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48.新型二階だて馬車のふしぎな王国旅行

前回のあらすじ:切断されたユニタングが合体して再登場するカット、信号が鳴って小田急線が通過するミニチュアが妙に印象に残っています。信号と鉄道のミニチュアっていいね!

 妻達全員…ではなく、選抜隊で各種族出身代表を同行させる事にした。

 平民のステラ、ドワーフのアンビー、難民のオイーダ、エルフのウェーステ、魔導士で王都に詳しいマギカ、それに加え、妻に準じる扱いで亜人のプリン。

 6人を連れて、少年少女20人を載せた列車が、留守を預かる妻と城の子供達に手を振られながら出発した。

 ダンやコマッツェ、ムジカ達も連れて生きたかったが、彼らは既に修学旅行で王都を見学していたため「これから活躍する後輩に行って欲しい」と後進に席を譲った。

 ムジカのアシスタントを行うテンポラと、マギカの弟子としてモネラを同伴する事になった。コマッツェの弟子は、元々修学旅行組に何人かいた。


 魔の森入り口の地下駅を出て、馬車…外から見たら馬車だが、中は空間魔法で二階建てバスを改造したキャンピングカー、に乗って出発する。

 今までは道中の安全が確保できなかったので、瞬間移動で目的地へ移動した。今回は王女様の招待状があるので、道中を楽しむ事とした。

 カーステ全開で元気よく歌いながら、時に屋外で食事を摂り、時に露天風呂を設営し体を休め、車内で身を寄せ合って寝ながら、時速30キロ程度で南の王都シャトー・ダキンドンを目指す。

 寝ながら…って、皆と風呂付ベッド付き音楽付きのバスの旅なんて、楽しくて寝られないよね。

 駐車できる場所に止めて宿泊する。ベッドではしゃぐ男子、おしゃべりに夢中な女子を見張って寝かせて、その後は妻達と晩酌だ。昭和の修学旅行まんまだ。

 旅路の酒を楽しんでいると、「寝られないの」と二階から降りて来る子もいたので、子守歌を皆で歌って寝かしつけた。いい思い出になるといいな。あと酒臭くてゴメンな。


 時には都市部で検問を受けたが王女の招待状を示して退け、途中の都市は迂回し、山に差し掛かれば悪路を「稲妻重力チェースト!」となだらかにしたり補強拡張したりしてホイホイと進んだ。王国と辺境領の流通も良くなるだろう。


 そして翌日、落日も近く。

「乗客の皆様、本馬車はまもなく王都シャトー・ダキンドンに到着します。3日間600キロの長旅お疲れ様でした」とアナウンスすると、子供達は前方に広がる王都の景色に固唾をのんだ。

「何今のご案内?」

「いいじゃないか75日間7億キロをずっとエコノミークラスみたいな椅子に座りっぱなしでグルグル回されてるより」

「相変わらず訳わかんない」「それより色々な単位を王国基準で教えんとのう」

そうだった。この世界にタレーラン・ベリゴールはいない。小〇左京もいないけど。


 王都の近くに着き、馬車を空間収納チェスト!で隠し、徒歩で向かった。

 王女の招待状を門番に渡すと貴族用の待機室に通され、ここからは王家の馬車に迎えられての移動となる。

 壮麗な王家の馬車に皆心時めかせた。

 だが、それは馬車が走り出すまでの事であった。

「ゆゆゆ揺れるわわわね!」「れれれ列車やおやおや御屋形様の車の方ががが、余程揺れんななな!」「あぶぶぶぶ」

 ドレスで正装したみんなの胸元が揺れゆれゆれる。眼福だだだ。

「こりゃりゃりゃサスペンション付きつきつき馬車作ったららら王侯貴族に高値で売れるぞぞぞ!」

 迎えの使者が、最上級のお迎えの筈の馬車に平民達がケチつけてるので不思議そうな顔をしていた、スミスミスミマセセセン。


 だが貴族の区画に入ると、道も良くなり、整然とした区画や、壮大な屋敷、聳えるモニュメントに、皆目を奪われた。だが。

「あちこち焼けてますね」「また復興が終わっていないんだな」

 貴族の区画はまだましだ。

 酷いのは、私達が見ていない住宅街や商店街だ。徐々に復興され生活が蘇ってはいる。しかし一度王都から避難し、戻って来た人の殆どはまだバラック住まいだ。衛生や治安の問題もある。実質的に王都を預かるオーティの責任は重い。


 馬車は王城の正門を潜り、城内の中庭で、城の旗を掲揚しての歓待を受けた。音楽隊が護児城の収穫の歌を演奏する。流石に栄誉礼なんて存在しないが、それでも急遽編成したであろう音楽隊による歓迎と、城の旗や収穫の歌を記録してくれていたのは嬉しい。

 妻達も、子供達も誇らし気だ。


******


 対面の間では、王は…いなかった。知ってた。

「聡明な魔導士の前に余が出れば叱責を受けるであろう。今回の騒動を鎮圧したオーテンバーであればその様な醜態を晒す事は避けられる。頼んだぞ」と、逃げたのだ。私は心の中で叫んだ、加〇精三の声で。

「だから貴様は馬鹿だと言うのだ!」


 王女は王座から降り、私の下に来て一礼し、私も礼を返す。

「よくぞ招きに応じ遠路我が城に参られた。

 この度の擾乱平定への助言、危機救済への協力。貴殿の支援なくば王国は破滅して多くの民の命が失われていたであろう。

 救国の英雄、魔導士にしてイニロトナス山護児城の主タイム殿。

 ダキンドン王国第一王女、オーテンバー・ダキンドンの名によって感謝を込めて歓迎する!」


 見事な振舞いだ。相手に敬意を表しつつ、自らは気高く振る舞う。

 上出来だよ!テイソさん!あ、こっち見て安堵の溜息を漏らした。

 これに続いて貴族達が拍手する。


「我がダキンドン王国と、貴殿の護児城との不可侵条約は、滞在中に仔細を改め、署名する事を約束する!私と握手!」

 遊園地か!兎に角私とオーティは握手を交わし、拍手が起こった。

 まあ、後ろ盾は多いに越した事はないな。


******


 この後、歓迎の宴が持たれた。こちらもウェーステ達の指導でテーブルマナーは仕込み済で、何とか失態を晒すことなく済んだ。失態を晒したのは国王だ。

 席上「功労者の接待に王が顔を見せないとは」「もうだめだよこの国の王」「もう全部王女でいいんじゃないかな」そうだなあ。もう王女が指揮を執った方が色々スムーズにいくかも。スタッフさえしっかりしていれば。


 護児城の御殿の豪壮さとはまた違った、ゴシック調の壮麗な内装。

 金銀に輝く装飾品にシャンデリア。壁には、収穫を占う上で不可欠な星座の図、美女の全裸の上に黄道12星座を配した、人体天体相関図が描かれ、城の皆が圧倒されている。

 私は…昔故郷で、新婚旅行で訪れたパリのリヨン駅にあるレストラン、ル・トラン・ブリューを思い出していた。王宮に招かれた様な、夢みたいな時間だったな。

 ステラもウェーステも、妻達、子供達も目を輝かして周囲を見ていた。


 席上に振る舞われる、豪勢な更に盛り付けられた、高級な肉料理。珍しい野菜に果実。金の杯に注がれる酒。しかし…


「お城のご飯の方がおいしかったかなー」

「ヤミーちゃんって凄かったのね!」

「何か肉が臭いみたい」

「果物ヘンな味だった」

 城内の客室に通された子供達の反応はイマイチだった!つかみはOKだったが本番でスベったみたいなもんか!

「やっぱり城で暮らしているとおかしくなる物ね。王様の食事にこんな事言っちゃうなんて」

「何と申しますか。権威のために無理に珍しい香辛料を使い、高価な食材を使う事で、お城の様な繊細な味付けは気にしていない、その様にお見受けしました」

「まあいいや、明日は街を見学だ。飾らない、美味しい物を探しに行こう!」


******


 翌日は王城を出て、子供達を修学旅行定番の、大聖堂や集会堂といった「王の威厳を市民に体感させる建築」見学を行った。

 モネラの強い希望でオーティに図書館への入館許可も貰った。眼鏡をかけた、若いのかそうでないのか微妙な女性司書から、あっからさまに嫌~な顔をされた。

「私の率いる子達は字も読めるし本を大切に扱う」と一蹴してやった。うちの子ナメるな。本を読む子供達の姿に、司書女史は、それは驚いていた。

 この世界は十進分類法なんてないので記録を頼りに自然科学の本を探す。古代に書かれた動物解剖の本があったが、この時代「ターヘルアナトミア」なんて無いのでモネラは多少しょげていた。


 それでも必死に植物学の本を読むモネラに「子供には少し難しいでしょう?図が多い博物誌の方がいいかしら?」とさっきの司書が言う。自然科学担当かな?

「あら、この子の眼鏡に叶う高いレベルの本なんか、こんな所にあったかしら?」と啖呵を切るマギカ。

「げっ!行き遅れのマギカ!」あ、マギカの血管が何本かブチ切れた。おわ、彼女に抱き寄せられた!

「行き遅れたお蔭で、とってもステキな魔導士様と結婚できたわぁ!」あ、はい夫です。

「聖女様が招いた魔導士…何で王宮を追放されたアンタが!」何か凄く悔しそう。

「私は今旦那様の愛を日々頂きながらぁ、可愛い赤ちゃん達を夭折から救う研究をしてるのよぉ?」嘘は言ってない、言ってないけどさあ。

「そんなもの魔法で治せる訳ないじゃない!」

「魔法では治せない。細菌の感染に対して免疫を持つ必要がある」とモネラ。

「何言ってるのこの子?」

「眼鏡と眼鏡を組み合わせれば、血や唾液の中にいる小さい生き物、カビやキノコの仲間が見える。それを調べれば、病気に勝てる」訥々と喋るモネラに、ふんぞり返っているマギカ。

「それを証明できるの?証明できなきゃ異端扱いよ?」

「して見せる。沢山の赤ちゃんや病人を助けて見せる。」声は小さいが、志は大きい。

 少女の真直ぐな目を見た司書は気圧された。

「…異端扱いされない様に頑張りなさいよ。それと博物誌は左5つ目の奥」と言って、私にも一礼して去って行った。

「王都もレベル低いわね!」

「いや、モネラの訴えに、何か感じるものがあった様だよ、さっきの司書さん」

「アイツ学生時代から要領だけは良くて出世すんのよね。さっさといい男見つけて結婚しやがったし!」子供を私怨に巻き込むなよ!あとあの人若かったのか!

 モネラは司書が教えてくれた博物誌の棚へ向かっていった。


******


 大聖堂はやはり圧巻だ。

 先日の騒動、もしデマゴギー一派が大聖堂前で鬼畜の所業を行っていたら、この聖堂も無事ではなかっただろう。無事でよかった。枢機卿館は尖塔が無事じゃなかったけど。まあ最近建てた物だそうだし。

 総本山から派遣された新枢機卿は、王都復興を支援するため尖塔はそのままにする事にした。

「思い上がった外道の末路こそ歴史に残せ、轍を踏まぬ様」と言い放ったそうな。


 反乱が起き荒廃した各地にも、聖女オーテンバーを担ぎ歴訪し、復興支援を行い求心力を回復させているそうだ。勿論、作詞作曲この私の、例の歌と共に。


「ズバババーン!」「イェーイ!」「ワーオ!」「ディンダダーン!」「アチャアー!ビシィッ!」途中食事に寄った店でもなんか歌声に交じってOTAKEBIが木霊する。するけど…

 ディンダダーンとかアチャアとか私が書いてない絶叫が入っていたのは何故だ?


 色々な宗教画を見ながら、コマッツェを手伝う、絵が好きな少年少女が模写をしていた。ちょっと覗いて見ると。

 人気のあったのは、写実性の高い絵、遠近法を試行したかの様な奥行がある絵。以前修学旅行に来たコマッツェが食いついていた絵だ。

 聖典を絵画化した、典型的な宗教画は人気が低い。後古代彫刻のスケッチ。


 この世界にはまだ大航海も異教徒との戦いも無いので『ルネサンス』に至っていない。写実性の低い、様式化された絵が主流なのだが、城館や鎧に武器、貴族男女の階級に応じた衣装や宮殿の内装と言った風物を正確に描き、歴史資料として目の前に並んでいる。彼らはそれに食い入っている。

 中には、写実主義の先鞭をつけた様な、詳細な観察眼によって描かれている絵もある。

 絵の中の女性のドレスを必死に模写している少女もいる。嗚呼、オーリーに頼まれたのかな?

「時にはこういう昔って言われる綺麗な服装を描くのもいいかなって」ゴメン、自発的だった。

 学生なら兎に角、小さい子供が模写している姿はかなり奇異なものだったのか、視線を浴びていた。


******


 見学を終え、再び晩餐会。

 楽士が音楽を奏でる中、前日の感想を聞かれたため、料理長の名誉を傷つけない様注意しつつ、城でのレシピを紹介し、リクエストした。酒も「招待に対する城からの返礼品だよ~」と提供した。

 歩き疲れた子供達は大変満足して食べ、私達も飲んだ。

 魔物肉料理は、王都では余程奇異なものと思われていた様だが、厨房に歓声が沸き起こる程の好感を得た。

 魔物肉は低温貯蔵庫と合わせて輸出品に加えるか…氷魔法を使える魔導士がいないと駄目だな。

 一生懸命食べる子供達を見てステラが笑顔で「やったわね」と褒めて下さった。


 今夜はオーティや有力貴族も同席している。

「いや素晴らしい、魔物の肉とはどんなものかと思ったが」

「100人の兵を以て狩るだけの事はある」

「この酒も!こら美味い、美味いですよこれは!」ここにも副部長が。


 何人かの貴族はアンビーとプリンに視線をチラチラ向けている。

 ある程度の情報は出席者には伝えられているのだろう。

「私は認識を改めねば。奥様方はとても美しく、魅力的だ」

「まだ見ぬ大地に秘められた宝石、至上の宝と讃えるべきか…」

 特にプリンとアンビーの胸元に視線が集中している。男としてわかるけどさあ。

「この方たちは、命の危うかった私達を抱き止めて、守って下さった恩人であり、私達を歓迎してくれた無二の友だ。出自も種族も超えた友なのだ。

 諸侯とも、敬意を以て接して頂ける様、強く望む」

「ははっ!」貴族達は伸びた鼻の下を引き締め頭を下げた。が、再びプリンの胸元に。わかるけどさあ。プリン、笑顔で返さないで!


 その一方で内心快く思っていない奴もいる。

「何故王城の晩餐会に獣が」「貧民の炊き出しのつもりか小娘が」と小声で言っている奴等もいる。こいつらの末路は知れたものだ。


 あれ?超絶美女のウェーステはそんな注目されて…いや、視線を向けられては逸らされ、その繰り返しだな。これはエルフの呪いの迷信の所為か?うん、差別というものは簡単には消えないな。これを差別と呼ぶか否か。だが確実に彼女を見る目は熱が籠っていた!駄目!私の妻だ!


 ご機嫌になった貴族達は、子供達に王都の感想を聞いて来た。政治がらみだな。

「人が多く、活気があると感じました。宿を増やし、馬車を留める場所を増やせば、王都に来る人が気持ち良く行き来できると思います。」

「大聖堂の大きさに驚きました。森の大きな建物は、使う木の大きさに限られますが石の建物はそうではありません。アーチも綺麗でした。ここでは地面が揺れる心配がないのですね」

「壁画に描かれた昔の人や今の人のドレスの移り変わりを見るのは楽しかったです。新しい服のデザインにも活かせると思います」

 子供達からの、子供らしからぬ、まるで産業視察みたいな解答に、貴族達は目を剥いた。オーティは、ニコニコ満足そうだった。


「人が増えると、街をきれいにする必要がある。街に水を流し、流した水をきれいにし、疫病を防げれば、とてもいい」とモネラが指摘すると、一同の顔付きが子供に向けるものとは一変した。

「とても素敵な音楽。もし、魔道具でこの音楽を繰り返し聴ける様になれば…」テンポラの一言で、演奏はやや崩れた。

「ごめんなさい、只の夢です」流石プロ、すぐに持ち直した。


「…魔導士、いや城主殿。城では、どの様な教育を行っていますか?」

「みんな、紡績や酪農、衛生や病院等のため勉強しながら働き、城の生活に責任を持って臨んでいます。読み書き計算の基礎教育を終え、労働と教育を一体化させた段階へ進む準備段階に入っています」

 感嘆の声を漏らす貴族達。オーティは相変わらずニコニコだ。例によってテイソさんが脇で青い顔をしている。


「城主様、差し当たって我が王城で優先すべき課題は何とお思いでしょうか?」

 と凄くアバウトな事を弩ストレートでオーティが聞いて来た。

 貴族達が全員私を注視する。

「先ほどこのモネラが言った事、衛生を王都に広める事は、大変困難な事かも知れません。しかし疫病と言う物は社会の仕組みが崩れたり、困難が訪れた時にこそ、死神の様に現れます。

 王都の人達が食べ物に困る事は王女様のご活躍により避けられました。次に必要なのは住む処。食べ、飲み、子を産み、育て、そして死んでいく所。

 ここで『都市衛生』という計画が必要になります。疫病の発生を防ぎ、不快な生活から人々を守り、死者を減らし、生産力を高める。これは権力者の義務です」


 一同が難しい顔をして考え込んだ。そこにオーティが朗らかに聞いて来た。

「そうであった。護児城の暮らしは大変清潔であった。御屋形様、じゃなかった城主様。この地であの暮らしを過ごす事は出来るだろうか?」

 貴族達が更に食い入る。テイソさんが緊張して見てる。ここまではシナリオ通りか。


「できるかな、ではなく、やるんだよ、です」脳裏に高名なパントマイムの方の笑顔が浮かんだ。

「この問題を後回しにすると、スラムが発生し、疫病が発生し、社会不安が発生します。折角王女の御威光で回復した情勢が、再び不安に包まれます。

 大事業になり厖大な予算が必要となりますが、ノキブル川の支流を使った水道の引き込み、それを飲み水に変える上水道の整備。

 家庭や商店、工場から流される排水の浄化。

 一つずつ手を付けて行かれれば、やがて誰もが憧れる王都が出来上がるかと存じます」

「おお、助けてくれるの…ひゃっ!」今、アホな事言ったオーティにテイソさんの視線が物理攻撃した!視線が物理!

「この事業をオーテンバー姫が成功された暁には、大陸全てが手本とすべき偉業と讃えられるでしょう」自分の事は自分でしなさい、と遠まわしに言った。

 貴族の皆さんはガッカリと方を落とした。まあ、必要な時に助けるか。テイソさんの熱い視線に笑顔を返し、やや安心して貰った。


「後、この様な招待状を受けておるのだが」物理視線攻撃を受けて怯んだオーティが話した。

 給仕が書状を持ってくると、教会孤児院の署名があった。

「かの罪人の替り着任したダキンドン管区枢機卿から、孤児院への招待状だ。どうだろう?拒んだとしても問題はない」

「それは。子供達と相談させて頂いてからの回答で宜しいですか?」

 私は答えを保留し、晩餐会はそれなりによい雰囲気で終わった。

 王城の描写が超おざなりなのは、私が西洋の城というものを理解できていないからです。そもそも絶対王政以前、中世末期のフランスって、王が有力貴族の領地を巡回して生活していたとか。

 ルネサンス以前のゴシック様式での豪華な内装というのも、教会建築なら兎に角、王や貴族の城だと中々。中世、ムズカシイ。困った時は「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」。


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