31.激ファイト!御屋形VSイケメン騎士
前回のあらすじ:この頃は古○進が変身したらデ○ラー総統になったとかはしゃいでたものです。
10/10:本話末尾にマギカのキャラ設定を追記しました
ステラ、アンビー達に続き、ウェーステは騎士一行に向かい
「縁あってこの地に流れ着いたエルフの末裔、ウェーステと申します」
と挨拶した。
レンドリー氏は苦悩に歪んだ顔で
「タイム殿…そちらのエルフの少女お名前は、我が騎士団が捜索していた、悪辣な領主、メダガニーの娘と同じです。この地にたどり着いた経緯をお伺いしたい」
ウェーステは、何の感情も無く、訥々と語った。
「私の母は、奴隷でした」
一同、意外な告白に驚きを隠せなかった。
「私の母が誰に買われたかは知りませんが、私は生まれた時から母から離され、家に閉じ込められ、家の外へ出ぬ様命じられ育ちました」
レンドリー氏以下は、黙々と聞いた。
「そして、家を失い、この森に追われ、魔物の餌食となりかけた時、御屋形様に会いました。私は御屋形様との出会いに、命と心を救われたのです」
嘘は言っていない。
レンドリー氏は深くため息を吐き、
「私は使命を帯びている故、貴方にとって辛い事を尋ねることになる。魔導士殿、ウェーステ、理解して欲しい」
これが最初の裁判、という事だ。勿論、一歩も譲るつもりは無い。
「貴方の父親は?」
「存じ上げておりません。一度もお目に掛った事もございません」
「貴方の母はどの様にして死んだかを教えて欲しい」
「存じ上げておりません。話によれば私を産んで数日後に死んだとだけ伝えられました」
レンドリー氏は頷いた。メダガニーの所業を知っていたら納得いくものだった様だ。
「何か形見の様な物は持たされなかったか?」
「何もございません」
「我々はメダガニーの秘匿した、我が領の秘宝も探索している」
「秘宝というのはこちらか?」私が発言した。
給仕の少女達が、破壊された馬車から回収した紋章の破片と、ウェーステから預かった宝石のブローチを台に載せ運んできた。
「この紋章の破片とブローチは、先ほど魔導士様が魔物に襲われていた周辺にあった馬車から回収したものです。馬車に乗っていたと思われる持ち主は、我々が発見した時には数名の従者もろとも魔物に襲われた後でした」
「その者達の亡骸は?」
「発見できませんでした。破損した残骸を特定出来ただけでした」
亡骸は発見してないし残骸も回収した。嘘は言っていない。
「・・・何とでも言えよう」
「それより、この宝石が本来の持ち主である辺境伯、いや領民の元へ帰して頂けるのであれば、是非お持ち帰り願いたい。そのために保管する事にした」
と、レンドリー氏はウェーステの方を見て
「これは・・・逃亡したエルフの娘にしてみれば母の形見ではないのか?命惜しさに母の形見を差し出してでも生きながらえるつもりか?」
尋ねる様に問いかけた。
ウェーステは何も感じぬ表情で語りだした。
「私に母の記憶などありません。その石の塊とて他人の持ち物。私にあるのは、この地で、悲しい運命から辛うじて生き残った子供達と一緒に、地を耕し、作物を育て、一緒に食べ、一緒に笑って、夜に泣き出す子を抱きしめ、一日一日を大切に生きる、それだけです。
その石がどんな価値を持っているのか存じませんが、もっと美しく素晴らしいものがここにあります。ここには、大切な子供達がたくさん生きているのです」
安心した。
彼女の瞳には、迷いが感じられなかった。本当にここに来て、子供達との暮らし、繰り返される夜泣きやおしめ替えすら進んでやってくれてきた、彼女の本心が痛い位に伝わって来た。
私だけじゃない。彼女の言葉に、彼女と一緒に小さい子の世話をしてきたステラもアンビーもプリンも、静かに興奮していた。オイーダは涙に震えていた。
レンドリーは何も言わない。考えている。彼は知っている筈だ。拉致同然で側室にされたエルフ、即ちウェーステの母が正室に妬まれ不遇のうちに死に追いやられた事、エルフの呪いを恐れてその娘が幽閉されていた事も。全て愚かな領主の欲から生まれ、母は殺され娘は自由を奪われていた事を。
彼の使命は、必ずしも落胤の処刑ではない筈だ。彼の使命は、新辺境伯の治安を乱す物の排除であり、ここにいるウェーステに害は無いし、また彼女が復讐心等も持っていない事をできた筈だ。
むしろ彼女を匿うこの城の存在を知り、どう接すべきかこそ重大な要件な筈だ。この城と敵対する事は危険だと理解してもらえれば、早々に引き上げるだろう。
彼に同行して来た騎士達も、何も言わずに彼を横目で見る。
彼は大きくため息をつき、
「折角頂いた酒に口も付けず話を始めてしまい、大変失礼した」と杯を掲げた。
隣の騎士が「先ずは私が御毒見を!」と警戒を露わにするが、流石イケメン、「無粋だぞ」と笑顔で返した。そこには、何か険が取れた、穏やかな表情があった。
こちらも笑顔で返し「遥々お越し頂いた客人に、乾杯!」と応じ、乾杯した。
その瞬間、対面する両者に一瞬の安堵が広がった。ウェーステ達もワインを煽り、安堵のため息を漏らした。
「これは・・これも今まで飲んだことが無いワインだ」
今日はこの聡明な騎士の驚いた顔を何回見ればよいのか。
「こんな魔の森の真ん中に、こんな城や宮殿、素晴らしい酒に、幼い子供達による統率の取れた軍に優れた楽団があるとは。
タイム殿、貴方は一体何者なのだ?王家の密使か、他国の魔導士か・・」
「魔導士という物に近いとは思いますが、どこの国の者でもありません。ある時から死ぬことが出来ず、何千年かひたすら諸国を彷徨い、出会った人々を助け、助けられ、今まで生きています」
「死なない・・アンデッドなのか、高位の魔導士なのか?」
「さあ。見ての通り骸骨ではありませんし、美味い酒を求め、助けを求める人に答え、時に美しい妻と巡り合い、意外と楽しく過ごさせて頂いています」
うん、イケメンが驚いたのか悩んでいるのか、実に複雑な顔をしている。
御一行も発泡ワインを口にし、更に驚いた顔を並べ、一時の後、美味に顔を緩める。一部の抑えの騎士は杯を固辞している。統率が取れているなあ。
給仕係の少女達が空いたグラスに次のワインを注ぐ。ミナトナ達がつまみのチーズを配る。
イケメン騎士様のご理解のお蔭で緊張の解けた大広間に、歓談の空気が広がる。あ、ミナトナの豊満な胸に押された騎士の何人かが紅潮してやがる。周囲から笑い声も起こる。
ミナトナ達、ナイスだ。だが色目を使う必要はないぞ?因みにそのチーズはその豊満から生み出されたものなのだが、黙っていよう。
「では、この城は?貴殿が築いたのか?」
「その通りです。私には建物の姿を憶え、他の地に映し出す力があります。この城はかつて東の果てで見た、石を積み上げた台の上に、木と土と紙で築いたものです。湿り気の多いこの森ではとても過ごしやすいものです」
「色々信じられない物ばかりだ。だが先ずは領土の財宝を返却していただいた事に感謝する。そして・・・」と険の取れた視線をウェーステに向ける。
「貴方には見当違いの嫌疑を向けてしまった事を、深く詫びる」
と座を立って頭を下げた。
「団長!」と周囲は驚くが、それを制して曰く、
「我らの使命はあくまで辺境領に仇を成し、財を貪った者、財を奪って逃げた者を捕縛する事だ。未だかつてこの魔の森、イニロトナス山を超えて、領外から来た軍が我が領を害した事など一度も無い。それを企んだ者があったとしても、全て魔物の餌食となってた事だろう。
この魔導士タイム殿は、普通であれば魔物の餌食となったであろう捨て子達を慈しみ育て上げた、類稀なる慈父の如きお方! しかも素晴らしき城を築き、魔物を追い払い、豊かな暮らしを送っている。
ここには我らが目指す暮らしの、理想の姿がある、そうは思わないか?」
騎士一同は何も言わないが、拒絶の表情は無い。女魔導士は感涙して頷いている。
立ち上がってレンドリー氏は続ける。
「懸念であった悪逆なるメダガニーの落胤はこの地に消え失せ、奪われた財宝も取り戻した。我らの使命は果たされた。
願わくば、思いもかけない隣人との出会いに感謝し、厚い友誼を結びたく思う。魔導士タイム殿、この願いを受けて頂けるかな?」
私も立ち上がり
「前辺境伯の非道は聞き及んでいる。そして、それを国王の許しを受け討ち果たしたリベラ様の武勇も、公正明大なる施政と、そのため復興しつつある領土の歓喜も。
英雄たるリベラ様の使者レンドリー騎士団長との友誼は望外の喜び。仔細の取り決めは後の事とし、今は共に乾杯しようではないか!」
「仔細の取り決め」と但し書きを付けた事にレンドリーは一瞬苦笑するも、「乾杯!」と応じる。
安堵したウェーステも「乾杯!」と続く。
外交戦はひとまず終わった。
そこから先はイケメン殿御一行の質問攻めだった。そりゃそうだね。
「あの、高く聳える塔は木で出来ているのか?!」
「この金の絵は紙に描かれているのか?こんな大きな羊皮紙が・・」
「このワインは」
「ご婦人方の美しいドレス・・ドレスなのか?」
「ご婦人の、あの可愛らしい方は、ドワーフなのでしょうか?」
「あの豊満な亜人達は!!!」
「あの…つの…りゅ…どうやっ…」
一問一答の度に歓声や笑いが沸き起こり、騎士団一行との最初の会談は友好的な空気に包まれた。
結局騎士団は本丸御殿に一泊し、ガードナー辺境伯との友誼の取り決め・・友好条約については明日草案を纏める事となった。
まさかこんな城や集団が存在すると思ってもいなかった辺境伯としては、正式な条約を結ぶか、その条件は、なんてことは先ず騎士団の報告を受けてから考えるだろう。
こちらとしては基本的な主張を伝え、検討して頂く事とするよりない。
表向きの会談を終了させ、一同は大広間を退去した。この後は略装にて歓迎の宴を行う事とした。
騎士達は最低限の警戒をしたいとの事で、その他には略礼装として衣装を提供した。防衛組と区別するため結婚式用に用意した貸出衣装の、Lサイズをなんとか50着確保した。女性用ドレスは在庫には困らなかった。
希望者は温泉へ案内し、出城とはまた違った、露天風呂、しかも天守を仰ぎ見る絶景露天風呂を満喫頂いて、パーティーへの用意を整えて頂いた。
さあ、宴会だ!(政○一成)
激ファイトってエメリウム光線からのウルトラダブルアローそしてムーンサルトで回避とかしてなくてすみません、サブタイ詐欺です。
もう第一部も二話を残すのみです。今まで読んで頂いた方々、ありがとうございます。
目下下記進めている第二部は魔の森から外部の国へ、更に色々面倒な世界に突入する予定です。予定は未定、ゼ○ダマン。
もし第二部をご期待頂いているのでしたら、下の星を増やして頂けるか、ブックマークして頂けると大変嬉しく思います。
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