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38話 新しい友人

 私はここ最近すっかりアルに頼り切っていた。

 だがクラスも違うし四六時中一緒にいたりはしていない。廊下で会った時に挨拶ぐらいはする。

 主に部活動の時間を使って私たちは生徒と教師のように語り合った。そこに疚しさなど一つもない。


「それでも僕らは男と女だ」


 私の主張に冷静な声でアルが返す。

 いつか誰かに二人の仲を邪推される時が来る。そう予測した彼は領地にいる姉を学院に呼び寄せることにした。

 彼の考えは当たっていて実際私は怒ったアリオス殿下に絡まれた。そこを助けてくれたのたがロゼマリアだ。

 これからは彼女も学院内で私を手助けしてくれるという話を部室内でアルからされた。 

 当初、彼だけでなくその姉にまで迷惑をかける訳にはいかないと私は固辞しようとした。

 けれど「私も女友達が欲しかったからいいよ」と本人からあっさり言われた。

 そのロゼの言葉で私はそれ以上強く拒否できなくなった。

 だって私も本当は女友達が欲しかった。

 私が反論を止め受け入れたことに気づいたのかロゼは握手の形でこちらに手を差し出してきた。


「学院に戻る切っ掛けもくれて有難う。というわけで今日から仲良くしようね」


 これからは私もエミーって呼んでいい?そうロゼに聞かれて私が頷くよりも早く横から「駄目だ」と言われる。

 声の主はアルだった。何故駄目なのか私が問いかけると彼は露骨に視線を外した。意味が分からない。


「エミーって、ロゼマリアも呼ぶと、君は、その……僕と彼女を混同しだすと思うから」

「そんなことないわよ」

「いや絶対間違えるね、君は昔僕と馬を呼び間違えたし」


 確かに聖女時代に私は彼の愛馬を呼ぶつもりで彼の名を呼んだことがある。

 しかしわざわざそんな一度きりの間違いを、しかも二百年前のことを持ち出すことはないではないか。

 私とアルが間違える間違えないと暫く言い合っていると、笑いを堪えながらロゼがそれを止めに来た。


「わかったわかった。じゃあ私は今日からミヤって呼ぶことにするよ」


 宜しくねミヤ。そう微笑まれながらロゼと握手をする。新しいあだ名はなんだか猫の鳴き声みたいだなと思った。

 そう考えるとミヤミヤ言っているロゼは少し可愛いかもしれない。


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