第109話 フラワームーン食堂
今日はシルバーとポポンを宿に預け、私は一人で昼食を食べに街を歩いている。
たまには私もそんな時間が必要だからね。
しばらく歩くと食堂を見つけた。
中に入ると昼時を少し過ぎていたので店は空いていた。
メニューを見ると、どうやら『うどん』がメインの店らしい。
この世界でも小麦粉を使った麵料理がある。
どれにしようかな?
メニューを見ながら考えるのも楽しい時間ね。
そろそろ暖かい季節なので、『冷やし中華うどん、始めました』のポップもでている。
うどんかよ?
「へい、いらっしゃい。なんにしやすか?」
女の店員が注文を取りにやって来た。
何処の国の人だよ?
しかも男言葉だし。
私は答える。
「すみません、冷やし中華うどんで」
頼むんかい、私?!
「へい冷やし中華うどん、入りました!!」
「あいよ~!!」
厨房から元気な返事が返ってくる。
すると荒々しく入口のドアが開き、4人組のガラの悪そうな男達が入って来た。
「邪魔するでー」
「邪魔するんやったら帰ってー」
「ほな、さいならー」
「帰ってどうすんねん?!」
親分らしい男に言われ、男達は我に返ったようだ。
「いつまで待たせる気だ?そろそろ立ち退いてほしいんだけどね?」
すると奥から店の主人らしい男が出て来た。
「だから、言っているだろう。ここは売らないと」
「ほう、それなら痛い目…「痛い目に遭ってもらうよ」
なぜ、店側の主人がそれを言う…。
しかも短い棒を手に持っている。
そして見る見る内に親分らしい男は、店主に上半身を脱がされていく。
裸にされ容赦なく棒を叩きつける。
バンッ!!バンッ!!バンッ!!
「わ~、おい!わ~、おい!わ~、おい!」
店側はなぜか3回で叩くのを止めた。
「こ~へんのかい?!」
店主は慣れた手つきでつま先を叩き、顎を叩き…。
そして右手をあげさせ脇の下を3回叩いた。
パンッ!
「そこは止めろ!毛細血管が詰まっているところ、わき~」
店主は聞こえないのか親分に無言で顔を近づける。
「だから毛細血管が詰まっているところ、わき~」
更に聞こえないのか店主はお顔を近づける。
「毛細血管が詰まっているところ、てこんな顔の近くに来て聞こえないのか」
「ええ、毛細血管が詰まっているところ、わき~、と言うところがよく聞こえないのです」
「そう言うたんや!!おかしいんちゃうか?」
すると突然、店主は棒をグリグリと。
「乳首ドリルすんな」
しかも時計回りにグリグリと…。
「乳首ドリルすんな」
「すんな」
「すんな」
「すんな」
「すんな」
バンッ!!バンッ!!バンッ!!
つま先、顎、脇の下と小気味よく叩き、最後はスカッ!!
「ドリルせんのかい!!」
私はその間に出てきた、冷やし中華うどんを食べ終わりお金を払い店を出た。
あの後はどうなったのかは分からない。
でもあの店は健在で、いつも同じことをやっている様な気がする。
振り返ると店の名は『フラワームーン食堂』だったから。




