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第8話 いったい?

 すっかり日も暮れて、私達は焚火を囲んでいる。

 しかし5匹のワンコ達が魔物だったのは驚いたわ。

 でも私が調教師(テイマー)で彼等を従えることが出来れば、街に入る事も可能のようだ。

 

「街に入るなら1()()が限度だな。さすがに5体だと混乱を招きそうだ」

 冒険者のゲオルギーさんが私を諭すように言う。


 1体(いちたい)

 あぁ、名古屋エリアでよく使われる呼び名で『1日体験入店』と言うことね。

 働きたいと思ったお店に本入店する前に、1日お試しで働けるシステムの名称…。

 そうね、身寄りもない今の私なら、その仕事で生活費を稼ぐしかないのね。


「あの~日給はおいくらくいなのでしょうか?」

「はあ、日給?いったい何の話しだ?」

「でも1体と…」

「それはそうだろう。こんな大きな魔物が5体も居たら、大変なことになるだろう」

 あぁ、1匹ではなくて魔物だから1体なのね。

 危ない、危ない。

 仕事を斡旋してくれる話ではなかったのね。



「そんなにこの子達は、凄い魔物なのでしょうか?」

「シルバーウルフ1体の討伐で、冒険者が何人も必要になる。まして上位種がいるなら5体で騎士団が一個中隊(約200人)は必要になるはずだ」

「はあ?」

 一個中隊と言われても実感が()かないわ。


「とても強いと言うことでしょうか?」

「あぁ、その気になれば小さな町なら十分、制圧できる強さだ」

「制圧っ?!」

「そうさ。通常、魔物はスタンピードでもない限りは街を襲う事はない。だが先導する調教師(テイマー)が居れば、それも起こりえるのさ」

「では従えている魔物が強く、まして頭数が居ると調教師(テイマー)が危険視されるということでしょうか?」

「その通りだ。よほど名の通った調教師(テイマー)なら別だが、スズカさんはまだ冒険者登録すらしていないのだろう?」

「えぇ、そうです」

「それなら実績が無いから、魔物の制御が出来なくなることも考えられる」

 そうか。5匹を連れて街に入り突然、彼らが暴れ始めるかもしれない。

 大丈夫と言う根拠なんてなかったんだわ。


「分かりました。連れて行くのは1匹にします」

「それが良いと思うぜ、スズカさん」


 私はゲオルギーさんと話し、連れて行くのは1匹だけにすることを話した。


「ごめんね、お前達。連れて行けるのは1匹だけになっちゃった」

 銀色のワンコ『それなら私が行こう』

 ワンコ部下A『兄貴、おいらが行きますから』

 ワンコ部下B『いいえ、俺が行きます』

 銀色のワンコ『駄目だ!!私はこの女に付いて行く。お前達は新しい家族を増やし、群れを大きくしていくのだ』

 ワンコ部下A・B・C・D『『『あ、兄貴~!!(泣)』』』

 銀色のワンコ『お前達!!』


 ワン、ワン、ワン、キャンキャン、ガルル、ワン、ワン、ワン、

  ワン、ワン、ガルル、ワン、ワン、キャンキャン、ワン、ワン、

   ワン、ワン、キャンキャン、ワン、ワン、ガルル、ワン、ワン、


「お前達~!!」

 私は思わず叫ぶ。


「どうしましたか?スズカさん」

 商人のヤルコビッチさんに声を掛けられる。


 あ、いえ、アフレコ中です。

 多分こんなことを言っているかもしれないと思いながら、ワン、ワン、ワンに合わせて声を当てていく。


 そんな憐れむような目で見ないでください…。

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