明日、世界が終わるなら明日まで
その日、ムカデに会いに行った。
場所はムカデの労働している。希少鉱石の発掘・精製工場だ
禿山を2つ・3つ越えた外れに、それはある。
ちょうど、労働の前の事務所に入る所でムカデを見つける。
「やあ、ムカデ」
「ひさしぶりだな。ウジナ で、私に何か用かい?」
俺はムカデに近づいて、小声で喋りかける。
「ああ、ネズミの事を聞きたくてね。あの日一緒にいたのはお前だろ?」
ムカデは下を向いて呟く。
「ウジナ。あの日、何人死んだ。 300人だ。300人だぞ。その後、1人死のうが特に如何と言う事はあるまい?なんで、そんなにこだわる?」
「そう、如何と言う事はない。が、唯一【神人】のロボットに傷をつけた。そのやり方だよ。」
「そのやり方?」
「そのやり方・・・・ウヒャヒャヒャ 秘密じゃし、もう無理じゃ。【神人】には近づけない。」
俺達2人は人のいない道の外れにトボトボと歩いて行く
「なるほど、お前の作戦を練って、ネズミが実行した。やり方は【神人】に知られてしまった・と」
「ウジナお前は何か見たのか?」
「そうさなぁ、ネズミが爆風で飛んで行って、お前が穴に引きずり入れるところぐらいか・・・」
おれはムカデに肩組して呟く。
「で、ネズミを殺ったのはお前なのか?」
「俺か?俺じゃ、無理じゃろ。」
「そうなのか?そうには見えないが」
「俺は、あの件で、お前以上に色んなモノから監視されている。それは、今この時もじゃ。言っている意味がわかるな?」
「そうだな・・・何か情報はないか?」
突然、ムカデは咳をしてうつ伏せになる。
「おい、おい、大丈夫か?」
「大丈夫じゃ。離れろ!」
と、ムカデは俺を押し倒す。
「とに、心配すればこれかよ。とに、また来るわ。じゃなムカデ」
俺はムカデと反対方向に歩き出す。今からまた山越えかよと、ポケットの中に紙切れが入っていることに気付く。
山を1つ越えたところで 紙切れを開いてみる。
《 【神人】もしくは【神人のスパイ】が、今回の補助人員に紛れ込んでる。≫
あの日の後、大量に【ナンバーズ】が投入されてきた。
その中にニグモも含まれる。
「あの~ ウジナさん。」
「ん?どうしたニグモ。」
「昼間はどうしたんですか? 仕事をサボって」
清掃トラックの運転をしながらニグモが聞いてきた。
「あ?良いから、良いから 運転に集中しろ 」
ここに入った頃、ニグモはため口を聞いた、いけ好かない奴だった。
それを、コンクリートブロックでぶん殴って指導したら大人しい舎弟になった。
一日でここまで変わるとは思わなかったが・・・・
俺は外を見ながら考えを巡らせる
紛れ込んでる・・・【神人】は偶に、こちら側に降りてくるが、護衛を何人か連れている。
しかも、あちらの人は、絶対に此方の労働をしないし、
そうなると、【ナンバーズ】の培養ビーカーからのエリート層・もしくは監督層をスパイに・・・
やはり、ネズミが使用した石、魔石に関係があるのか?
最後10分ぐらいは、やはり、何人か目撃者がいる。
その目撃者によって、話が盛られ、付け足され、壮大な話題になった。
「あの~ ウジナさんは伝説のネズミさんと仕事してたんですよね。」
「伝説?」
「ええ、【神人】と対等に戦ったという。」
「ふっ あれは戦いとは呼べないな。」
そう、あれは戦いではない。
「そうなんですか?」
「そうだ。」
おっと、そろそろ清掃場所だ。
ここでは、暇つぶし【神人】が【ナンバーズ】を殺しに降りてくる。
1日10件程度になるので労働には事欠かない。
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「ニケさん。今日はウジナて掃除屋が、私のところに・・・・」
「ムカデ。あれだけ目立てば、みんな知っているよ。しかも、今回の事で良い撒き餌になったよ。」
ニケは貨車に鉱石を入れながら喋る。
ショベルを土にさす
「で? ダメージ的にはどんな感じだ?」
ムカデは少し考えて
「精製の制度を上げれば実用できます。が数が足りません。」
「それは、考え中だ。しかし、鉱石のカスが魔石の材料になるとは【神人】も思ってはいないだろうね。」
で、今回は此方には何人新人が入った?
「150人です。」
フム、とニケは考える。
「それじゃ、スパイの炙り出しからだねゲンゴロウ、ムカデ」
ゲンゴロウはショベルの手を止めずに口だけを動かす。
「今日と明日。 新人の歓迎会をやります。その際に何人かは炙り出せるとおもいます。よ」
貨車に大量の鉱石を入れる。
「いつも通り、スパイの優秀な奴を殺して、間抜けな奴を泳がせる。いいね?」
「「はい」」
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本日の仕事が終る頃、バッタは新入りのヤトリとライチに指導を行っているゲンゴロウに出くわす。
バッタは発掘場以外で他の【ナンバーズ】とは極力接触を避けている。
バッタは目立つのを嫌う。
バッタはゲンゴロウと目が合うも、そのまま素通りして事務所に向かう。本日の給金をを貰うためだ。
この世界では明日も知らぬ我が身。本日の給金は本日のうちに・・・貯めるなんてもっての外だ。
そして、事務所の中の自動給金所の前に立ちボタンを押す。ボタンを押すとカメラにて首付け根に付いてる【ナンバー】の読み取りを行い本人確認を行う。
明細と給金が排出口から出てくる。
カラ~ン。コロコロコロ・・・カタッ
いつもと同じ。銅貨10枚。
ドヤに銅貨1枚
飯に銅貨2枚。
酒に銅貨1枚。
残り6枚は税金にて徴収される。(いまだに何の税なのか?わからないが・・・ゲンゴロウ達に徴収される。)
ここではドヤ(宿)よりも飯代が
高い。ドヤは何も無くならないが、飯を食えば、その分資源が減るそうだ。
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その頃、ニケは廃材を使って建てた家に帰っていた。
ニケは考える。
今回のスパイはどいつだろう?
多分、前の騒動の所為で相当切れる奴を寄越しているに違いない。
ウジナの動きも注意しなくては・・・ああ見えてもアイツも古株だ。生き残ろ知恵がある。
「さてさて、どうするか。」と呟くと
下からガサゴソと音がして
「何をです?」と、土の中から声がする。
「ん?ムカデか。」
「はい。最近 ニケさんの家の下まで穴倉を拡張しました。」
「・・・・・・まぁいいか」
「それじゃ、そろそろ新人の歓迎会の時間かね。支度したら行くぞ。」
「そうですね。ゲンゴロウ張り切ってましたからね」
新人の歓迎会という名の何かが始まる。




