27.あっ!角狼も角熊も肉片になった
前回のあらすじ:何年か前、妻子とシャ○バン見ててマリオの「あ”ー!」で二人とも盛大に爆笑。
紀世彦ェ…
前のお話に、ウェーステの絵を追加しました。
護児城の南の出城、見附城の天守から北西を眺める。
「風が無いのに森が揺れているし、土埃も立っている。木の間にデカいオークの頭も見える。魔物の大群に間違いない!」
「ダン、よく学んだな。その通りだ」
「ザッと見た所、角狼が100、ゴブリンが30,オークも同じ位で、角熊が10かな?御屋形様、ここでやっつけるか?」
「概数は間違ってないな。戦力的にはここでもやれるが。何故あんな大群が来たかを考えたら、主戦場はここじゃないぞ。護児城だ」
ダンは暫く考えると…
「あのお姫様が魔物を呼んだのか?だったら…」
「好き好んで呼んだ訳じゃない。寄って来たんだ、エルフの高い魔力にな」
「わ…私の所為で?」
遅れて天守に来たウェーステ嬢の血の気が引く。
「御屋形様、もう決めたって事だろ?」
「ああ」
「また綺麗な女引っかけやがって。姉ちゃん泣かすなよ!」お決まりの文句をニヤっと笑って放つダン、イケメンか?
「何言ってんだテメー!」
「どうせそーいう事になるに決まってんだろ!」待て何いってだこいつ?
「兎に角みんな列車で城に戻ろうぜ!『総員撤収ー!』」
天守の伝声管に向かってダンが叫ぶ。出城駅に向かって子供達が駆けて行く。
「急ごう!」ダン、ステラや令嬢たちを集め、城の北東隅の駅へ向かう。
駅でダンが「三之丸駅への連絡は?」「出来てます!」おお手際がいい。
「総員点呼!」「1!」「2!」「3!」…撤収の練習も行き届いている。
「総員乗車!」一斉に客車に乗り込む。
「な、何だこれは」「騎士様もメイドさんもどうぞ!」ヤミーが押し込む。
「ステラはウェーステ嬢を!」「はい、こちらへ!」
魔物の群れはちんたらと出城に向かっている。
「よし出発、全員手すりに摑まれ!」
列車は、徐々に、しかいいつもより早く速度を上げ、城を出た。駅の城門を閉じ、列車は最高時速60kmで疾走した。
高速で走る魔物の無手は列車を追うが、線路沿いの魔物除けの魔道具に阻まれ、食らい付いて来る事はない。群れの大半は低速だ。
運転するダンが「森の魔物が全部城に来るんじゃないだろうなあ?!」と叫ぶ。
「全部じゃないさ!だが、もう二度と城に近づきたくなくなる様にしてやる。今のお前達なら大丈夫だ。絶対勝てる!」
「そうか。でもな。そうじゃないんだよ父ちゃん!」
こいつ、時々私の事を父親と呼ぶな。嬉しいもんだな。
直線の線路を爆走する列車にしつこく食い下がる角狼。惣構の南端、朱雀門まであと少しだがそれでも距離を縮めて来る。線路に飛び込もうとした魔物は魔物除けの魔道具が放つ結界に弾き飛ばされる。しかしこれだけ多いと魔道具にも限界がある。
その時、惣構南端の朱雀門の上から巨大な影が飛んできた。
かつてうち従え、仲間となったフェンリル、白牙だ!
列車を飛び越え天に舞った白牙は、なんと空中で回転し敵陣へ突撃!角狼共を次々真っ二つに切り裂き敵を一蹴した!器用だな。ナントカ○抜牙か、懐かしいなあ。
白牙の奮闘で敵の群れは列車から遥かに離れ、無事門へ着く。ここは桝形をくの字状に曲がるのでかなり速度が落ちる、が、入ればもう城内だ。
「俺はここで!最前線を指揮する!」とダンが飛び降り、私が運転を替わった。
城内での高速限界で、葉が赤く染まったリンゴ並木を横につっ走る。敵を蹴散らした白牙が後を追って来る。「助かったぞ!」と白牙に手を振ると、雄叫びが返って来た。
城内に入った列車は速度を落とし、ダン達配置に着く少年は列車を飛び降り櫓へ向かった。私達は城内にそのまま本丸下乗駅へ列車を走らせた。
*******
「マモノ 200シロヘムカウ センメツセヨ ワレラキカンス」
私がヒィヒィと城に向かっている頃、見附城から三之丸へ伝わった信号に、護児城の子供達は恐怖を感じていた。
その直後、アンビーが廻りの年長組に言った。
「今御屋形様も、防衛の頭のダンも出城でがんばっとんじゃ!ここで戦うためにの。そうせんといけん時が来たんで!」
年長の少年も少女も、顔が引き締まった。
「あたしらのすべきことは一つ。戦う事!御屋形様が返ってくるための応援、帰ってきてすぐ戦えるための準備、小さい子の避難。すぐに始めるで!」
「奥方様!」とクロスボウの訓練を受けた年中から年長の、年下の世話や炊事に付いていない女の子たちがクロスボウと連射用の棚を抱えて待機していた。
「あたしにだって、出来るのよ!」とマガジン、いや連射用に矢が入った棚をクロスボウにポンと装備した。
「男衆を手伝って、櫓に向かうわよ!怪我しな事!」クロスボウを手にした少女達は、緊張しながらも笑顔で答えた。
「戦わない子も、怪我の手当てや子供の世話と、立たないが長引いた時に備えて。訓練の時と同じ様に、落ち着いてね?」
年長組は頷くと、すぐに持ち場へ戻った。
「やっぱ奥方様はすごいね!」と傍の女の子がアンビーを労う。
「わしだってへろへろじゃあ」と、その場にへたり込む。
「じゃがなあ、ステラも御屋形様と頑張っとんじゃ!あたしもあん男の妻になったんじゃ!子供達を護るで!」
決意を新たにしたアンビーは伝声管を手に取り、落ち着いた、しかし大きな声で話した。
「門は、戦う子以外が御殿に帰りついたか、知らせねえ!そん次は、櫓に戦う子らがちゃんと着いたかを知らせぇ!御屋形様達が帰ったらすぐ戦う様に準備すんでえ!ええか?!」
「本丸北小天守よし!」「本丸埋門よし!」…「三之丸白虎門よし!」「三之丸乾櫓よし!」惣構からは発光信号で準備よしの答えが届いた。
「あの橋の向こうよ!」
「「「お姉ちゃんこわ~い!」」」
「ケイちゃんハルちゃん何してるの?グズグズしないで!」
二之丸御殿から本丸御殿へ、そして天守へと幼児組を抱きかかえ年少組を誘導する世話当番が極楽橋を渡って避難して来る。
かくて、私達が列車から本丸へ駆けつけた時には、城の女性陣の仕切りで戦闘態勢と避難準備が完了していたのだ。皆のがんばりに、心の中で頭を下げた。しかし戦いはこれからだ。
*******
天守に登ると、二之丸から逃げて来た子供達やミナトナ、姐さん組が下層階に集まっていた。ミナトナ達は笑顔で怖がる子を慰め、私にも笑顔を向けてくれた。
年長の少女でクロスボウの訓練を受けていた子達も、クロスボウを持ってこちらに決意を込めた笑顔を向ける。私は力強く頷き返した。
五層では望遠鏡を覗いていたアンビーが「嫌な予感が当たったのお」と苦笑いする。ここまで采配してくれた緊張を感じさせない様振る舞っていたが、服は汗でびっしょりだ。
「すまない、厄介を持ち込む事になったが、避けれない道だ」
「あたしもみんなも、あんたに従うで」
「有難う。でももう色々指示してくれたんだろ?」
「女衆にはな。男どもは勝手に動きよった」
頼もしいな、男子も女子も。もう陽は傾きはじめていた。
「アンビー、有難う!」ステラがアンビーに抱き着いた。
列車の中で着替えたのか、ドレスや鎧やメイド服に身を包んだウェーステ一行も天守に登った。三人とも城の結構に口を開けて驚いている。
伝声管に向かい、「信号!惣構午組、超弩弓用意!」と叫ぶ。伝声管から鉄道伝いに指示が飛び、暫くして2km以上離れた朱雀門脇の着見櫓から準備良しの発光信号が見えた。続いて三之丸大手着見櫓からも信号が光った。
三之丸大手着見櫓からダンの声が聞こえる。
「いいかみんな!この城は、俺たち自らの力で守らなければならないんだ!」
「「「おう!」」」
ダンが常に口にする信念と、それに応える声が聞こえる。脳裏にシューマンのピアノコンツェルトが聞こえて来る。
遥か遠方、森の中から魔物の攻撃と思われる光が惣構の城壁に飛んで来る。櫓に当たるが、魔の森素材の壁や瓦がビシっと跳ね返す。反撃はなく、訓練通り敵を引き付けている。
そして、森の端から角狼の大群が姿を現した!
天守から火矢を打ち上げ、上空で爆発させた。
遥か惣構南端で、音もなく攻撃が始まった。
クロスボウが一斉に発射された。
「惣構坤(南西)組、乾(北西)組、警戒」と命じ、東を見遣る。
東は水棲の魔物がはしゃいでいるが上陸するものは無い。対岸にも魔物はいない。
「坤より報告、敵発見!」発光信号を確認した年長の少年が伝える。
開拓地を抜けて角狼が白虎門に迫る。
再度火矢を放ち、攻撃が開始される。
攻撃開始後、連射式のクロスボウに圧倒された角狼は、無数の屍を置いて逃げて行った。遅れて森から出て来たゴブリンも殆どが流れ矢で倒れて行った。
「凄い…あれだけの魔物を…、我が騎士団でも数匹の角狼を倒すのに必死だというのに!」
「いや、敵の主力はこれからだ」
そう言うや、森の樹々が倒れていくのが見えた。森の端が開けた奥に、オーク、角熊といった大型魔物が現れた。
「ひっ!」ウェーステ達が怯える。が…
直後、その大物の上半身がゴロリと地に落ちた。と、「ブオッ!」という音が響く。
超弩弓が惣構えの櫓から発射されたのだ。
惣構と森の間で、魔物の胴がゴロゴロと斬り飛ばされる。
「こ、これは何という!王国の軍でも、こんな真似は出来ない…」
クッコの顔は真っ青だ。
「一体何が起きているのですか?」
ウェーステの問いに「あれは、巨大な弓を撃っているのです。撃っているのは皆、10歳くらいの男子です」と返す。
「そ、そんな!」
「みんな、訓練したんです。巨大な矢の装填や強力な弓を引くのは魔道具ですが、距離や角度を計算して撃つのは子供達の手と頭です」
天守に、南、南西、西の三方からの衝撃波が届く。
「大丈夫だ、勝っている。魔物が攻守所を変えて迫っているが、城が圧倒している」
この後「わからん、あの煙の下で何が起こっているか」なんて心配する必要はなさそうだ。
明日まで「休憩」です。最近「休憩」ある映画見てない。
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