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2.話の始まり

群衆男子視点

 

 この学園はクラス替えがないので、実はおれは一年の頃から青柳を知っている。


 桜舞い散る入学式。

 担任からヤバいやつが同じクラスだと知らされた。

 そいつは色付き群衆関係なく殺しまくるせいで、同じクラスに他の色付きを入れられなかったらしい。

 生きていればこれから三年間過ごす教室が、猛獣の檻になったようなものだ。

 その色付きは明日から来るらしい。

 おれは早々に死ぬことも覚悟した。

 だが、実際に現れた青柳は朝来てから帰るまでほとんど机に突っ伏して動かない。

 たまに青柳の邪魔になったやつが殺されることはあったが、それくらいは許容範囲内だ。

 青柳とのクラス生活は事前の情報に反して、驚くほど平和だった。

 その平和が崩れたのは二年に進級してすぐだった。

 一年の入学式があった日、隣のクラスの色付きが急に妙なことを言い出したらしい。

『なんでこのゲームなの?最悪!』

『入学前に記憶が戻ってたら絶対に来なかったのに!』

 ……意味がわからない。

 それまでは多少性格に面倒なところはあるが普通の色付きだったらしい。

 だが、この辺りから言動が一変する。

『自分は主人公だ』『あんたたちとは違う特別な存在なんだ』とか言いながら、校則は破る、授業も受けない。掃除なんかの係の仕事も放り出してまわりの人間に自分に従うように当たり散らす。

 ……なにそれ、どこの中二病?

 それだけならまだいいが、特定の人間にだけ変なテンションで絡み始めた。

 はたから見てるだけでもかなりウザい。

 絡まれてる相手は先生から先輩、下級生まで強い色付きなら手当たり次第だ。

 そのなかに、青柳も入っていたのはもう本当にふざけるなと言いたい。

 ウザい色付きに絡まれてストレスのたまった青柳が、こっちに当たり始めたのだ。


 ……まさに暗黒時代だった。

 風邪ひいて二日くらい休んだらごっそり人が減ってて二、三人だけで授業を受けたこともある。

 クラス外の群衆も殺しだしたから、群衆全体で対応する案件になった。他のクラスからも情報をつかめるように、ラインのグループを作ったのもこの頃だ。

 短期間で普通あり得ない回転率で死亡と補充を繰り返した結果、ぽろぽろ『記憶飛び』が出始めた。

 保健室でインストールすれば問題なくなじめるくらいのものだったが、おれもいつああなってもおかしくない。


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