28.護児城の魔の森平和宣言
前回のあらすじ:次回刑事犬○ール3!
あの時私は社会が信じられなくなった。どん位かっていうと
キ○イダー01と○ューティーハニーのダブル最終回くらい。
9/30 22話にオイーダのキャラデザを追加しました。相変わらず雑な絵ですみません。
護児城に保護され、天守から眼下遥か遠くで魔物を撃退している門櫓を眺めつつ、エルフの血をひいたウェーステは、戦っている子供達に心を痛めながら話した。
「魔物たちは、やはり私を求めて来ているのでしょうか?」
「ああ、そうじゃなあ。あんた結構な魔力持ちじゃけ」
「では…私がいなければ…」
「それは違う!」悲観的なウェーステに、厳しい顔でステラが否定する。
「私達はみんな捨てられて、故郷を追われてここに来て、御屋形様に助けてもらった。でもそれだけじゃダメ。私達が頑張って、生きていける様に成んなきゃダメなの!そのためにみんな戦ってるの。あなたも戦う気概を見せなきゃ!
泣いてる余裕なんてないわ!」
ステラの真摯な眼差しに、ウェーステは怯み、しばらくして頷いた。
「ま、そう硬くなりなんねぇ。お、あたしは魔導士タイムの妻、イニトロナス山北方の大工房の一人、アンビーじゃ」
「大工房…ドワーフか?」「いかにも」
「た、タイム殿はドワーフを娶るのか?」どうも外ではドワーフにはそういう偏見があるのかな?ここはビシっと否定してやろう。
「その通りです。彼女は類稀なる頭脳と腕と、とても深い愛と優しさを持つ、我が愛しき可愛い妻です」
「て、照れるのう~!」なんか和むな。
「ドワーフを…」
「お止めなさいクッコ、この城は魔導士様や奥方様達、それに10歳位の子供達が一つになって、あんな魔物達と戦って生きているのです。
私達の下らない考えなどに拘っていたらたちまち魔物の餌食です」
「し、失礼を…くっ、殺」「いいから」なんか和むな。
「それより見て下さいお嬢様方。そろそろ、終わりが見えてきました」
三人に望遠鏡を渡すと、夫々恐れながら手に取って、覗き込んだ。
そこには。
多勢を誇った魔物も、各地で屍の山を築いていく姿があった。
森の中の魔物の気配も消えていく。或いは、森の外、惣構外周の気配を感じた魔物が引き返していく。
それでも突撃してくる角狼が白虎門の壁をよじ登って来た。が、隣接する横矢に建つ櫓の攻撃を受け、ハリネズミの様に矢を受け惣堀に転げ落ちた。
更に惣堀を乗り越えようとした角狼も、子供達にすっかりなついた子フェンリル達によって首を食いちぎられ、惣堀へ放り投げられた。
白牙が壁を飛び越え前線に現れるや、体をドリル状に回転させ突撃し、角熊すら次々と首や胴が跳ね飛ばされていった。まさにナントカ○刀牙。
取り残されたゴブリンやオーク達が、クロスボウの攻撃に数を減らしながらも、白虎門の橋に走り込んで来る。
「信号!ビャッコ、イチノモンヒラケ、マスガタセンメツ」
門から発光信号が返る。
門に侵入した魔物は、勢いで正面の石垣に激突し、更に後続の魔物に押し込まれ潰されていった。
そして少年達が櫓門から、付櫓からクロスボウで狙い、一斉に射掛けた。桝形内の魔物は瞬く間に肉片と化していった。
そして一の門は閉ざされ、門内に動く物は無かった。白牙と子フェンリル達が門を飛び越え城内に戻って来る。
護児城惣構の南と西は魔物の屍が築かれていた。仲間の死臭に恐れをなした魔物が、森へ引き返していく。戦いの趨勢は決したかに見えた。
「あの数の魔物を…こんな短時間で…」色を失うクッコさん。
「私達は、とんでもない所に保護されたのかも知れません」
安堵より驚愕に支配された客人が、1km以上離れた戦場を茫然と眺めていた。
と、地面が少し揺れた。
北西の森が左右に割れ、遠方より見たところ全長20m程の、角を生やしたティラノサウルスみたいな大型魔物が現れた。
「ドラゴン?!」
「っていうよりケラトサウルスだねえ。乾へ信号、直ちに馬西へ」馬西は二之丸南西を守る馬出曲輪の西門の略だ。各櫓から「マダヤレル」と返信があった。
赤い火矢を取り、北西に放った。赤い花火が大きく炸裂した。早く命令に従え、という督促の印だ。
暫くして、惣構えの櫓から子供達が馬車に乗り南に走るのが見えた。
「ウイスキー蔵は守んなされよ!」
「大丈夫だ、」
二之丸の北西守備に「超弩弓用意!」と伝声管で命じると
「準備よし!」とすぐ返答があった。
「敵は地上8mを飛ぶ!惣構の堀を超える時を狙え!」と指示。
角竜が迫り、惣構を飛び越えようと跳ねたその時!
城の北西を見ると、角竜の頭半分上が宙に舞った。
直後、一同は轟音を聞き、更にその直後振動を感じた。
先ほどまでの轟音も振動も聞こえない。土埃も収まっている。
各櫓から「テキエイナシ」の発光信号。
私の空間察知にも、魔物は城周囲の5km圏に認められない。それ以外に、敵意を喪失し、怯えて穴や巣に逃げ込む姿が見えた。
「やったか?」不安そうに聞くクッコ。
「それ言ったら駄目だから!こういう時はだな、We did itと」
「うぃ、ウィー、ディデッ?」
「We,did it!!」
女騎士の肩を叩き、満面の笑顔アンビーやステラと抱き合った!
「「「おおー!」」」周囲にいた少年少女が歓声を上げる。
歓声は二之丸、三之丸に広がり、天守から作戦終了の発光信号が上げた。思わず「万歳!」と叫んだら、皆もなんだかわかってないながら
「バザーイ!バザーイ!」と真似して両手を上げて喜んだ。
白牙と小フェンリル達も雄叫びを上げている。
その夜。
本丸守備の少年を最低限警戒当番にし、殆ど全員を二之丸御殿に集めた。警戒に出ようとしたダンも引き止めた。
警備隊始め年長組には度数が低い若いワイン、ほぼ果汁みたいなものを振る舞い、魔物の中で一番旨いケラトサウルスみたいな奴のステーキを夕食とした。
「みんな。今日みんなが撃退した敵は、角狼が200、ゴブリンが100,オークが40、角熊が30、そしてこの魔の森の中でも最も巨大で強力な角竜だ。
これは人間の軍隊にして10万、正に大国一国の戦果に匹敵する。それを、我々300人の子供だけで殲滅し、撃退した。
私が倒した魔物は一匹もいない。正に、君達の大勝利である!」
一同は歓声を漏らす。
「恐らく、今後南の王国が軍隊を繰り出し、この城の占領を図っても、負ける事が無い事を、君たち自身が証明した!勝利を祝して、乾杯する!ダン、音頭を取れ」
一瞬驚きながらも、キッと表情を硬くしたダンがグラスを掲げた。
「みんな。この城は、俺たち城の住人、自らの手で守らなければいけないんだ!」
あ、またシューマンのピアノコンツェルト(以下略)
「これからも、例え御屋形様に頼れなくなった時が来たとしても、守り通すんだ。御屋形様、俺たちに、城と武器と技術を与えてくれてありがとう。もっと頑張るよ!乾杯!!」と叫んだ。
「「「乾杯!!!」」」と、男子も、女子も、大人しく天守に避難し鳴き声を上げる事もなかった小さい子達も、声を上げた。
「俺たち、王国の軍並なのかよ?」
「俺たちを捨てた親父共がやって来ても追い返せるぜ!」
「もう何も怖くない」
色めき立つ男子。最後のはフラグだからやめて。
「調子に乗るな、御屋形様が築いた城と武器のお蔭だ」とダンが諌める。
なんかあちこちで黄色い声が聞こえる。
「よお隊長モテモテだな!」
「誰かがヤキモチ焼くぜー!」笑いが巻き起こる。
「は~い焼き肉のおかわりだよー!」ヤミーが山盛りの肉を持ってきた。
「餅じゃなくて肉だった、ダメだこりゃ!」更に笑いが巻き起こる。
メイドのモエも肉や果汁を食事組の一員に溶け込んで給仕している。
「何と言う…こんな、子供達の場所があるのか」
「お嫌いですか?クッコさん」
「いやいや、悪くなんかない。とてもいい!私もドラゴンの肉を焼いてくるぞ!」ゴキゲンな笑顔で飛んで行ってしまった。和むなあ。
「わたくしは、こんな笑顔で溢れる集まりを知りません。神の国があるのなら、こんな所かも知れませんね」
ウェーステ嬢が、微笑半分、伏し目半分に語った。
「ウェーステ様、ここは神の国ではありませんが、これから貴方も一緒に住む場所ですよ」
「そうじゃそうじゃ、ステラの言う通りじゃ。ここに住むならわしらは仲間じゃ、なあ!」
我が妻二人がウェーステの肩に手を置いて笑いかけた。
「皆さま、有難う存じます」彼女も、命をかけて仕えて来た二人も、やっと笑顔になった。
「あらん!またキレイな子がやって来たわぁ!」「おお!あんた強そうっスね!」
「え?角?お…おっきい…」
「彼女達はミナトナ、亜人だよ。この城の小さい子達のお姉さんだ」
「お、大きい…くっコ」「あんたも結構大きいッスよ?」
姐さん組も配膳に来て、
「あの子達が貴族様だって?綺麗だねえ!」
「御屋形様、また新しい子狙ってるのかい?」
「流石御屋形様、貴族様まで…」
「今日会ったばっかりだよ!」女はこういう話が好きだなあ。
おっとまたステラの笑顔から冷気が。
「え~酒はどこかのう」逃げないでアンビー。
「姉ちゃん泣かしたら殺す」ク○サワ映画の三〇達也の結婚スピーチみたいな事ばっか言うなダンよ。
後に、年長組に対してウェーステの口から改めて身の上が語られた。皆涙を流して歓迎した。ウェーステ、クッコ、モエの三人は貴族としてではなく、それぞれ一人の少女として、城の仲間になった。
その際、ウェーステは持っていた包みを私に託した。
「これは母から私に残されたものだそうですが、この城の一員となった以上もう必要のないものです。御屋形様に委ねたく存じます」
中には、輝く魔石をあしらったブローチが入っていた。
「うわー、綺麗…」「中々の逸品じゃが…」覗き込んで溜息を漏らす妻達。
その形は、ガードナー家の紋章であった。
誰もが戦いは終わったと感じていた。長い戦いだった。
しかしその考えは間違っていた。この城の長い戦いは、その半分を終えた所だった。そう頭の中で仲○達也の声が響いた。
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