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18.仕込みは上々
群衆男子視点
「女史はいますか?」
今日も緑川先輩は教室までやってきた。
「いっ、行ってきます……」
「おう。気をつけてな」
最近は昼休みも毎日だ。ランチミーティングで会社の軌道シミュレーションとか小難しいことをやっているらしい。
廊下のほうを見ると、ウザい奴がわめき散らしている。
「……そろそろいい感じか?」
スマホを取り出して月草に連絡する。
『……そんなことをやっていたんですか。どうりで最近次代のところに来ないと思いました』
「明日の昼休みにひっかけるから来てくれねえ?」
『わかりました。……ねえ、あなたオレの部下になりませんか?』
「それどころじゃないから今は無理だな。この山場を生き残れたら考えとく」
『お願いします。死なせませんから安心してください』
「期待しとく」
月草との通話を切って、ラインでいくつか指示を飛ばす。
……さて、うまく転がるといいんだけどな。




