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36.多いぞ!多いぞ!50人の赤ちゃん

10/9設定編に、ダン、ミッシ達城の子供達を追加しました。イケメン騎士様と行き遅れ眼鏡っ娘はまた今度。

前回のあらすじ:「雪に挑む」もオススメ。しまった特撮映画じゃないじゃん!でも何故か怪獣映画ちょり怪獣映画っぽいんだよね、「佐久間ダム」とか「谷間の歴史」とか。

 この地に城を築いて、4回目の春に外からの来客を招いた。

 それから商人達まで来訪し、城は今までののんびりとした暮らしから、徐々に外の世界や将来の姿を考え始める様に変化する事となった。

 絶望的な状況で故郷を追放された子供達に、未来を夢見る気持ちと、それを実現できる力が備わり始めたのだ。

 それと並行して…


******


 冬の内に育った麦を刈入れ、春を告げる花が咲く。もう春も5回目だ。

「御屋形様!話さなきゃならない事があるんだ!」

 農業組リーダーのアグリが、ミナトナのロリーと一緒に深刻そうな顔で奥書院に来た。私は急ぎ周囲の戸を固めた。ステラもアンビーも、姐さん達もいない。何故か、ロリーの保護者枠にあたるプリン達他のミナトナもいない。そのタイミングを見計らってきたのだ。

「後でステラやアンビー、プリン達に相談するかも知れないけど、いいかな?」

「プリンさんにはもう相談しました。ステラさん達にも、お話するつもりです」

「聞きます」彼らの正面を向き直した。

「ロリーと結婚したいと思います!」

 普段のぼんやりした顔と違った、決意を固めた顔をした。男らしい顔つきになったな。ここはお祝いの言葉を贈らねば。

「妊娠と結婚の順番が逆だゴルァ!!」


「赤ちゃんが出来たんですぅ」と顔を真っ赤にしてプリンが言う。

 お腹を見るまでもなくもう3ケ月、出産は秋頃…いや、ミナトナの出産はもうちょっと早いか。

 ミナトナ達の色々な世話を最初は私がした。色々した。

 しかしステラとアンビーとの結婚を契機に、農業組のアグリに手伝って貰う様になった。何ていうか、コイツ爆発寸前だったからなあ。

 まあ相手が相手だし、成人近く色々成長してきた少年に対して我慢しろって言うのもあれだ。冬の間に新しい命が生まれたんだろう。


 だが気になる点がある。「で、プリン達は何って?」

「彼女達は出来ていません」「『は』って何だよ」「あ、いや…」

「でも『ロぉリぃーが決めたならぁ、おめでたい事よねぇ?』って感じでした」プリンの真似すんな気持ち悪い、でもまあそう言うだろうなあ。

「アグリ、お前人生掛けてロリーを守って幸せにすると誓えるか?」

「はい!!!」

「今はやる気に満ちているだろう。私は知っている、お前はモテモテだぞ?」

 一瞬、アグリが驚いた。そしてそれをロリーが見逃さなかった。


「お前が成人したら結婚したいって女の子は一杯いる」敢えて話した。

「関係ありません。俺はロリーと、俺の子を守ります!」迷いはなさそうだ。

 私がロリーの方を見ると、嬉しそうに眼を潤ませていた。

 アグリは親の暴力で障碍を負わされ、ロリーも横暴なミナトンの暴力の所為でかばったプリンもろとも故郷を追い出されたのだ。理不尽な暴力から大事な人を守りたい、そう思う気持ちが強いのだろう。いつもは屁っ放り腰だけど。

「最初は流されるままでしたが」「全くその通りなんだが私もそこは責めない」責める事などできやしません。

「色んな話をしてる内に、ロリーとずっと一緒にいたいって思う様になったんです」

「因みに他の娘は?」

「プリンさんに話した時も、皆ミナトナは自由恋愛だ、結婚はしないものだ、って言ってました」やはりそう言うだろうと思った。


「ロリーは何で彼とだけにしようって思ったの?」

「アグリにも聞かれたんだけど、何でかなぁ?」軽!

「なんかほんわかして、ずっと守ってくれそうで、私はお乳を、アグリが麦や野菜や果物を作って、ずっと幸せで暮らしたいなって思ったのよぉ」おお、意外とと言っちゃ失礼だがまともな答えだ。

「でも他の男の子とお相手できなくなるぞ?」

「ん~もったいないけどアグリがいいかなぁ?プリン達は一人に縛られるのはイヤって言ってたけどぉ」となりのアグリが感動に打ち震え強く目を閉じていた。

 ミナトナにはミナトナの生き方や感じ方があるんだが、辛い経験をしたロリーにとってここの暮らし、アグリとの暮らしは、最も心が落ち着けるものなんだろう。納得できる。


「ロリーのために命を懸けてここまで来た、保護者でもあるプリン、そして仲間のみんながいいって言ってるんだ。私が反対する理由なんて無い。二人の結婚を祝福したい」

 二人は顔を緩め、抱き合った。

「但し、結婚する時期については、ロリーの体や、お腹の中の赤ちゃんの問題もある。オイーダやステラ達にも相談させてくれ。生まれて来る赤ちゃんを第一に考えたい」


 そして信頼できる女性陣と相談した結果、正式な結婚は出産が終わってから、しかしロリーの体が安定したら内々に挙式し、夫婦として認め、勤めを果たす誓いを行う、という事にした。

 この結果に、またまた二人は喜び合って抱き合った。


「赤ちゃん生まれるのが、お米が育った頃かしらぁ?」

「「「え?」」」プリンの発言に妻達は驚いた。

 やはりミナトナの妊娠期間は人間より短いのだ。出産予定日は8月、もとい6の月ころだそうだ。

「あたしも赤ちゃん欲しくなりそうだわぁ」だから私はムリだって言ったでしょ?

 ステラから冷気が放たれているからとりあえず離れて!


******


 基本は二人の種族を越えた愛なのだろうけど、結婚という物への憧れを超強力に持たせてしまったのは、間違いなく私達の結婚式の所為だろう。

「まさか、私達の結婚がこんな事になるなんてね…」

「あたしゃ穴掘って入って逃げとうなるわ~」

 顔を真っ赤にしてステラとアンビーが悶絶してる。

 私も、どうにかしなきゃと責任をズッシリと感じています。


「御三方の結婚式典、どの様な盛観だったのでしょう!このお城と城下でのパレード!この目に出来なかったのがとても無念です!」

「くっ!娶れ!」「私もお慕い致しますう!」ウェーステ達黙ってて。

「お願いーやめてー!」更に真っ赤になるステラ。ナニコレカワイイ。

「とっても華やかだったわぁ~、でもあそこに座るのはちょっと面倒よねぇ?」面倒って、そう思うかプリン。

「はっはっはあんなお祝いするにゃ御屋形様ちとブサイクっスからね」待てニップ「そうじゃなくて!ずっと縛られるって辛くないぃ?」プリンが言ってるのは、「男に縛られたくない」って想いだよね?不細工関係ないよね?

「ぐやじー!見だがっだー!あだじも結婚じだい”ー!」何かあっちの方でマギカが叫びながら転がりまくってるのは無視していいよね?

「あの結婚式を見ちゃったら、あたしたちでもこの年で夢見ちゃうよ。素敵だったよ、御屋形様も、奥様達も!」「「「そうよー!」」」オイーダ達も乗っかってきやがる。

「だからさ、年頃の子達も結婚を夢見るのよ。男の子も、女の子も、御屋形様と奥方様みたいに。結構真剣に考えてると思うよ?自分と相手の将来とか、幸せとかね…」というと、少しオイーダは寂しそうな顔をした。そんなオイーダも、ドレスもイナムもジーミャも、抱きしめた。

 ステラもアンビーも、姐さん組を労わる私を暖かく見てくれた。この辺の判断基準、難しいな。


「あたしらの事だけでのうて、騎士様を迎えたり商人が来たり、子供らの中でも大きい子は、何か自信を付けたってこっちゃろうなあ」

「嬉しい事だ。この外からみたら地獄みたいな土地で、夢も、愛も、命も育ってくれるんだ」

 一瞬、みんなが何か暖かい空気に包まれた様に感じた。皆、笑顔だ。


 とは言え、毎度毎度結婚式の都度パレードしてたら城の労力がたまったもんじゃない。

「その通りです。御屋形様と他の子は、働きに応じて格式を設けるか、御屋形様以外と一律にすべきと考えますわ」ウェーステは合理的な事を提案してくれた。

「え~申し上げにくいですが」どしたの転がってたマギカ?って解ってるけど。

「ほかに4組の子が妊娠してます」

 私以外、全員一瞬固まった。が、直後、何か納得した様な表情になった。

 でもさ、それ(4組)だけじゃ済まなかろう。


******


 辛い農作業。難しい勉強。楽しい季節のお祭り。

 乗る度に楽しい列車で魔の森の中を出かけ、聳える櫓や城壁の下、御殿と農場を往復し、春が過ぎ、夏が来る。季節を伝える花の色も移り変わり、収穫を祝う歌声が響く。

 しかし、その祝いを欠席する男女も増えて来た。


「おめでたですね!」マギナの瞳が眼鏡の向こうでにっこり微笑む。

 この半年で50人が妊娠し、100人の年長組の男女が結婚を決意した。都度私に結婚の決意を伝えに来る。城の人口の2割が所帯を持つ事になる。

 故郷を追放され、親から引導を渡され、魔物を前に死の恐怖に怯えた男女が、新天地で生きて行く手応えを実感して、畑仕事で、育児で、勉強で、そして恐ろしい魔物との戦いに一緒に頑張って来たんだ。それは共感も感じれば、愛し合う気持ちも当然生まれるだろう。二之丸御殿に移って個室が増えたのも背中を押してしまったのかも知れない。

 結婚を決意した男女が私に報告に来る。その都度私は彼らを祝う言葉を掛ける。

「結婚と妊娠の順番が逆だあゴルァ!」


******


「緊急事態です!」テ○ホークスかな?ステイイン、ディスチャネル?

 ステラが真顔で私やアンビー、ウェーステ、プリン達ミナトナ、オイーダ達姐さん組、ダンやコマッツェに渦中のアグリ他年長男子、ヤミーやムジカやモネラやオーリー達年長女子を呼び出し、大広間にて会議を開催した。


 そういえば今まで城の大事は私とアンビーが考えステラに相談し、年長男女に説明しつつ実行してたな。こうやって大々的にみんなを集めて何かを決めるのは何気に初めてだ。

 いつかは執行部を制定し合議制にしなければと思っていたがついにその時が来たか~、と感慨にふけっていると

「御屋形様しっかり聞いて!」怒られた。

「今、城の中で妊娠している子が増えています。それはとてもいい事だけど、覚悟が足りない気がします」

「全くその通りだわ!」おやマギカさん、お怒りか?

「妊娠したって知ると女の子は喜ぶけど、男子は腰がひいちゃってるのよね。女を何だと思ってんのかって叱ってやったわ!」

 ちょっと主観強めだけど、問題の本質を突いている。


「好き合う子同志で幸せになるのは悪くない。でも、子供が出来たり、夫婦になって責任を負ったり、子供を大事にして育てなきゃいけないって事を、みんなどこまで考えてるのかがはっきりしないわ!」

「大事な事だな。気持ちばっかり先走って、欲に任せて妊娠してビックリじゃあ先が思いやられる」

「そう!それよ!」「全くよ!ぐやじー!」マギカ先生主観100%だよ。

「男と女がやっちまったらどうなるか、って事をしっかり教えてやんなきゃなんないって事だろ?奥様」

「オイーダさんの言う通り!」

「性教育ですね?学校で年長さんにはしっかり教えなければ、はやる気持ちやその…劣情のまま行為してしまう子がこれからも増えるかも知れませんね。妊娠を避ける方法なんかも」

 白熱した論議が始まった。


 しかし、ふと男子陣を見るとほぼ発言していない。女性陣の熱に恐れをなしたのかも知れないが

「ダン」と声を掛けると「うひゃっ!」と驚く。

「男から見て、何をどう教えて欲しい?アグリも、子供が欲しいって訳じゃなかったんだろ?」

 女性陣の目がギラッと光って男子に向いた!怖いって。

「え?俺?ええっと…俺はただエッチな事とかじゃなくって、ずっとヤ…あ、相手を守って、一緒に暮らせればいいかなって思うし、それが一番大事だと思うんだ」

「「「はぁ~」」」女性陣が何かウットリしてる

「弟君は気品ある騎士様の様ですわね?奥様」

「そうよ!自慢の弟ですもの!」

 ダンは真面目一直線な奴だ。然してアグリは?


「アグリは悪くなくてプリン達の世話を押し付けた御屋形様の所為よ!」

「「「そうよね」」」私?

「年頃の男の子をプリンさん達に押し付けたらどうなるか位わかるでしょ?御屋形様自身だってお手付きしちゃったんだし!」

「私が頼んだのはミルクを氷室に移したり台所に持ってったりって力仕事を交代でやって欲しいって事なんだけど?」

「この娘達の近くに来ちゃったらそれだけで済む訳ないじゃない!」

 おっしゃる通りで。

「あらんごめんなさいねぇ?」ホントおっしゃる通りです。

「え…確かに、やっぱり皆綺麗でもうガマンできなかったんだけど、そんなすぐ子供が出来るとは思えなかったんです」

「根本的にそこから教える必要があるなあ」

「もし皆に赤ちゃんできてたらどうすんのよ!アグリのお嫁さんは6人になってたかも知れないわよ?!御屋形様より凄い事になっちゃうじゃない!」私を引き合いに出すなって。何かアグリも凄い驚いてる。何でだ?

「おっとここは吊し上げの場じゃあない。男子に、女子に、夫々好きな相手が出来た時、何を考え、何をすべきか、何をしてはいけないかを教える事。具体的に何を教えるか、それを考えよう」あ、納得して貰えた。


 それからウェーステに貴族の性教育の概要を教えてもらったが、驚いた。殆ど女性が無抵抗に男に従い体を捧げ、妊娠の苦しみに耐えつつ行事をこなし出産するという、男女平等の欠片も無いものだった。

「貴族って、大変なのねえ」それだけかい皆さん?「だって貴族様だもん」

「いやいや、この城では貴族とか関係なく、男も女もお互いに愛し合って気を遣い合い、子供の事を一番大切に考えて、無事出産する事。無事育てていく事。それが大事だろ?」

「御屋形様の言う通りになれば、この世の女は皆天国に生きているのと同じですわ。私もそんな御屋形様のものとなれ、幸せこの上ありませんわぁ」熱い視線を送らないでウェーステ!君は私の物じゃないから!結婚してないから!

「こぉんなのが御屋形様じゃぁあ~、男がみぃ~んな助平になっても、仕方ないわねぇ~」夏だけど冷気が強すぎるよステラー!

「姉ちゃん落ち着け!」「私も御屋形様に助平されたいー!」「大人ってダメねえ」「あたしごはんつくりに行くー」駄目だコリャ。


******


 城内初の会議は愉快な結果となって解散、翌日までに教える必要があると思われる科目を持ち寄る事となった。

 みんな真剣に考た。相手への思いやり、一生を一緒に過ごす事の意味、子供が出来る仕組み、欲望や暴力の恐ろしさ等を教える事とした。

 テストケースとして、既に妊娠した女性陣、させた男性陣に教育したところ、彼らは驚くほど無知だった。幸いだったのは、「これから一生相手を大切にすべき」という点に、決意を固めてくれた事だった。

 出ませんね王国軍団。もうちょっとだけ後なんじゃ。


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「何気にス○イライダーのサブタイも狂ってたなあ」

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