25.コンフェティ・チェック、A-OK
前回のあらすじ:おくさまはの石立鉄男より、なんたっての田崎潤の方が子供心には軍配が上がっていました。あの神宮司大佐がなんか情けない事になってて。
9/27意外に早く出来たので、ステラのウエディングドレスをUPしました。気になるアンビーのドレスは後日で。
10/4アンビーのドレスを描いたのですが超イマイチ。下書き段階では可愛かったんですが。あと後ろで見てた娘から「絵が古臭い」と言われた。ギャフン。
冬が去り雪が融けると、麦が突然育って穂を垂れる。収穫と大豆の植え付けが慌ただしく過ぎる。青い麦畑、淡い紅のリンゴ並木、鮮やかに黄色い菜の花に囲まれ、城に三度目の春が来た。
ステラも15歳、この世界の大人になった。
「ぬふふ…どうです!」オーリーと花嫁二人が控室にキター!
白いドレスに、布で花をあしらった飾り、輝く糸で編まれたベール、そして頭にはミスリルが虹色に輝くティアラ。
「ほわああ…」「きれい…」着せ替え係の少女達が溜息を漏らす。
眩いばかりの女神となったステラの美しさ。輝く金髪に純白のドレスが映える。ウエストを絞り、腰の下から広がるマーメイドラインのデレスだ。
そして、背が低く「わしゃドレスなんぞ似合わん!」と抵抗していたアンビーはと言えば。
「かわいいー!」「妖精みたい!」「こんなデザインもあるんだあ…」
左右に束ねられた桃色の髪にミスリル製の花飾りが煌めき、胸元を深く切り込み、その両端が肩を覆い、胸の下から広く裾を広げたAラインドレスを纏い、本当に妖精のお姫様の様だ。
ステラのティアラの真ん中にはアンビーの髪の様な薄桃色の宝石が、アンビーの両脇の髪飾りにはステラの髪の様な金に輝く宝石が輝いている。
私は、白いスーツ。以上。「御屋形様こそ目の覚める色の」「だから白から始めるんだって」「タイツを」「マントを」却下。貴族みたいに上半身マシマシの冒険シン○バットがマジックベルト絞めたみたいなスタイルの服着てたまるか。何か部屋の隅でコマッツェが凄い熱気を発して紙に筆を走らせている。
最初御殿で結婚を宣誓し、宴会にしようと提案したが
「もっと!なんかしようよ!」
「あ!汽車に乗ってみんなで迎えるのは?!」
「じゃあ、王様みたいに馬車で行進して!」
「私、頑張って行進しながら演奏します!」
「あたしお菓子を紙に包んでみんなに配るよー!」
「あたしもくばるー!」
ヤミーの前世は名古屋人か?ミッシ、無理すんな。
「ミッシちゃんとヤミー班長で御屋形様達の前で小さいお菓子やお花を撒いたら?」
「「「かわいー!!ステキー!」」」
「ヤミーは、みんなのごちそうをしっかり頼むよ」
「「「ダイジョーブ!班長の代わりは私達が!!!」」」
出城にダンとヤミーが連れ立って出掛ける様になって、後輩で年上の料理班は凄く頑張っている様だ。頼もしい。
「次は班長の式だかんね!」「「「おう!」」」「次ってお相手はだ~れ~?」盛り上がってんな。ヤミーは兎に角。
で、結局。
*******
南之院に集まる子供達。祭壇上に座っている私。
ダンが…深緑で、縦に折り目がビシっと入っているズボンに、空色の上着をビシっと着込み、何か緊張しながら、堂々と宣言する。
「ただいまより、御屋形様、魔導士タイムと、護児城の育児筆頭ステラ、ドワーフの鍛冶師アンビーの結婚式を行います。花嫁、入城!」
音楽隊のコマッツェ…?え?何故か彼がトランペットパートを先導し、ファンファーレを奏で、赤いジャケットに白いスカートを着込んだムジカのオルガンがそれに続くと。
本堂の入り口が開かれ、二人の花嫁が入城して来る。この曲で一夫多妻…現代日本で育った者としては、過去他の世界で何度繰り返しても違和感を感じるが、割り切ろう。決意も新たに二人を迎える。
華々しく奏でられる行進曲の中、ダンの先導で歩いてくる二人は、頬を染めて、涙を浮かべて歩いてくる。
私が立ち、壇上に上がった二人の手を取る。演奏が終り、堂内が沈黙する。
ダンが私に向かって声を上げる。
「護児城の御屋形様、魔導士タイム様。貴方は、ここにいるみんなの前で、ステラとアンビーを妻とする事を誓いますか?」
「誓います!」
「妻、ステラ。貴方は、御屋形様、魔導士タイムを夫とする事を誓いますか?」
「ちかいます。」恥ずかしそうに、しかし俯かずに答えてくれた。
「妻、アンビー。貴方は、御屋形様、魔導士タイムを夫とする事を誓いますか?」
「誓うでっ…います!」噛みつつも元気に答えてくれた。堂内で小さく笑いが起きる。真っ赤になったアンビーが可愛く、愛しい。
ダンが親代わり、故郷で言えば神父変わりに誓いの言葉を問いかけ、三人が応える。
ダンは城の戸籍三枚を、美しく彩った台紙の上に差し出した。
ムジカが、創世教の歌をオルガンで奏で、三人は戸籍の紙に今日の日付と、配偶者欄に「妻、ステラ」「妻、アンビー」「夫、タイム」と記入し、ダンに渡す。
そして、結婚の誓いの銀の指輪を互いにはめ合い、口づけを交わす。
会席の年長女子から感動の声が漏れた。
演奏が終り、ダンは「私達は、貴方達が今夫婦となった事を認めました。お互いに夫婦の務めを果たす事を祈ります!」と宣言する。
私は二人の手を取って立ち上がる。すると、再度コマッツェがファンファーレを吹き、祝典を祝う行進曲が演奏され、三人は本堂中央を進み、子供達の拍手喝采を浴びる。
中門の外の馬車に乗って、リンゴ並木を城に向かって進んだ。
やっぱやりすぎだったか?…ってなんか言える雰囲気じゃなかった。ステラもアンビーも、何かとっても幸せそうに寄り添ってくれている。
城で絵本を読み聞かせる時、お城の豪華なパーティーにうっとりしていたステラは満足しただろうか。仕事一筋な筈のアンビーも、顔を赤くしてこっちを熱く見ている。
「どうだった?君達のための結婚式」
答えが無い。いや、二人の熱い視線が答えだ。
「はぁ~」御者のアグリが溜息をついた。すまんなあ。
馬車は1km半の道をとろとろ進んだ。何故か、大昔の故郷での初めての結婚式を思い出した。彼女いない歴=年齢だった自分が、かなり遅い結婚に漕ぎつけた時、親戚が、友人が心の底から祝ってくれ、妻が私に感謝してくれた日の事を。
それから数千年の間に何回結婚式しただろうか。しかしどの結婚も幸せだった。その後は色々とあったりしたが、必ず幸せそうな妻達の末期を看取ってから、その地、その世界と別れた。いっそ妻達と一緒に天国に行けたら、そんな思いも浮かんで来るが、それを振り切る。
今は、桜…の様に咲き誇った、この城のリンゴ並木に包まれ、私を慕ってくれるステラとアンビーを幸せにする事、そしてこの城の子供達に、結婚して子供を産み、育て、そして死んでいく幸せを教える事、そのために頑張ろう。
馬車が三之丸大手を通り、二之丸に着くと…花街道線で先に到着していた楽隊が待っていた。再度、祝典を祝う行進曲が鳴り響き、赤い上着と白いスカートの音楽隊と、ダンと同じ色の征服の防衛隊が行進して馬車を先導した。
馬車にミッシと、同じ年の男の子が天使みたいな白いドレスとスーツを着て、お菓子の包みを道の子供達に投げている。結局やったんだがね菓子撒き!
道の両脇で子供達が花びらを撒いて歓迎してくれる。撒き終わった子が馬車の後ろでお菓子の包みを取りに行った。みんなウハウハだ。
「うわぁ、ああーっ!」驚くステラ。
「ほほお!こりゃ本当お姫様になった様じゃあ!」と喜ぶアンビー。
「さあ、私達を祝ってくれるみんなに手を振ろう!」
もう、気分はすっかりご成婚だ。
「ねえアンビー、知ってる?ここ3年前は、魔物だらけの森だったんだよ?!」
「ああ。信じられんなあ。御屋形様は本当に信じられん人じゃあ!」
「でももうあたしたちのダンナだよ!すごいね!」
違う!凄いのは君達だ!心の中で、私は叫んだ。
私は故郷で得た知識や、謎の能力と、今まで繰り返した人生で試した経験がある。でもね、それで城や町を作っても、誰もいなけりゃ、今この笑顔は存在しなかった。君達は何もないところから、一生懸命努力して、今一杯の笑顔を作ったんだ。
あの小さい子達が夜泣きしたりお腹を壊した時、夜中に抱きかかえてあやりたり、おしめを替えてくれてお世話してくれたのはステラだ。
夜が怖いって泣く子に小さい廻り灯篭やオルゴールを作ってあやしてくれたのはアンビーだ。
私は、その優しく強い女を妻にしたんだ。
駄目だ、涙脆くなる。だが!泣くな!お前は男の子!だ。美しい男の意地を見せなければ。
行進は本丸白金門に到着して終わった。
宴会では、白いドレスを着替え、ステラはライム色の、アンビーはオレンジ色の、軽やかなドレスにお色直しした。これもオーリーがあれこれ考えて体格差を調整したデザインだ。そしてヤミー渾身の大ケーキ。とても楽しい宴会だった。
「ステラあ!ケーキおいしかった?」
「御屋形様ぁ?あたしもぉ白いドレス着てみたいのぉ」
「姉さん御屋形様と結婚っスか?アタシもそうすっかなあ!」
「アタシたちミナトナも、ここに居たら誰かと結婚しそうだねえ」
「アンビーちゃんドレスどうだった?」
「ステラちゃん、小さい子はアタシらに任せて、御屋形様の夜のお世話しといてくれよ!」
「たまにゃあ御屋形様をアタシらに預けてくれてもいいから!はっはっ!」
「結婚の曲すごくステキだった!もっとステキな曲教えて!」
「姉ちゃん泣かすなよ…」
「ステラー、きれー、おひめさまーみたい!アンビー、よーせいーみたい!だいすき!」
コマッツェは黙々と花嫁二人を見つめて紙と筆で戦っていた。
「誰か俺の身にもなってくれ…」一人浮かない顔のアグリ。
「ありがとう、みんな!あたし御屋形様に精一杯尽くすからね!」
ステラはもう泣き出していた。
「わしもまけんでー!御屋形様と一緒にこの城を天国にしてやるけえの!」
元気と笑顔いっぱいなアンビーも少し瞳が濡れていた。
駄目だ、やっぱり泣きそうだ。二人を抱きしめ、キスをした。
「「「きゃー!!!」」」女子を中心に囃された。
だがな。この次にみんなに祝福されるのは、君達なんだ。
君達が綺麗に着飾り、みんなに祝われ、そして、幸福な家庭を築くんだ。
そう、君の番!なんだ。
本丸御殿の廊下を進み、大広間に入る頃には、三人とも皆が撒いてくれた花びらに包まれていた。
私はそれらを小さくはたき、二人を大広間へ先導した。
私は名古屋人ではありません。でもつぼイノリオはプリンプリン物語のお蔭で好きです。
なお、天守落成の16話に、護児城本丸・二之丸の略図を追加しました。超テキトーですみません。
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