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11.群衆の女子(本編6あたり)

月草視点

 

 見られている。ものすごく見られている。


 最近現れたらしい群衆の女子がまっすぐにこっちを見てくる。

 話しかけてくるわけでもなく、近づいてくるわけでもなく何の小細工もなくただ見てくる。

 彼女が見ている先はオレより圧倒的に青柳のほうが多い。

 もしかして青柳に恋心を寄せているのでは?と期待したが、すぐにがっかりした。

 ……あれは天敵を観察する小動物の目だ。

 そもそも顔も見えない群衆とでは恋愛関係にはなりえない。

 だが、彼女が青柳を見るようになってから、不思議と青柳の様子が落ち着いた。

 外から見れば普段以上に苛立ってはいるのだが、妻紅嬢に対するような嫌悪感は感じない。

 むしろ、今までにない感情に戸惑っているように見える。

 命令された二時間以外は教室に寄り付こうとしなかった青柳が自主的に教室にいる時間を増やし始めたころ、オレは妻紅嬢の動向を探るためにつけていた蝶を、彼女につけかえた。

 こちらを見ていないときの彼女はほかの群衆に溶け込んですぐに見えなくなってしまう。

 青柳も彼女のことを気にはしているようだが、見つけられないらしい。

 普段から視線にさらされ慣れている青柳は、視線に対する感覚は鋭いが同時にひどく鈍い。

 一緒にいる時に彼女の視線を気にしていたので、指し示そうとしたらいきなり攻撃を食らった。

 どうやらオレが興味を持っているのが気に入らないらしい。

 他の人間や、妻紅嬢に対する反応とは明らかに違う。

 ……これはもしかしたら、もしかするかもしれない。


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