コイントスは二分の一
選択しない選択が第三の選択肢
少女は悩んでいた。
こればかりは譲れないもの同士の闘い、しかしどちらかを切り捨てねばならず、片方のみの選択を強いられていた。
かくなる上は…
取り出したのは一枚のコイン、これでどちらを選択するか決めればいい…
・・・本当にそれでいいのか?
選ばれなかった方は納得するのか?
理由もなく運任せで決めて両者が納得するのか?
いや、これでいいんだ。どちらも最高の価値がある。だからこそ悩んだ。この悩んだ時間こそが両者に対する最高の敬意ではないか。
よし分かった。
じゃあ全てをこの一枚に託そう。
そう決意し、親指の爪に100円玉を乗せた時。
「両方買えばいいじゃん?」
少年はポン・デ・リング生とエンゼルフレンチをお皿に乗せて会計を済ませた。
少女漫画ならその心意気にキュンとしていただろう。
しかし、少女は嬉しい顔半分まだ納得してない顔半分で頬を膨らませていた。
少年はちょっと困ったなぁと少女の心を読むのに苦難した。
結局、原因が分かったのは少女が風呂から上がって体重計に乗った瞬間である。
100円玉には"責任"と"体重"の二つがかかっていたのだ。
好きと嫌いは裏表
20180907