子達に向かった。
「大きな声を出してごめんなさい。でも、私は貴方達に言いたい事があるの」
最初に私の子達を非難した少年が聞いて来た。
「ん、何だよ。何が言いたいんだよ?」
「話は聞きました!貴方達孤児院は、来年には全員死に、王都も滅亡する!」
「「「何だってー!!!」」」
昨日コロナでずっとあってなかった友人と飲んで、「なろうに書いてるよー」とサブタイトルを見せたら死んでました。モンティパイソンのギャク爆弾の代わりになるな、特撮マニア限定で。
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