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50話 誤解

『次、生まれてくることが出来たなら、戦わずに済む、平和な世界に……』



 生贄という言葉を呟いた途端、頭がずきりと痛んだ。

 いや、もしかしたら反応したのは生贄の単語にではないのかもしれない。


「この国はまだ、平和ではなかったの……?」


 ぼんやりと呟く。ロゼが訝し気な表情を浮かべた。けれどそれはほんの一瞬の事だった。

 彼女は私の正面に移動すると膝をついた。それは騎士が謝罪する時の姿勢に似ていた。


「申し訳ございません、聖女エミヤ。軽々しく言葉を発し過ぎました」


 普段の飄々とした様子が嘘のように真摯に詫びられて私は慌てた。

 きっとロゼは私を傷つけたと思ったのだ。だがそう感じた理由がわからない。

 確かに彼女の口から出たセリス王子の情報と王家に隠された闇を感じ心は不安になった。

 けれどそれは行方不明のセリス王子の婚約者にされた私には必要な情報で。

 何より友人である彼女にこのような詫びられると居心地が悪く、そして少し寂しかった。


「何故あなたが謝るのかわからないわ、ロゼマリア」

「それは……」

「それに私はもう聖女ではないの。だから、ただのエミヤとして接して貰えると嬉しい」


 聖女エミヤでもなく公爵令嬢エミアでもなく、友人のエミヤとして。

 私がそう言うとロゼは目を丸くした。けれどすぐに立ち直り何時も通りの表情を浮かべる。

 この器用さと切り替えの早さは彼女の美点だろう。


「……そうだね。君がそう望むなら。変な真似をしてごめん、エミヤ」

「いいのよ。私も大袈裟な反応をしてしまったから」


 私の言葉にそんなことはないとロゼは首を振った。


「大袈裟なものか。確実にこちらの気遣いが足りなかった」


 最後の竜に生贄として身を捧げることで君は国を守ったのだから。

 そう真剣な表情でロゼに言われ、今度はこちらが目を丸くする番だった。



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