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32.夜と昼に宴会は踊る

前回のあらすじ:スゲェ特撮に思わず本編を飛ばして(比喩的表現)何回も酒飲みながらビデオ見まくりました大学の頃。それはさておき。

 とってもゆる~くてぬる~い戦いでしたが、ここで戦っても相互に利益ないですからね。最初は大論戦とか考えたんですが、書き直してああなりました。

「え~?」「違かろ~?」等のご意見もございましたら、後学のため何卒ご指摘願います。


 そしてぬるいまま続きます。


10/4 25話「護児城はこうして出来た」(嘘)にアンビーのドレス絵を載せましたが出来がイマイチで反省。

 ウェーステの無事を勝ち取った夜。

 今度は、この城の多くの特産品を披露し、この城と是非取引したい!と思わせる戦いの始まりだ。


 夕食は再度大広間に集合して肉類を中心にフルコース。今度は警備要員を除く騎士団全員参加だ。

 陽が傾いた赤い空に、本丸庭園の先に見える天守がライトアップで輝く。御殿に向き合う能舞台ではムジカ楽団が弦楽器を主体とした音楽を演奏する。


 鳥の魔物を煮詰めて灰汁を取った香り高いスープから食事は始まる。様々な野菜も城の実りで、果実の様な彩と爽やかさに、オリーブオイルをベースに香辛料を効かせたドレッシングが風味を添えた。

 惣構産の小麦を挽き、ミナトナのバターで仕上げたパンは歓声が沸く程だった。

 貴重と言われる魔物の肉を香辛料とワインを効かせて焼いた肉料理も喜んでいただけた様だ。

 料理を載せる多彩な皿もまたアンビーの指導で子供達が絵付けし、焼き、金を塗った工芸品だ。100人以上の饗宴に対応できる様カトラリーは揃えていたのだ。

 そして、大人気の発泡ワイン。

 赤ワインはイケメン様曰く

「流石に若いが華々しい香りは楽しい。10年、20年経ったらどうなるか楽しみだ」

と注釈がついた。この人食通でもあるのか、流石だ。

 しかし発泡ワインは余程物珍しいのか、

「これは飲む宝石だ!この技術を持ち帰る事が許されるのなら、是非持ち帰り辺境伯領の特産品にし、領地の立て直しに役立てたい程だ!」

 と手放しでお褒め頂いた。技術の提供は兎に角。


 興が乗って、騎士一同様に挨拶に行ったら流石に緊張させてしまった。

 それでも「温泉はどうでした?」「今日は酔ってゆっくり寝て下さい」「寝首を掻くならそもそも出城で助けてませんから」みたいな笑えないジョークを交えつつ歓談していく。


 彼らも

「魔導士様がリベラ様みたいな善良な領主で良かった」

「俺もこの城に住みたいよ」

「何言ってんだ!俺たちの領をここよりもっと良くするんだろ!」

「自分が子供の頃あんなきっちり行進できただろうか」

「ここに留学させるかな」

 などと口々に笑いあっていた。


 そして、眼鏡っ娘の女魔導士。

「深い傷を負っていましたが、もう大丈夫な様ですね?」

 とジェントルな振りして下心満載でワインを勧める。彼女は顔を真っ赤にしながら

「あっ、あな……いの…わた…さま…です」とよう解らん事をつぶやいた。

 そこにヒュっとステラが瞬間移動みたく反対側に現れ、ワインを注ぐ。

 おわっと驚くと「どうぞお寛ぎ下さい。楽しんでいって下さいね?」ともてなす。

 そして何故か自分だけ感じる氷の刃の様なステラの視線。


 途中余興に子供達の合唱を行ったり、騎士物語の芝居を行ったりする。騎士達は子供達の芸達者振りに拍手喝采を送った。

 芝居が年々進化し、今年はついに火を吹くドラゴンの作り物まで登場し騎士達を驚かせた。…これなら水爆大怪獣芝居とか出来ないかな?


 宴も酣ではございますが、お開きとして皆様を寝床に案内しようとした時、レンドリーがトンでもない事を言い出した。

「不躾な頼み事で申し訳ないが…一晩、この城に住む子供達の世話をさせてくれないか?」

「騎士爵様!!」護衛の騎士が叫ぶ。

「聞けばこの城の子供達は辺境伯領から捨てられたものがほとんどだそうだ。私達辺境伯の政治に関わって来た者にも責任の一端はある。せめてこの一夜、親の愛を受けられなかった子供達の寝姿を見届けたいのだ。

 私も人の親の端くれ、夜泣きをあやす事は出来る。迷惑だろうか?タイム殿」

 イケメン様子持ちだったか!


「ご厚意感謝します。しかし、お疲れの身、癒す事を優先された方が宜しいかと存じます」

「せめてもの償いの真似事だ。我が子にも散々夜中に何度も叩き起こされたものだ」

「お子様と一緒に起居なされていたのですか?!」

 大抵は別室で寝かせるものだろう、余程子供への愛情が強いのか。

「では、お願いします。せめて今夜、親のない子の親代わりとなって下さい」

「わっ私も!」と女魔導士が手を挙げると、女性騎士達も私も私もと志願し出した。

 平民の子、捨て子の世話だというのに、嫌がるそぶりがない。これもレンドリー氏の指導の賜物だろうか?それともイケメンパワーだろうか?


 先ずは大目標に白星を得た初日の会談は無事終わった。

 いつも一緒に食事している子供達は姉さん組とミナトナ組にお願いして、もうじき寝る前のお話の時間になる。


 本丸の宴会もお開きとなり、騎士一同様はある者は温泉に、ある者は御殿の縁側でワインを楽しんでいる。

 ムジカを捕まえて音楽談義に花を咲かせる女騎士もいる…しかし二次会参加者は浴衣に着替えているせいかインバウンドで日本に来た外人観光客にしか見えない。ムジカと女騎士が声を合わせて歌ってたりする。もはや初対面と思えない寛ぎっぷりだ。


 レンドリー氏はというと、これまた浴衣姿で、二之丸の奥座敷で、畳の上で子供達を相手に、さっき教えた紙芝居を実演している。フランクだなあ。

 子供達お待ちかねの時間、人気の騎士物語の始まりだ。実戦経験がある分、迫力あるなあ。夜なんでちょっとトーンを落としてもらっているけど。

 しかし演技は素晴らしい。魔王を討ち取る力の込め方、姫に傅く上品さ、みんな私の時より反応がいいぞ。世話を申し出た女魔導士や女騎士達は子供達を膝にのせ、一緒に喜んでいた。

 珍しい、そして美しい来客に小さい子供も何となく嬉しそうだ。


 灯りを落とし、今さっきまで興奮していた子達がパタパタと眠る。レンドリーは、多分家に残してきた我が子の事を目の前の子供達と重ねているのか、まさに慈父の様に見遣っている。


「何故、私はこんな事までしているのだろうな」と小声でレンドリーはつぶやく。

「しなければいけない、そう考えたからではないか?」と私も小声で返す。

「もしかしたらこれは夢で、箍が外れてしまったのかもな」と小さく笑い返された。

「そうだとしたら、乱暴狼藉を働く方向に行かなくて助かったかも知れない」とやり返した。


「しなければいけない、か。そっちの方かも知れないな。

 魔の森に捨てられ、死ぬしかなかった子供の話はずっと聞いていた。国を守るために騎士になった筈なのに何もできなかった。だからこそリベラ様に仕えてメダガニーを討った。

 これからは良くなると思っていたが、それでもな」

 寝息を立てる幼児達、それに沿って寝る年長の子達。

「この子達は、貴方がいなかったら、魔物に食い殺されていたんだっ…」

 彼の顔に後悔の表情が滲んでいた。

 私は、彼を信じてよかった、そう確信した。彼は友となれる人だ。他人の痛みがわかる人だ。

 彼の背に手を置いて小声で話した。

「落ち着こう。大きな声を出すと皆起きちゃうぞ」

 暫く、彼の肩は小さく震えた。その後、小さな声で語った。

「タイム殿。この城の事をもっと教えて欲しい。どれだけの子供が、どこから捨てられてきたのか。この城ではどうやって子供達を食べさせ、教育し、闘いを教え、武器を作ったのか。私たち辺境領は、これから何をしなければいけないのか。

 どうか、私たちに知恵を授けてくれ」


 違う。それはレンドリーが、リベラ卿が自分達で考えるべき事だ。そう思い答えた。

「ここの土地が含んでいる魔力と、城や町を築いた私の力は特殊なものだ。だから教える事など出来ようはずがない。

 教えられる事は、どこでも誰でも出来る、ありきたりの事だけだよ。貴方だって愛する子供にしている事を、なるべく多くの子供にしてあげる。それだけだと思う」

「その当たり前の事が!」と力がこもってしまったのか声が大きくなった。

「ふぁっ…」起きてしまった子がいた。すぐさま飛んで行って頭を撫でる。しばらくすると、寝入ってくれた。

 レンドリーも子供に向かってくれたのだが、流石に畳の上では素早く動けなかったのだろう。でもその心遣いはとても嬉しい。

「ま、これからゆっくりやっていこう。そっちだって孤児院や庶民向けの学校の準備をしているんだろう?それに森に捨てられる子供だって減っている。貴方達のお蔭で、な?」

「孤児院の計画もご存じか。そうだな。出来る事をしっかりやっていこう。でもな…ここまで優しく温かい場所を、子供達のために作ってやれるんだろうか?」

「やるんだよ。やったら、出来るんだ。そんなもんだ」

「そうか」

 暫く言葉が絶えた。暫く…と思ったら鳴き声が聞こえた。

 体が反射的に動くもんだ。母の名を呼んで無く子を抱いていた。小声で子守歌を聞かせ、いつもの通り廊下に出て、お休みの旅に出発する。

「いいこちゃんねんねやどこいこか、座敷のお次は廊下じゃよ、廊下のお次は納戸じゃよ、どんぶらどんぶら…」といつもの即興子守歌で廊下へ出る。

 そのまた後に、泣き出す子が。レンドリー氏がその子を抱きかかえ、私の後についてくる。

 そのまた後の子をステラが、更にそのまた後にウェーステが。

「どんぶらどんぶら夢の旅」と小声で歌って座敷の廊下を一周する。

 泣いていた子はいつの間にか夢の旅に戻っていった。

 夜があけるまで、これを何回か繰り返した。


 明け方に、目の下に隈を作ったレンドリー氏が「ここの子供は3歳以上ではないか?」と聞く。

「親に捨てられ、森の中で恐怖に晒された子だ。心の傷は深いよ。10歳を過ぎても、赤ちゃん帰りみたいな事があるんだ」

「…重ねて、タイムには頭が下がる。俺は、この一晩も辛かった」

「寝られなかった、って事だけじゃないよな」

「ああ。子供達は、必死に、親の愛を求めていたんだ。辛いよ」

「いや、その辛さを分かってくれた奴がこの森の外にいてくれる事こそ、私は嬉しいよ」

 レンドリー氏は硬く決心した表情で答えた。

「その言葉、必ずや主君に伝えよう」

 次回、最終回!ってもう最終回史上インパクト最大のサブタイやっちまったし。

 特に何があるでもなく、のんびりと終わります。おお!タイトル詐欺疑惑返上!

 第二部がのんびりだとは言っていない。


 もし楽しんで頂けたら、第二部に向けて下の星を増やして頂けるか、ブックマークして頂けると大変嬉しく思います。

 また、感想を頂けると励みになりますので、

「ここの展開が納豆喰えねえ」

「このネタっぽいのがわからん」

「サブタイ以外アニメ特撮ネタ無くね?」

等々、お気軽に書き込んで頂けます様、お願い申し上げます。

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