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5.図書室(本編6の裏側)

群衆男子視点

 初めて入った図書室は、学園のほかの場所とは雰囲気が違った。

 古い本のにおいと壁一面のステンドグラス。床はしっかりした木でできていて、よく手入れされているのか、飴色(あめいろ)に光っている。

 もしかしたら建てられた年代自体が違うのかもしれない。

 そんなことをぼんやりと思っていると、あいつは奥から出てきた人と話し始めた。


 ……ここの先生か?

 そちらを何気なく見ておれは固まった。

「ちょっ、おま……っ!」

 おじいちゃん先生ってなんだそれ。

 髪色見ろよ!黒と白とかヤバすぎんだろ!こんな鮮やかに分かれてんのかなりの高位の色付きだから!下手打ったら即座に死ぬぞお前!

 言いたいことがありすぎてうまく言葉にならない。口をぱくぱくさせていると、

「いいんですよ。年経ているのは確かですから」

 にこにこ笑ってっけど底が見えなくて怖えぇ……。

「ご所望の本を持ってきましたよ。持ち出しできませんからここで読んでくださいね」

 そう言って色付きが手渡した本には、べったりと赤黒い魔方陣が表紙いっぱいに描かれていた。

「ちょっ、それ禁書じゃねぇか!」

「そうだけど?」

 それがどうしたの?となんにもわかってない顔で首をかしげるのに頭痛がする。


 禁書ってのは『そこにあるだけで駄目な物』なんだよ。図書室から出したら駄目とかそういうレベルじゃねぇんだよ!

 分かるかこの違い?とにかくヤベぇんだよ!

 おいおいおいこんなの最低限の常識だろ。

 まさか『記憶飛び』ってそこまで飛んでんのかよ。しかも誰も教えてくれなかったと。

 ……そりゃそうだよなぁ。十七にもなって「太陽は東から昇るんですよ」なんて誰も教えないわ。

 正直それくらいのレベルだぞ。

 しかもこいつ他に何が飛んでんのかもわからねぇ……ってヤバすぎじゃねえのか。


「時に先入観は学びの妨げになります。大丈夫ですよ。危険があれば守るのも教員の役割ですから」

 ……つまり、教えるな、と。危険があれば高位の色付きが守ってくれるならそれは安心なのかもしれないが。

「君はいい子なんだねぇ」

 おれなんか小指の先で命ごとぷちっとできるような相手に言われても反応に困るわ!


 ……うん。とりあえず教室に戻ろう。こいつは気に入られてるみたいだし大丈夫だろ。

「おれ帰るわ。お前も気をつけろよ」

 一応声をかけたら、本を読みながら「また明日ね」と適当に手を振ってくる。

 こいつ絶対こっちの会話聞いてもなかったな。

 こんなんで大丈夫なのかよ?……わりと不安だな。



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