~1日目‐6~
「も~、神奈ちゃん、シリアス禁止!!冗談だってば!気にしないで。そんな昔のちっぽけな約束なんて、もう時効だよ!僕は、幼なじみとしては、神奈ちゃんが大好き!……でも、その“好き”は、恋愛感情としての“好き”じゃなくて、幼なじみとして、だよ。
……僕のために沢山悩んで話してくれたんでしょ?それだけで十分だよ。」
悩んでいたことが、意外にもあっさり解決してしたったことに、神奈は驚きを隠せなかった。
「っでも、なー君、私が約束忘れていたことに怒ってないの??ていうか、なんで今まで思い出させてくれなかったの??」
悩みが無くなった途端、神奈の頭の中には疑問が次々と湧いてくる。その疑問にも、稲汰は焦ることなく答えていく。
「僕が神奈ちゃんのことを怒るわけないでしょう?思い出させなかったのは、今日みたいに神奈ちゃんが悩むのを見るのが嫌だったから。」
「なー君……!」
今まで稲汰が側にいるのが普通だったからだろうか、こんなに優しくて人思いの幼なじみがいることに、何も感じなかった。
(でも、今ならわかる。こんなにも私のことを大事にしてくれるのは、なー君だけだって……!)
「そ・れ・で~、神奈ちゃんは“恋”がしたいと。」
顔をあげると、ニヤニヤ顔の稲汰がいた。
「~っ!!!わ、悪いっ!?」
(うわ~っ!!ついなー君に、“恋はしたい”なんて言っちゃったんだった~!!)
神奈は、恥ずかしさがMAXに達し、開き直るしかなくなった。
「こんなこと言ったの、なー君が初めてなんだから、責任とりなさいっ!私に“恋”を教えて!!」
「えっ!?……神奈ちゃんに“彼氏”なんて考えたくもないけど、それが神奈ちゃんのためになるなら……いいよ。」
稲汰は、少し嫌そうな顔をしたけれど、すぐにいつもの笑顔で許可してくれたのだった。